どこかに行ったカラスを探していると言う少女にあなたは、一緒に探す事となる。
果たしてあなたは無事にカラスを見つけ出し、魔界の町へたどり着けるのだろうか?
あれから俺はダーク様と道なき道を歩いた。
もう完全に魔界の町への道は外れている。
素直に言って。
「迷子かな」
「な、迷子ではない!
ちょっと目的を見失いうろうろして次どこに向かったらいいか分からないだけだから」
うん、それ迷子だから。
「で、探してるカラスってどんな姿なの?」
「ん?普通のカラスだが?
ちょっとふっくらしてて胸に黒い十字の模様、目付きの悪いやつだ」
うん、飼い主に似たんだな。
「なんだその目は、別に吾輩は目付きは悪くない」
う、思ってたことが顔に出た?
「それより、ダーク様はここに住んでるんですか?」
プイと顔を背け怒っているダーク様に聞いてみる。
なんか子どもが拗ねてる感じで可愛いな。
「別に拗ねてない」
やっぱり心が読めてるのか?
俺はアイテムボックスの中を見る。
そういえば、ちょこ先生からもらったお菓子があったな。
って言っても饅頭か。
子ども向けじゃないけどいいかな。
俺はアイテムボックスから饅頭を出す。
するとじーっとダーク様がその手を見ている。
「いる?」
「ん?いや、いらん」
そう言ってまたプイ。
だが、今度はチラチラ手を見てくる。
「そっかぁ、これ最後の一個だけど、いらないならお腹空いたし食べよう」
「ま、まて!
貴様がどうしてもと言うなら食べてやってもいい」
少し慌てて言った後、俺と目が合うとまたプイ。
はぁ、本当に子ども相手してるみたいだな。
「では、ダーク様に献上品でございます」
俺はその場に片膝を付き饅頭をダーク様に差し出した。
「そ、そうか、なら食べてやる」
めちゃくちゃ嬉しそうな顔をして饅頭を食べるダーク様。
「美味しいですか?」
「うん、うまい」
機嫌がなおったみたいでよかった。
「献上品に免じて質問に答えてやる。
吾輩はここには住んでいない。
こことは別の所に住んでいるが、ずっと基地の中で暇なのでな。
部下には黙って散歩に来た」
「散歩でこの裏世界に?」
「そうだが?
何かおかしいか?」
「いや、ここってかなり危険だよ?」
「そうみたいだな。
ま、吾輩には普通の平原を歩いてるのと変わらんが」
この子ってどういう立ち位置なんだ?
俺はそんな事を考えながらふと前を見る。
ん?
少し先に行った丘の上の木に黒い鳥が止まってこっちを見ていた。
「ダーク様」
モグモグ
「ちょっとダーク様?」
「ん?あ、吾輩か」
いや、自分で呼べって言ったじゃないですか。
「あの先にいるの探してるカラスじゃないです?」
「ん?あ、ほんとだ、あれだあれ。
行くぞ!」
急いで饅頭を食べて走り出すダーク様。
っていうか惜しみながら食べないで。
俺もダーク様の後を追って走った。
木の下に着く。
木には確かにダーク様の言っていた胸に十字の模様があるカラスがとまってこちらを見下ろしていた。
「おい、早く戻ってこい」
ダーク様の言葉にカラスはゆっくりと木から降りてきて、ダーク様の頭にとまる。
「そこが定位置なんですか?」
「そうだ」
腕を組みふんぞり返るダーク様。
なんかガシッとカラスに頭掴まれてるけど痛くないのかな?
「でも、よかったですね見つかって」
「うむ、ご苦労だった」
ダーク様が満足そうに頷いている。
「さて、それではダーク様はここで家に戻ってください」
「なぜだ?」
俺は鬼切丸を取り出しダーク様を背にして立つ。
俺の向いた方からは俺の2倍の大きさはあるだろう牛の顔をした悪魔がこちらに来ていた。
「あいつは俺が抑えておきますので」
「1人で大丈夫なのか?」
背中でダーク様が心配そうに聞いてくる。
「ま、どうにかします」
「そうか」
トンと後ろから軽くダーク様に背中を叩かれる。
ん?
振り向きダーク様を見た。
「今回の働きはよかった。
だから特別に報酬だ、受けとれ。
そして、今度はきちんと絆が集まった時に会おう。
楽しみにしているぞ」
ガァァァー
悪魔の咆哮に俺は慌てて悪魔の方を見た。
そして、また振り向いた時にはダーク様は消えていた。
帰ったかな?
俺は悪魔に向き直る。
さ、これで心置きなく戦えるな。
「いくぞ!」
三ツ又の槍が頭上から俺をめがけ突き刺しにくる。
しかし、紙一重で避ける。
すぐさま悪魔との間合いを詰めた。
いつもより体が軽い。
「は!」
悪魔の足を薙ぎる。
ギャー
横に飛び間合いを取る。
あまり力を入れなくても攻撃が通る。
体から力が溢れてくる感じだ。
ダーク様があの時にバフをかけてくれたのか?
グワァー
なおも悪魔は槍を突き刺してくるが。
今の俺には通用しない。
バフと足装備のお陰で紙一重で避けられる。
そのまま槍を並走。
槍を持つ手を斬る。
グギャー
「稲妻よ」
俺の言葉で鬼切丸が紫の稲妻を纏う。
そして、悪魔の額に俺は鬼切丸を突き刺した。
グワァー
バシュっと音がして悪魔は光の粒子に変わる。
「はぁ、何とかなったか」
俺はその場に座り込んだ。
しかし、これからどうするかな。
町はどこにあるか分からないし。
「はぁ、まじかよ」
俺はゆっくりと立ち上がった。
少し離れた所からさっきと同じような悪魔が数体こちらに向かってきていたのだ。
今のバフを受けてる状態なら後2匹ぐらいはいけるけど、それ以上は辛いな。
逃げれるか?
いや相手は複数、逃げきれないかもな。
俺は鬼切丸を構える。
今度こそやられるか。
眼前まで迫る複数の悪魔。
そして、不快な笑い声をあげながら悪魔達は俺を見下ろしていた。
覚悟を決める。
「やっと見つけたよ~」
「え?」
謎の声に悪魔も動きを止める。
しかし、最近聞いた声だ。
「るしあ様の言った事きちんと守らないからこういう事になるんです」
俺は空を見上げた。
そこには空中で足を組み座っているちょこ先生がいた。
「ちょこ先生?」
「は~い、Good evening!ちょっこーん。
追いかけて来ちゃいました」
そう言ってちょこ先生は俺と悪魔達の間に降り立つ。
「もう、用事があるのにさっさと行って、探すのに苦労しましたよ。
と、その前に」
どこからともなく剣を取り出すちょこ先生。
そして、その剣を見えないぐらいの速さで振り上げて下ろした。
ボボボボ
ちょこ先生の背後の複数の悪魔達が光の粒子になって天に上がる。
「え?」
俺はもう一度ちょこ先生の手を見る。
さっきまで剣だと思ってたけど今は刃が複数に別れて鞭のようになっている。
「蛇腹剣」
「あら、知ってるんですか?
はい、ロボ子様からもらった武器です」
そう言ってちょこ先生が手首に力を入れると鞭は剣に戻った。
「なんかロボ子様がちょこ先生にはこれが合うと思うってくれたんです」
確かにナイスチョイス。
「でも、間に合ってよかった。
なぜこんなところに?」
「あ、それは迷子の子どもがいてその子を助けてたらこんなところに」
俺の言葉に優しく微笑むちょこ先生。
「それなら仕方ないですね。
その子どもさんは?」
「さぁ、帰ったみたいです」
「そうですか。
そうそう、手紙を渡した後、これも渡さないといけなかったんです」
そう言ってちょこ先生は可愛い包み紙で包装された箱を渡してくる。
「これは?」
「メル様にちょこから手作りお菓子です」
「なるほど」
「これはキミの分ね」
可愛い袋をくれる。
「お駄賃です」と言って笑うちょこ先生。
「ありがとうございます」
「それじゃ、ここまで来てしまいましたし、一緒に町まで行きましょうか」
「いいんですか?
助かります」
それから俺はちょこ先生とメルちゃんがいると言う魔界の町へ向かうのだった。
「ここが魔界の町よ」
あれからしばらく歩いて俺達は魔界の町に着く。
ちょこ先生がいてくれたお陰で、あれからモンスターと出会っても難なく倒す事が出来た。
「そういえば、キミはレベルカンストしてないの?」
「え?」
そういえば、友人と会った時に確認していらい見てなかったな。
俺はステータス画面を見る。
確かにレベル表示が99で止まっていた。
「あ、カンストしてます」
「なら、1度ログアウトして、えー様に会って来るのをお勧めします」
「じゃ、1度宿に泊まってログアウトしてきます」
「はい。
それじゃ、ちょこはこの町にいますので、また来た時に一緒にメル様のところに行きましょう」
「分かりました」
俺は1度ちょこ先生と別れ宿に向かった。
確かログアウトの時にカンスト特典を望めばいいって友人が言ってたな。
ログアウトする。
しかし、目を開けても真っ暗な世界。
するとシステムメッセージが目の前に流れ始める。
《レベルがカンストしました。
カンスト特典を望んだ為、選択の間に移動します。
YES・NO》
YES
《YESを確認、選択の間に移動します》
そして、俺は真っ白な世界で目を覚ます。
床があるのは分かる。
しかし、周りに壁がない。
どこまでも続く広い真っ白な空間。
何もない?
いや、何かある。
少し先に何か机のような物が見える。
俺はゆっくりとそちらに歩いていく。
「いらっしゃいませ」
それは会社にあるようなデスクだった。
資料がたくさん置かれていたが整理はされており、座っている人の顔は見えた。
「はじめまして。
噂はかねがね。
私は友人Aというものです。
あ、ここではAちゃん神なんて呼ばれてますけど」
そう言ってデスクに座る眼鏡の女性は笑顔で迎えてくれた。
ちょこ先生と合流した頃、その姿を離れた場所から見る人物がいた。
先程襲ってきた悪魔よりさらに一回り大きい悪魔を大地に跪かせその上に乗っているのはさっき消えたダークネスと名乗った少女だ。
グワァー
「うるさいな」
ダークネスはその小さな手刀を悪魔の首に振り下ろす。
バシュ
悪魔はその手刀の一撃で光に変わった。
「よっと」
座るものがなくなり大地に立つダークネス。
「ふう、やばかった。
まさかちょこ先生が合流してくるとは思わなかったぞ。
危うく見つかるところだった」
「ラプ殿~どこでござるか~」
「ん?」
「あ、いた。
ルイねぇ、いたでござる~」
そう言ってダークネスに走り寄る女侍。
「ほんとだ、いたいた。
何してるんですか、ラプ」
もう1人長身の女性もダークネスを見つけて走ってくる。
「別に基地の中が暇だから散歩しただけだ」
「え?出不精のラプ殿が!!」
「びっくりマーク2つも付けて驚く事か!」
「まぁまぁ、無事で何より。
でも、今度はどこに行くか言ってから散歩に行ってくださいね。
迷子になったら、まぁいい子じゃなくなりますから」
長身の女性の言葉を聞き、はぁとため息をするダークネス。
「そうですよ、ラプ殿探すのは一苦労なんでござるよ」
「いや、心配してくれるのはありがたいが、さっきから喋る高さが全部頭のカラスの位置なんよ。
吾輩の顔はもっと下だから」
「あ、そうでした」
「ごめんでござる」
「絶対わざとだよね」
ダークネス、いや、ラプラスは機嫌をそこねプイと横を向く。
それを女侍いろはは、まぁまぁとなだめていた。
ふと、長身の女性ルイはちょこ先生と歩く1人の男性を見つけた。
「ラプラス。
会ったんですね、彼に」
「ん?」
ルイに言われてラプラスはそちらを向く。
「ん?誰でござるか?
あ、あの時の」
いろはも見つけたようだ。
「で、どうでした?
実際に会ってみて」
ルイはラプラスを見ながら聞く。
「あのぐらいの強さなら我らの驚異にはならん。
しかし、ああやってホロメンを惹き付ける何かを持っているみたいだからな。
絆集めにはうってつけだ」
「それはよかった」
ルイはちょこ先生と町に向かう男性を見る。
「いつかまた話をしたいでござるな」
いろはも同じく見る。
「そのうちまた吾輩の前に現れるさ。
その時は吾輩が真の力を取り戻す時だがな」
そう言って、3人はワープホールに消える。
果たして彼女達は何を企んでいるのだろうか?
【ホロライブワールド】の秘密結社holoXはまだ謎に包まれたままだった。