「それじゃ、そろそろ帰りましょうか」
お昼を食べ終わり、片付けをするちょこ先生。
「手伝います」
メルちゃんが食器を魔法で出した水で洗い、ちょこ先生がそれを拭いてバスケットに入れる。
俺はレジャーシートを1度払ってから折り畳んだ。
「これだけあればしばらくはここに来なくてもいいよ」
満足そうな笑顔のメルちゃん。
それを見ると手伝ってよかったと思えてくる。
そして、俺達は来た道を帰る。
帰る途中に俺はステータス画面を開きレベルを確認した。
レベル50になってる。
さすが裏世界って事か?
ま、俺の今だよく分からないスキルのお陰もあるかもだけど。
帰りは何事もなく店に着く。
店に着くと何人かの冒険者が店の前に並んでいた。
薬を買いに来たみたいだ。
すぐに店の準備をするメルちゃん。
俺は特に手伝える事もなくその様子を見ていた。
今回はちょこ先生が売り子もしているので、買いに来た冒険者はすごく嬉しそうな顔でアイテムを購入して帰っていった。
お客がいなくなったので店に入る。
「すごい繁盛してましたね」
「薬がなくなると買いにきてくれる常連さんなのよ」とメルちゃんが笑顔で答えてくれる。
「なるほど」
「ま、今回はちょこ先生も手伝ってくれたから余計に売れちゃったかな」
「ええ、そんな事ないよ」
と2人は笑っていた。
しかし、本当にこの世界に来てる冒険者っているんだ、ある意味本当の意味での到達者だよ。
俺みたいなチートみたいな力に頼ってない。
「さて、休憩しようか」
ちょこ先生がお茶を用意してくれる。
俺も甘えることにした。
「次はどこに行くのか決めてるの?」
メルちゃんがお茶を飲みながら聞いてくる。
「今のところ情報はカジノにアキちゃんがいる可能性があるって事なので1度そっちに向かおうかと思ってます」
「なるほど、アキちゃんか確かにカジノにいる確率は高いかな」
「そうね、賭け事じゃなくダンスイベントに参加してる可能性は高いと思う」
「ダンス得意なんですか?」
「アキ様?
すごく上手よ、戦う姿もまるで踊ってるようだし」
「と思わせといてパワー型になったりもするけど」
とメルちゃんの言葉にちょこ先生が苦笑する。
なんだ?
パワー型?
「じゃ、カジノに行くならうってつけの案内人が【ファンタジー】の第3の町にいるよね」とメルちゃん。
「確かに」と頷くちょこ先生。
誰だ?
「詳しくは魔界から出た時にるしあちゃんに聞くといいよ」とメルちゃんは笑った。
それからお菓子とお茶をもらって俺は【ファンタジー】に戻る事を伝え準備をする。
ちょこ先生も名残惜しそうにメルちゃんに挨拶していた。
店の前で、メルちゃんから1つの薬をもらった。
メル印のギガポーション。
どんな死にかけでもこの薬を飲めばたちまちフル回復。
メルちゃんのお店で一番効果が強い薬らしい。
蜜取りの手伝いをした報酬だという事で俺は遠慮なくいただいた。
それから俺達はメルちゃんに見送られながら魔界の町を後にする。
帰る途中にさっき薬を買った冒険者が門の方から町へ行くのとすれ違った。
すれ違い様に「あれはヤバい」とか「今度は違う場所に行こう」など聞こえたが、やはり魔界のモンスターは強いのだろう。
街道を外れず歩くとほとんどモンスターは現れなかった。
出てきてもゴブリン型の悪魔が1匹ずつ。
レベルが50に上がっている俺はちょこ先生に頼み1人で相手した。
さすがにダメージは食らわないが鬼特効の鬼切丸を使っても5回は攻撃しないと倒せない。
さすがは魔界だな。
そして、俺達は無事に門へ着いた。
ゆっくりと扉を押すと扉が開き始める。
目の前が光に包まれ晴れた先は大霊園の裏手の門の前だった。
「お疲れ様」
ちょこ先生が笑顔で言ってくれる。
「こちらこそ、いろいろありがとうございました」
「いえいえ、それじゃ、おつかれいと」
そう言ってちょこ先生は手を振りながら空へと舞い上がった。
すぐに下を向く俺。
ちょこ先生その格好でやたらに空を飛んではいけません。
しばらくして上を見るとちょこ先生は消えていた。
ふぅ、危うく大空警察の御用になるところだった。
俺はほっと胸を撫で下ろして大霊園に向かう。
「あ、お帰りなのです」
大霊園のドームの中ではるしあちゃんがガイコツとテーブルゲームをしていた。
「ただいま戻りました」
「メル先輩には会えたのです?」
「はい、無事に」
「それはよかったのです」
それから俺は次にカジノに向かう事を告げ、メルちゃん達に案内人はるしあちゃんに聞けばいいと言われた事を伝えた。
それを聞いて苦笑するるしあちゃん。
「確かに案内人は知ってますけど。
はぁ、また病気が再発しないといいんですけど」
「病気?」
「いえ、こっちの話なのです。
では、ちょっと待ってくださいね」
るしあちゃんはテーブルで紙に何かを書き始める。
「はい、この場所に行けばその人物に会えます。
あとは、案内を頼むのは自分でやってくださいね。
たぶん断らないと思いますけど」
俺はるしあちゃんから紙を受けとる。
「ありがとうございます」
「では、いってらっしゃい」
俺はるしあちゃんに頭を下げて紙に書かれている第3の町に向かった。
第3の町は相変わらず賑わっていた。
海のモンスターも減った事もあり、船で海に出る人達が増えたようだ。
そして、古龍島の主が帰ってきた事も広まったようでその島に挑戦する人も増えた。
あと、どこの誰かは分からないが、ホロメン船長と行く海のクルーズとか言う観光イベント(有料)が最近出来たらしく思い当たる方にちょっと話をしないといけないかなと思った。
ま、そんな事よりまずはこの紙に書かれた場所に行かないと。
町の大通りを左に曲がり、この町の住宅街にはいる。
このゲームでは各町で家を購入したり土地を手に入れて家を建てたりする事もできる。
基本町にはモンスターが襲来してこない。
イベントは別だが。
なので、1度手に入れた家は自分で取り壊さない限り永遠に残り続ける。
ただし、お一人様1つまで。
ちなみに家は建てようと思えば殆どの場所で建てる事が出来るらしい。
ただ、イベント扱いの場所。
学園内部や大霊園、ダンジョンの中などでは建てれないそうだ。
あと、町以外で家を建てた場合、最悪モンスターに壊されたり、モンスターがその場所を占拠してしまう可能性があるとの事。
もっと詳しく知りたい方はメニューにあるヒントを見てみてください。
さて、あそこかな?
住宅街の中にある綺麗な白い家が見えてきた。
るしあちゃんのメモにも白い家と書かれている。
へぇ、すごい綺麗な家だな。
小さいながら庭があり花壇には色とりどりの花が咲いている。
そして、反対側には小さいながらも畑があった。
「ん?」
そこに長い耳をピョコピョコしながらこの家の持ち主が畑仕事をしていた。
柵の外から庭の方に行ってみる。
庭には沢山のニンジンが植えられて、ちょうど収穫時期みたいだ。
家主は耳を揺らしニンジンを抜いていた。
その為、俺に気づいていないようだった。
俺はゆっくりと肩幅に足を広げて、腰を少し落とす。
両手を伸ばし口の左右に持ってきた。
そして、大きく息を吸いその名を叫ぶ。
さぁ、みなさんご一緒に!
さて、次はアキちゃんがいるというカジノへ向かいます。
果たして案内人は無事にカジノから帰る事ができるのか?
次回お楽しみに