果たしてあなたはスターズフォーがいる【鬼岩城】に行く事が出来るのか。
「すげ、もう着いたのか?」
GMバイクを鬼生門広場近くに下ろした。
人の流れを見ながら端に停め降りる。
確か乗ってる時だけ見えなくなるんだもんな。
おりた瞬間見えるようになるから他の人から見たら突然現れたようになるし、おりる時は気を付けないと。
さて、鬼生門の前の広場を見る。
今は広場全体を霧が覆っていた。
誰かがあやめちゃんに挑戦しているのだろう。
「今回はなかなかやるやつじゃないのか?」
「ああ、だいぶたってるもんな」
外野の声を聞く限り戦いが始まってだいぶたってるらしい。
あのあやめちゃんとそこまでやりやえる奴って誰だ?
お、霧が晴れる。
広場の中央には1人の女性が座り込んでいた。
「お、出てきたぞ」
「これで2回連続挑戦か、あの娘やるなぁ」
「おい、パーティーに誘っちゃうか?」
「おいおい、いきなりはヤバイだろう」
へぇ、あやめちゃんに連続で挑戦かぁ。
すごいなぁ。
ゆっくりと立ち上がるその女性は背中に刀を納める。
そして、ちょっとうつむきながらこっちに歩いてきた。
ん?
なんかどこかで見覚えあるなぁ。
そう、こちらに歩いてくる女性、どこかで見た事ある。
金髪で羽織を着てて背中に刀。
ってなんでそのまま突っ込んでくるんだ?
「う、うわぁ」
「へぁ?」
危うくぶつかりそうになり声をあげると、女性は驚いたように顔をあげる。
「す、すまないでござる。
ぼーとしてて」
その顔を見て俺は思い出した。
「あれ?キミはいろ…」
「わぁ、わぁ~」
いきなり口を押さえられ騒ぐ女性。
周りから視線が集まる。
「ちょ、ちょっと来るでござるよ」
俺はぶつかりそうになった女性に手を引っ張られ、商店街の方に向かった。
「やっぱり、いろはちゃん」
商店街の一画で俺は先程の女性に小さな声で言った。
「な、なんで分かったでござるか?
今はこよちゃんに作ってもらったスキンを装備してるから他の人には正体が分からないはずでごさるけど」
そう言いながら自分を見るいろはちゃん。
「ま、まさか壊れてる?」
「いや、たぶん俺はいろはちゃんに一回会って自己紹介してもらったからかな?
それにほらこれもあるし」
俺は懐から虹色ダーツを出す。
「ま、確かにそれは最強のアイテムでござるからなぁ」
虹色ダーツを見ながらため息混じりでいろはちゃんが言った。
「それよりあんなところで何してたの?」
「え?、それは…」
ぐ~
お腹減ってるんだね。
「こ、これは、あの、違うでござるよ。
決してお腹が減った訳ではなく」
慌てるいろはちゃん。
なんか可愛いなぁ。
ふと見ると食堂がある。
「ちょっと俺お腹減ってるんですよね。
よかったら、食事付き合ってもらえませんか?」
誘ってみる。
「え?」
ぐ~
またも鳴るお腹。
お腹はオッケーのようだけど。
「つ、付き合わせてもらうでござる」
照れ隠しでうつむきながら答えるいろはちゃん。
「ありがとう」
そう言って俺はいろはちゃんを連れて食堂に向かった。
すっごい食べてるんだけど。
「美味しいでござふな」
食べながら喋らないで。
んぐ
「基地にいるとあまりお腹いっぱい食べれないでござるから」
「そ、そうなんだ」
「経営難でござる」
はは、イベントキャラにも経営難とかあるんだな。
「それより、さっきの話なんだけど、あそこで何をしてたの?」
俺はお茶を飲みながらいろはちゃんに聞く。
「え、ああ、ルイねぇじゃなかった同僚に頼まれて、先輩達の強さをって、これも秘密だったでござったかな?」
なんかいろはちゃんに聞いたら何でも教えてくれそうだな。
「ま、まぁ、自分の実力がどんなものか知る為の武者修行中ってのはどうでござる?」
いや、どうでござると聞かれても。
「うん、それでいくでござる」
食後のだんごを頬張りながら満足そうに頷くいろはちゃん。
なんか、天然キャラのような気がしてきたんだが。
「それで武者修行中のいろはちゃんはあやめちゃんに挑戦してたんだ」
「そうでござるが、やはり、強いでござるよ」
はぁ~とため息。
ま、完全に接近戦バリバリだからなぁ、あやめちゃん。
「それでキミ殿は何をしにここに?」
「あ、俺もあやめちゃんに挑戦しにきたんだ」
「ほほう」
なんか興味津々になった。
「ちょっと願いを1つ叶えてもらおうと思って」
「なら、勝つ必要があるでござるよ?」
「うん、そのつもり」
俺の顔をじっと見るいろはちゃん。
「分かったでござる、せっかくだから御一緒するでござるよ」
「ええ?
いろはちゃんも来るの?」
「ん?だめでござるか?」
不思議そうな顔をするいろはちゃん。
いや、別にいいけどなんで一緒に来てくれるんだ?
「わ、分かった。
よろしくお願いします」
「任せるでござる」
そうして俺達は鬼生門の広場に舞い戻った。
広場は晴れていて何もない。
今は誰も挑戦してないんだな。
俺はゆっくりと広場の中央に向かう。
その後ろにいろはちゃん。
「お、また挑戦者か?」
「おい、あの娘、さっきの」
「ええ、パーティーメンバーできたのか?」
「うう、だから誘ったらいいって言ったんだよ」
なんか外野が沸いてるな。
そういえば初めてここに来た時もこんな感じだった。
あの時は確か、虹色ダーツのせいであやめちゃんのご飯タイムに強制的にポップさせちゃったんだっけ。
広場の中央に着く。
すると広場全体が霧に覆われ始めた。
そして、霧が広場を包み込むと、ゆっくりと俺達の回りだけ霧が晴れる。
チリーン、チリーン
鈴の音がどこからか聞こえる。
目の前の霧の中に何かが光りながら浮いていた。
それは徐々にこちらに近づいてくる。
チリーン、チリーン
鈴の音も大きくなってくる。
肩に大太刀妖刀羅刹を担ぎ、ゆっくりと霧の中から現れたのは。
「久しぶりだね、元気そうでよかった余」
にこっと笑うあやめちゃんだった。
「お久しぶりです、あやめちゃん」
「ん、活躍はミオちゃんから聞いておる余。
あれ?さっきの人間様?」
「あ、この人は俺の知り合いで」
俺は後ろのいろはちゃんを見る。
「って何してるんですか?」
後ろに立っているのはタヌキのお面を被ったいろはちゃん。
「いや、一応スキン装備してるけど、正体ばれたらヤバイからお面を着けてるでござるよ」
ひそひそ話してくるいろはちゃん。
「もしかして、それ着けて戦ったんですか?」
「そうでござるけど」
そりゃ、負けるわ。
視界悪すぎだろ。
「何ひそひそ話しておるの余?」
「あ、いえ、何でもないです。
えっとこの人は」
俺は目でいろはちゃんに合図する。
「ええっとぽこべぇ、そうぽこべぇでござる。
よろしくあやめ先…じゃなかったあやめ殿」
「う、うん」
ちょっと引きぎみでいろはちゃんを見るあやめちゃん。
怪しまれとる怪しまれとる。
「お面取りなよ」
「ええ、ばれたらどうするでござるか」
「仲間を信じなさい」
「うう」
俺の言葉にいろはちゃんはお面を頭の方に移動させる。
「ん、その方がいい余、人間様」
お、ばれてない。
「よかったでござる」
ほっと胸を撫で下ろすいろはちゃん。
「ま、それはいいとして、どうしたの余。
ここに来たって事は余に何か用があるのかな?」
あやめちゃんがこちらに向き直り聞く。
「はい、事情は後でお話しします」
ちらりといろはちゃんを見る。
ここで使命の事は話せないな。
いろはちゃん達はミオちゃんに推し一覧を見せた時にアイコンが消えてたし、何かあるかもしれない。
「それで、今回来たのはこれを使う為です」
俺はアイテムボックスから鬼岩城への切符を取り出し見せる。
「なるほど、キミ様は裏世界【鬼岩城】に行きたいんだね」
「そうです」
俺は鬼切丸を取り出す。
あやめちゃんの雰囲気が変わったからだ。
「確かに【鬼岩城】に行く条件はその切符を持っている事ともう1つ。
余に勝つ事」
やはり勝利が条件に入ってるか。
「【鬼岩城】の主として、キミ様に資格があるか試させてもらう余」
あやめちゃんも大太刀妖刀羅刹を構えた。
「ぽこべぇも参加させてもらうでござる。
一食の恩義があるゆえに」
背中に背負う刀に手をかけ俺の横に並ぶいろはちゃん。
「構わない余。
お面を取った人間様がどれだけの実力なのか気になるし」
そう言って笑うあやめちゃんは完全に戦鬼モードだ。
「それでは、始める余」
あやめちゃんが大太刀妖刀羅刹を横に振り抜く。
すると霧が完全に晴れて鬼生門前広場に変わる。
でも、観客は誰もいない。
ここはあやめちゃんの専用フィールド、鬼生門。
「もう知ってると思うけど、ここから出るには余に一撃入れるか、やられた時のみ。
では、尋常に」
『勝負!』
俺達の声がはもり戦いの幕は上がった。
まずは先制。
俺は足装備の力を最大に上げてあやめちゃんの間合いに入った。
上段から鬼切丸を振り下ろす。
ギンと鋼が重なる音がする。
あやめちゃんは大太刀妖刀羅刹で俺の攻撃を止めながら笑っていた。
く、足装備で動きは速くなったけど、刀の振り下ろしが遅かった。
「隙あり」
いつの間にかあやめちゃんの横にいろはちゃんの姿が、いろはちゃんは胴を狙ってチャキ丸で薙ぐ。
ガシッ
それを片手で挟み受けるあやめちゃん。
まじか!
「く」
いろはちゃんはたまらず引く。
俺も間合いを取った。
「人間様はさっきまでとは比べ物にならないくらい強くなってる余。
キミ様も前に比べて格段に腕をあげたね」
「ありがとうございます」
鬼切丸を構え直しあやめちゃんを見る。
相変わらずどうやって攻略したらいいか検討もつかない。
「参る!」
いろはちゃんが出る。
「はぁ!」
ギン。
またも大太刀妖刀羅刹で受け止める。
「まだまだ~!」
そのまま連続でチャキ丸で斬りつけるいろはちゃん。
しかし、あやめちゃんはそれら全てを大太刀妖刀羅刹で受けていた。
大太刀であそこまで攻撃防げるってどうなってるんだ。
俺は鬼切丸を肩まで上げ切っ先をあやめちゃんに向けて構える。
いろはちゃんが俺の方に移動しながら斬り合いは続く。
ちょうど俺とあやめちゃんの線上にいろはちゃんがいる配置になった。
作戦通りの配置。
食堂で話した位置だ。
俺は鬼切丸の力を解放する。
刃が紫の稲妻を纏う。
「我は願う 大いなる神々に
我は欲す 神速で鬼を貫く光槍を
ぽこべぇ!」
俺の言葉にいろはちゃんが横に避ける。
俺とあやめちゃんの間に何もない!
「いけ!ライトニングトライデント!」
俺は鬼切丸をあやめちゃんに向けて突き出す。
威力ではなく速さを強めた俺の新しく考えた魔法。
出きるまでかなり練習しました。
紫の稲妻は光の槍に変わりあやめちゃんに向かって放たれた。
その光の槍があやめちゃんまで届くのは一瞬。
これで、いけるか。
バシューっと槍はあやめちゃんに当たりあやめちゃんの周りに砂煙が上がる。
「いけたか?」
そう言ったが俺もいろはちゃんも刀を納めてはいない。
「ふふふふ」
やっぱりダメか。
砂煙は光の刀に振り払われそこに二刀流のあやめちゃんが現れた。
背中には光の鬼武者が現れている。
「なかなか楽しませてくれる余。
プレイヤー様相手に鬼武者を出したのは初めてだ余」
あれがあやめちゃんの固有スキル【鬼武者】
だが、まだ1つになってない。
まだやれる。
「すごいでござるな」
いろはちゃんが隣に戻ってくる。
「かざま1人の時はあの姿見れてないでござるよ」
ま、お面着けて実力出せれてなかったし。
「どうするでござる?」
チャキ丸を構えあやめちゃんを見るいろはちゃん。
「少しだけ押さえられる?」
「今のあやめ先輩をでござるか?」
「うん」
俺の言葉に考えるいろはちゃん。
そして何かを決心したように俺を見る。
「分かったでござる。
それでは1つお願いが…」
「さぁ、話し合いは終わった」
あやめちゃんは二刀流を構えてこちらを見ている。
いや、二刀流じゃない。
光の鬼武者を入れた四刀流か。
「では、いいでござるな」
いろはちゃんが片手でチャキ丸を持ち俺の前に出る。
俺は頷き鬼切丸を構えた。
鬼切丸の雷を使えるのは後1回。
後もう1つの練習していた隠し技をここで試す。
上手くいけばどうにかなるはず。
「では、これが最後!
あやめ殿参る!」
「応余!」
いろはちゃんがあやめちゃんとの間合いを一気に詰め右手のチャキ丸で斬りつける。
それをあやめちゃんは左手の太刀鬼神刀阿修羅で受けた。
すかさず右手の大太刀妖刀羅刹でいろはちゃんを薙ぐ。
ガキン
「ほぅ」
感心したようなあやめちゃんの声。
あやめちゃんの大太刀妖刀羅刹は、いろはちゃんが左手に持つ鋼鉄製のナイフで受け止められていた。
俺がお願いした時、いろはちゃんは武器を貸してくれるように俺に言ってきた。
俺は近未来都市で買った仕掛けナイフ(力を込めると刃が出る長めのナイフ)を渡したのだ。
「まさか二刀流が出来るなんて思わなかった余」
あやめちゃんが笑いながら言う。
「さっきまでは出来なかったでござるよ」
「だけど残り二刀はどうするの余?」
光の鬼武者が二刀を振り上げた。
「く」
間に合わないか!
俺は精神を刀に集中する。
後少し。
「風真流 模倣真眼」
「え?」
振り下ろされた鬼武者の二刀はいろはちゃんには当たらなかった。
その二刀はいろはちゃんの背後に現れた緑の光の鬼武者の二刀で受けられていたからだ。
「まさか、只の人間様じゃなかったとは」
「キミ殿!」
「ありがとう、ぽこべぇ!」
俺は鬼切丸の力を解放する。
これに呪文は必要ない。
初めて使った時は俺の足では追い付けなかった。
でも、今この足装備をしているならいけるはず。
シオン師匠使わせてもらいます(勝手に師匠にしております)
「紫雷」
俺は体に紫の雷を纏う。
学園祭での戦いでシオンちゃんが使っていた技だ。
俺は稲妻のような速さであやめちゃんの背後に回った。
いろはちゃんのお陰であやめちゃんの全ての武器は封じられている今なら!
「一閃!」
俺は雷を纏った鬼切丸を薙ぎる。
ダン!
鬼切丸があやめちゃんの胴に当たった。
いや、当たってない。
くそ、遅かったか。
あやめちゃんの体は今光の鎧を纏っていた。
【鬼神大元】だ。
俺の攻撃前に光の鬼武者と一体化したんだ。
「そこまでだ余。
まさかまたキミ様に一撃入れられるとは」
その言葉に俺は力を抜き、その場に座り込んだ。
疲れたぁ。
「それに人間様もすごい腕だった余。
それにその眼」
あやめちゃんの言葉に俺はいろはちゃんを見る。
いろはちゃんはさっと頭のタヌキのお面を被った。
しかし、一瞬俺は見えた。
いろはちゃんの右目の中に紋章のような物が浮かび上がり燃えるように光っていたのを。
「ま、眼は生まれつきなものでござるから」
お面の下から誤魔化すようにいろはちゃんは言った。
「そういう事にしとく余。
それで、2人は何を望むのかな?」
そうか、俺達あやめちゃんに一撃入れたから。
「先にぽこべぇさんどうぞ」
俺はゆっくりと立ち上がりながら言った。
「え?ぽこべぇ?あっとそのう」
何故かしどろもどろないろはちゃん。
もしかして、勝った時の事考えてなかった?
「そ、そうだ。
このお面にサインください」
そう言ってお面を着けたまま顔を出すいろはちゃん。
いや、外しなよ。
「分かった余」
あやめちゃんも苦笑しながら、どこからか取り出したペンでお面にサインした。
「あ、ありがとうございます。
宝物にするでござる」
「どういたしまして」
いろはちゃんの言葉に微笑むあやめちゃん。
「それでキミ様は裏世界へ行くでいいのかな?」
「はい」
あやめちゃんの言葉に俺は頷いた。
「それではぽこべぇはここでおさらばでござる」
いろはちゃんはそう言って一歩下がる。
そうか、いろはちゃんは切符を持ってないから。
「いや、なかなか楽しい体験が出来たでござるよ。
また、あやめ殿とは対戦してほしいでござるな」
「構わない余、余も楽しかった。
いつでもここに来るといいよ、人間様」
そう言われて微笑んでいるのだろう、嬉しそうに頷くお面いろはちゃん。
「では、行く余」
あやめちゃんが手を振るとその背後に鬼の顔を型どった門が現れる。
鬼が大きく開けた口に扉が付いている。
ゆっくりとその扉が開く。
「では、いってらっしゃいでござる」
いろはちゃんはそう言って手を振る。
「ありがとうございました」
俺はいろはちゃんに頭を下げた。
そして、俺は先に門に入っていくあやめちゃんを追う。
この先が裏世界スターズフォーのいる【鬼岩城】
絶対に倒してみせる。
今回もいろいろとオリジナル設定ぶっこみまくりです。
この小説のみの設定ですので本人さんとは関係ありませんのでご理解ください。
【風真流】
第六世代組の風真いろは専用のスキル。
その中の1つ【模倣真眼】(もほうしんがん)
紋章(holoxのマーク)が浮かび上がる眼で見た物を真似て自分も使えるようにする。
見ている時だけ。
次は裏世界【鬼岩城】果たしてあなたはスターズフォーに勝てるのか?
【鬼岩城】で待つホロメンは誰なのか?
次回をお楽しみに