自分のスキルの秘密を知る為、目指すは大神神社。
あなたは新たな世界へ一歩足を踏み出した。
門を出るとそこは森の中だった。
「しかし、暗い森だな」
明らかにここは【ファンタジー】とは違う森だった。
なんか雰囲気というか空気が違う。
俺はまずは地図を表示する。
地図は【ファンタジー】の時とは別のマップへと変わっていた。
これが【ゲーマーズ】か。
まずはこの近くの町に行くか。
俺は【ゲーマーズ】の始まりの町へと向かった。
はぁ、いきなりかぁ。
しばらく森を歩いていると、木の影から小鬼が現れた。
この世界での下級モンスターなんだろうけど、ちゃっかりパーティー組んでいた。
そりゃ、ゲートの近くだもんなぁ。
向こうでパーティー推奨の場所なんだからこっちもそうだよな。
くそ、死んだら何処に戻されるんだ?
8体中なんとか3体は倒したが、こっちも体力をかなり削られている。
前衛2体に後衛3体。
はぁ、ぼたんさんがどれだけ有能か分かるわ。
ギャワワワ
前衛2体が飛び込んでくる。
オーガキラーのお陰で2回ほど攻撃したら倒せるが、後衛からの魔法攻撃か。
く
寸前のところで避ける。
追い討ちに飛びかかってくる2匹の小鬼。
2匹はヤバいか。
「こんなところでやられるなよ」
ギャーー
小鬼が1体光に還る。
誰だ?
もう1体を倒し、現れたその姿を見る。
「おまえ」
「生きてたな」
そう言って笑っている友人がそこにいた。
友人の側にはもう1人杖を持った女性がいる。
俺達は残りの3体を倒す。
「助かったよ」
俺は友人にお礼を言う。
「ま、積もる話しは森を抜けてしようぜ」
「ああ」
友人の横で女性がこちらに向かって頭を下げる。
俺も頭を下げお礼を言っておいた。
その後、モンスターパーティーと遭遇したが、難なく倒して俺達は森を抜けた。
「やっと出られた」
「おつかれさん」
「お疲れ様です」
森を出ると平原が広がり、街道が見える。
「街道を歩いてれば始まりの町に行ける。
ここまでくればまずは一安心だ」
友人が笑って教えてくれた。
「というか、よく俺の場所分かったな」
「ああ、フレンド登録したろ。
こっちのダンジョン攻略終わったからおまえの場所見たら何故か【ゲーマーズ】になってたからな急いで向かったのさ」
「そうだったのか」
「正確な位置が分からないから、探索持ちのカーディアさんに来てもらった」
横の女性が頭を下げる。
「よろしくお願いします」
「えっと、よろしくお願いします」
「フレンドで一緒にダンジョン攻略してた仲間の1人だ」
「そっか。
しかし、おまえゲート行くのにパーティー推奨なの教えてくれなかったろ」
「はは、それはすまん。
まさか、1人で行くとは思わなくてさ。
俺もおまえからいつ連絡くるのか待ってたんだぞ」
「はぁ、肝心なところ抜けてるよ」
「ふふ」
そんな俺達を見てカーディアさんが笑う。
「仲いいんですね」
「ま、こいつとは腐れ縁ですからね」
友人もそう答えていた。
「もし、そこの仲の良い3人さん?」
「ん?」
俺達は立ち止まり声の方を向く。
そこには大きな箱を目の前に置いた農家っぽい人が座っていた。
ほっかむりをしていて顔はよく見えない。
「どうだい?
うちで採れたコーンを買わないかい?」
「え?トウモロコシ?」
俺はその露店?に近づく。
「そそ、コーン安くしとくよ」
友人も近づいてくる。
「珍しいねこんなところで店があるなんて」
「そうですね。
プレイヤーさん?」
カーディアさんも近くに来た。
「いやいや、コーンを作りすぎたのでちょっと小遣い稼ぎをしようとしているNPCですよ」
「ふぅん」
箱を見る。
『一回100G』と書かれている。
「えっと、一回100Gって?」
「100Gでこのコーンくじが引けます」
「くじなんだ」
「くじなんです」
「んー」
友人は考え込む。
「じゃ、俺が引いてみるよ。
はい、100G」
「まいど~」
お金を店の人に渡し、箱に手を突っ込む。
「どれにするかな?」
確かに手触りはトウモロコシだな。
「よし、これ」
1つトウモロコシを握り箱から出す。
そのトウモロコシは黄金色だった。
「おお、まさかそのコーンを引いてしまうとは」
「え、え?」
店の人の驚きに少し驚く。
2人も心なしか俺から離れたような。
「え?え?このトウモロコシ引くと何かあるの?」
「え?」
聞かれて驚く店の人。
いや、何で驚く?
「えっと、そのコーンは…」
「コーンは?」
「美味しい?」
「いや、知らんがな」
「はは」
俺の突っ込みにウケる店の人。
「ま、特に意味はないよ。
でも、大切に持ってたら何か良いことあるかもね、旦那」
「そうするよ」
店の人のしゃべり方に毒気を抜かれた。
「それじゃ、ありがとう」
「は~い。あ、そうそう黄金色なだけで黄金で出来てる訳じゃないから売らないでね」
「分かった」
「もし、次会う時までそれ持ってたら力貸してあげる」
「え?」
聞き返そうとした時には何故か露店が消えていた。
「え?
消えたのか?」
友人に聞く。
「いや、分からん。
一瞬目をそらしたらなくなってた」
「はい、私もです」
「なんか化かされたみたいだな」
しかし、俺の手には黄金色のトウモロコシが存在感たっぷり握られていた。
しばらく3人で街道を歩いていると友人がポツリと呟き始めた。
「さっきの店の人、やたらトウモロコシをコーンて言ってなかったか?」
「ああ、確かに言ってたな」
「あ」
何か気がついたのか口に手を当てるカーディアさん。
「ん?」
俺にはよく分からないが?
「えっとな、ホロメンの中にトウモロコシ関係の人が1人いるんだよ」
「え?農家の人?」
「いや、違う。
挨拶にもコーンをよく使ってるし」
「だからって考えすぎだろ」
「で、その人キツネなんだよ」
「キツネか」
「そう、人を化かしても不思議じゃない。
そして、その人はこの世界に拠点をおく」
『白上フブキ』
友人とカーディアさんが同時にその名を言った。
ゾクッと背筋に冷たいものが通った感じがした。
「いや、怪談話みたいに話すな」
「はは、すまんすまん」
「でも、もしフブキちゃんだったら、もっと話せばよかった。
なんか怪しいなぁと思ってたのに」
カーディアさんが名残惜しそうに言う。
「彼女フブキちゃん推しなんだよ」
「なるほど」
「お、そろそろ見えるぞ」
友人の指差すその先に、日本風の門が見えてきた。
あれが【ゲーマーズ】の始まりの町か。
無事に始まりの町に着き、友人とカーディアさんにお礼を言って別れた。
さて、この町を回ってみますか。
町に歩いていると人も【ファンタジー】と違い、獣人や鬼人が多かった。
もちろん人もいる。
全体的に日本風の建物が多いな。
ふと、目に止まる酒場。
ちょっと小腹が空いてきたし入ってみるか。
ちょうど時間的に夕方だからか案外客がいる。
俺はカウンターに座りメニューを見る。
お、いいなぁ。
居酒屋メニューだな。
俺は簡単なつまみと酒を注文する。
ゲームの中だからな飲んでも大丈夫だ。
「くぅ、上手いなこの酒。
つまみもいける」
パクパク、ごくごく。
いやぁ、旅の後の酒は上手いわ。
「なかなかいける口だね、旦那」
「え?」
いつの間にか隣に座るキツネの面を着けた少女。
さっき会ったトウモロコシ売りとは体格も声も違うけど、たぶん。
「何か食べる?」
「え?」
「今日は運がよくってさ」
俺はアイテムボックスから黄金色のトウモロコシを取り出し、少女に振って見せた。
「ふふ、そっかぁ。
じゃ、おごってもらおうかな」
それを見て少女はお面の下で笑う。
「もう会っちゃったけど大丈夫?」
美味しそうに注文した物をお面を着けたまま食べる少女。
「ふふ、そのコーンの事は分からないかな」
「はは、了解。
今回はノーカンって事で」
モグモグ
「ぷはー
美味しかった」
少女は綺麗に食べ手を合わす。
「ご馳走さまでした」
「お粗末様でした」
俺もその食べっぷりに笑顔になる。
「ミオに会うんだよね?」
「え?」
少女はこっちをじっと見ていた。
「暗闇に光指す晴れた日に大神神社の鳥居を見上げるといいよ」
そう言ってキツネ面の少女は手を振って席を離れた。
たぶん、それがなかなか会えないミオ様に会う方法なんだな。
「ありがとう、フブキちゃん」
俺はそう呟いて、おちょこの日本酒を飲み干した。
さて、無事に占い師の言う大神ミオ様に会えるのか。
暗闇に光指す晴れた日とはいつなのか。
次回をお楽しみに