果たして彼女は無事に仲間の元に戻れるのだろうか?
こ、ここは?
私は周りを見る。
いつの間にか綺麗な砂浜に来ている。
さっきまで【海底都市】にいたはず。
それに世界の答えを捕まえようと。
「あ」
思い出した。
世界の答えを捕まえる瞬間に邪魔されたのを。
「やっと状況把握できた?」
「え?」
砂浜にある大きな岩に言葉をかけてきた相手が座っていた。
「あなたはオリジナル世代の」
確か私の邪魔をした相手。
「よっと」
岩から飛び降りる彼女。
「彼を助ける意味もあったんだけど、あなたとちょっと話をしたくって」
彼女は笑顔で語りかけてくる。
「なに?」
私は警戒して、相手との距離をとり杖を構える。
相手はオリジナル世代。
いくら私がデビルカードで最後の封印を解いたと言っても彼女達の世代は他の世代とは別格だ。
「そんなに構えなくてもいいのに。
もし、倒すつもりならあなたが状況把握できる前に倒してるよ」
と笑う。
「正義の味方とは思えない発言ですね」
「ん?私は正義の味方なんて曖昧な者じゃないよ」
私の皮肉を笑って返される。
「曖昧?」
「そう、だって正義なんて人の数ほどあるんだもの。
みんな同じ正義なんてないよ。
似ているのはあるかもだけど」
確かにその通りかもしれない。
「それより、お話いい?」
彼女は一定の距離を取って私に言ってくる。
何を企んでいるの?
「どうぞ」
私は警戒を解かずに言った。
「じゃ、あなた達の目的は何?」
目的?
そんな事を聞いて何になる?
そう思ったが、私は答える事にした。
別に隠す事でもない。
「楽しむ事」
素直に言った。
そう、私達はこの世界を楽しみたい。
ただ、それだけ。
「そう、それはこの世界がどうなっても?」
彼女は続ける。
「当たり前よ。
私達が楽しめればこの世界が壊れようと失くなろうとどうでもいい」
そう、楽しければそれでいい。
「それはあなたのお母さんも?」
なぜ母の事を知ってる?
「ええ、そう」
そうよ、この考え方は母の考え。
だから、私もそれが正しいと確信している。
しかし、どこまで知ってるのこのオリジナルは?
「そっか。
まだ、あの子達は迷ってるんだね」
そう彼女は下を向きぽつりと呟いた。
「どういう事?
迷ってるってなに?」
私は気になり彼女に聞いた。
彼女は顔をあげこちらを向く。
「自分の居場所が見つからなくて迷ってるって事よ」
「どういう?」
私がその意味を聞こうとした時、彼女は後ろを向いた。
「ちょっとどこに行くのよ」
「待たせてるからね、仲間を」
「戦わないの私と!」
正直オリジナル世代相手に勝てるかどうかは分からないけど、ここで1人でも足止めしとかないと。
「それは遠慮しておく。
私は他のオリジナル世代と違ってそんなに強くないから」
彼女はそう言って自らの前にワープホールを作り出す。
歌わずただいきなりワープホールを作り出す?
オリジナル世代の固有スキルは【歌】のはず。
それを使わず、ワープホールなんて生み出せるこの相手はだれ?
「あなただれ?」
私は思わず思った事を口にした。
「あなたが見ている通りだよ」
彼女は振り向かず答える。
「嘘!
いくらオリジナル世代って言ってもそんな力はないはず。
まして、固有スキルを使わないでそんな事できるはずない」
「そう?
そうなのかな?」
彼女は半身になりこちらを見る。
「そうね、あなたには分かるかな?」
そう言った彼女は微笑えむ。
そして「私は居場所を見つけた、あなたの母親の同類よ」と静かに答えた。
「同類?」
え?
母達と同類?
「それじゃ、行くわ。
また、会えるか分からないけど、気を付けなさい。
あなた達を狙ってる人もいるみたいだから」
そう言って彼女は私の後ろを見る。
そして、静かにワープホールへと消えていった。
「な、なんなの?
あれは、私の母達の同類って?」
訳が分からない。
ホロメンは超AIと呼ばれる現実世界の人の様々な情報をコピーして作られたAIで動いているはず。
私達の母親のように広大な電子の海で自然発生したAIではない、はず。
頭が混乱してきた。
「だれ?」
私は咄嗟に前に飛んで後ろを振り返る。
そこには誰もいない。
でも、何かがいる。
「はぁ、まさか先輩だけでなく、あなたにも見つかっちゃうとは、掃除屋失格かな」
ゆらりと景色が揺れる。
そして、そこには覆面を付けた1人の真っ黒な服を着た女性が立っていた。
「沙花叉クロヱ」
私は相手の名前を呼んだ。
「はい、沙花叉クロヱです。
しかし、他のホロメンは先輩呼びなのに沙花叉は呼び捨てなんだ」
「別に先輩呼びは煽ってるだけですよ」
私の答えにふふっと笑うクロヱ。
「そうなんだ。
なら、今は煽る程心に余裕がないんだね」
今のクロヱは武器を持っていない。
なら、勝てる。
オリジナル世代と違い、その後に来たホロメン達はそこまで強い固有スキルを持っていない。
本来の力を出している今の私なら。
私は杖を構え、魔法で水の刃をクロヱに打ち出した。
水の刃はクロヱの胴と頭を切り裂いた。
「酷い事するねぇ」
「く」
前に飛び退きながら背後に爆発魔法。
爆風を受け、自らもその場から大きく離れた。
先程切ったクロヱがぶれながら消える。
「残像?」
「その通り」
真横で声がする。
私は咄嗟に杖を脇腹に持ってきてカードした。
その上からガキンっと音がなり、私は飛ばされる。
何とか体勢を整え着地。
見るといつの間にかナイフを持ったクロヱが先程私がいた場所に立っていた。
「なかなかやるね」
そう言ってクロヱは笑う。
「なぜ、私を狙う。
狙いはホロメンの力量調査でしょ」
そう、確かに彼女はそんなようなことを言っていたはず。
「それはルイ姉からの依頼。
今は別の依頼で動いてる」
「別の依頼?」
「そう、本当はどうでもいいんだけど。
やらずに帰るとうるさいからね。
ラプラスが」
「ラプラス?
あなた達のボス」
「いや、ボスじゃないけど。
ただのちびっこ」
いきなり背後で声がして、ドスッと首の裏に激痛が走る。
これはヤバい。
気を失う。
「しばらく寝るといいよ。
起きたら仲間に会わせてあげる。
そうそう、さっきのちびっこ発言は内緒にしててよね。
ラプラス怒らすとやっかいだから…さ」
そう最後に聞こえた気がした。
次は最後の裏世界【天界】です。
AZKiちゃんの設定は完全にオリジナルです。
彼女の本当の正体はそのうち誰かが語ってくれる予定です。
では、また次回