~始まりの憧憬
あの輝きを私は一生忘れないだろう、そして誰が何と言おうとあなたこそが私の憧れであり、光だったと。
燃える村、誰かの悲鳴、飛び散る赤、動かなくなる人だった物。ふと、どうして自分はこんなところにいるのだろうと思い返す。
確か自分は現代日本にいる、どこにでもいる一般人だった気がする。それが気が付けば明らかに文明レベルが低い村で少女になって生きていた。
少しして自分が転生したのだと理解した。異世界か大昔かはわからないが、どうやら随分文明レベルが低い時代に転生したらしい、その上性別まで前世と違い、さらに転生した代償なのか前世の記憶は薄れてしまっていたが、それより大きな問題があったため気にならなかった。
それというのも生の実感がなかったのである、転生なんて物をしたせいか一度死んでしまったせいかはわからないがどうも自分が生きているという実感がなく転生してからまるで死んだように生きてきた。おかげで村の人間どころか今世の実の親にすら気味悪るがられ村八文にされるしまつ。まあ仕方ない、ただでさえ文明レベルが低く生きるのもやっとな村なのだ排他的にもなる、そんな村でまったく笑わず、泣かず、無表情な子供など気味悪がられるに決まっている。むしろ捨てられたり、殺されたりしなかった分良かったといえるだろう。両親も最低限の世話をしてくれたのと転生してから手にしたちょっとした能力のおかげで今日まで生きてこれた。
この世界に生まれて数年、生きているのか死んでいるのかわからないような現実感のないまま数年がすぎたある日のことだ。
村の端でただ意味もなく空を見上げていた時、唐突に村の反対側から悲鳴のような声が聞こえてきた。悲鳴の数は時間を追うごとに増えていき加えて物騒な声も増えてゆく、どうやら盗賊か噂に聞く蛮族か何かが村を襲っているようである。
家々が火をつけられて燃える、知っている誰かが剣に切り裂かれ血を吹き倒れる、あっという間に転生してから続いてきた日常が地獄へと変わる。
そして蛮族が武器をもって自分に近づいてくる
そんな中であろうと自分はいまだにこの世界に現実味を感じられなかった。すぐそこに死が迫ってきているのに、今世の親が切り殺されたのに、すべてがまるで他人事のように感じられた。
蛮族が何かをしゃべっている、自分に向けて剣を振り上げている、それでもなお、命の危機ですら自分は何も感じられなかった。ただ「ああこのつまらない、何の意味も感じられない時も終わるのか」とそれだけしか感じられず、終わりの時を待つ。
「そこまでだ」
それはあまりにも鮮烈だった、その声を、その顔を、その剣を振るう姿を、私は一生忘れないだろう
突如現れた人物が蛮族が私に振り下ろした剣を切り払い返す刃で蛮族を切り裂く
そして黄金の剣を携えた騎士が私に振り返る
「ご安心をレディ私たちが来たからにはもう大丈夫です」
彼女は私を安心させようとそういった
この時から私の人生が色づき出した
これが私と彼女、アーサー王との出会いにして、私の運命、人生を決めた出会いだった。
・主人公の前世の記憶があいまいだったり、生の実感が薄いのは、転生した際■■の渦を通って来ているせい。
・某生粋の人類悪、■歌様、ごとくアーサー王(こっちは女)にであうことで?