ヒロインはもうちょい後で出します!
『メモリDASH』。
この能力は念に目覚めていない一般人にも影響を及ぼす。早い話、一般人ほど空きメモリが大きいので鴨になる。
だが、見知らぬ人に長い間触られると、流石に不審に感じるだろう。この点をクリアするにはどうすればいいのか。答えは簡単。迷子のフリである。今僕の年齢は8歳。見た目もけっこういけるタイプ。真っ白い肌に、焦げ茶色の髪。いわゆる男子の髪質ではなく、細く柔らかい。鼻もそこそこ高く、全体的に人懐っこい顔をしている。瞳も茶色。だが、惜しいことに片方だけが二重である。顔は左右対称である方が整って見えるというのは周知の事実であるが、画竜点睛に欠くとはこのことである。惜しい!
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夕暮れ、町の喧騒の中、自宅へと帰る労働者の群れ。リクルートスーツ姿の女性が1人その中をつかつかと歩いていた。肩に下げたバックの中には先ほど買った新作スイーツが入っている。気分は上々。家に早く帰りこれを食べようと足早に歩いていると。
「うぅ、ママぁ…」
歩道で1人泣いている子供を見かけた。10歳くらいだろうか。もう少し幼いかもしれないが、少年の雰囲気を見る限りそこまで幼くは無いと判断できた。
しかし、なんというか泣き顔ですらなかなかに愛らしい子である。将来有望だと、なんとなく思ってしまったのは、今彼氏がいないからであろうか。
頭をふりその子に声をかけるべく近寄る。その時、胸によぎる一抹の不安。危険察知。あるいは虫の知らせ。名状し難い不安を感じた。とはいえ、どう見てのただの子供だし、このまま見過ごしていく方が後味が悪い。ただ、この雑踏の中、誰も声をかけないとはそれもそれでどうなのだろう。
みんな考えていることは同じ。厄介ごとには関わりなく無いというだけだろう。もしくはここの人たちも同じように声をかけようとしたのだろうか。
子供の前に立つ。腰を折り、目線合わせて尋ねる。
「大丈夫、ぼく?ママとはぐれたのかな?」
「…ぅうん。ちがうの。おつかいのかえりなんだけど、かえりみちがわからなくなっちゃった」
「家どこかな?お姉さんが一緒に送ってあげるよ」
「…いいの?」
ふるふると泣いていた様子が一転、人懐っこい笑みを浮かべこちらを見る子供。近くで見るとやはり美形だなとちょっと面食らうが、こちらも自然と笑みを浮かべて事情を詳しく聞く。話の限り、そこまで遠いところに住んでいるわけでは無いよう。これなら送り届けれそうだ。
「じゃあいこっか?」
「うん!お姉さん、てをつないでもいい…?」
「んえっ、ああ、もちろん!」
子供とはいえ、異性と手を繋ぐなんていつぶりだろう。気恥ずかしく思いながら手を差し出す。小さな手を取ると、子供の話からなんとなく当たりをつけた家の位置を目指して歩く。
「ぼくはなんてお名前なの?」
「僕ヘンリー!」
「そう、ヘンリー。ヘンリーは今日何を買いに来たの?」
「めもりーだよ!」
「あぁ、パソコンのメモリーカードかな?ちっちゃいのに偉いね!」
へへへ、と照れ臭そうに笑う姿に、あと10年大人だったら、とくやしく思うが、どうしようも無い。
10分ほどかかってヘンリーの家にたどり着いた。ここまでくるのに思ったより時間がかかった。ヘンリーの言う場所と、実際の家の場所が少しずれていて、探すのに手間取ったからである。まぁでも、たどり着けてよかった。
「ありがとう、お姉さん!」
「いいえ、無事着けてよかったね!」
するりと手を離し、家へと駆け出すヘンリーを見送り、自分の帰路につく。
鞄の中のスイーツは、少しぬるくなり、私は家へと足早に向かった。
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はい、大成功。
なかなかの収穫である。
能力のデータを取る事ができた。非念能力者のメモリを最大まで奪うのにかかる時間は約10分。今日だけで3人からメモリを奪取できた。
目立ってしまうため、しばらくはこの手を使えないが十分である。
にしても、3人目のお姉さん(笑)は面白かったね。僕の手を握る時に顔赤くしちゃってて、しどろもどろになってさ。男なれしてないし、多分処女だな。
いや、猩猩かな?顔赤かったし。まあ、後2人人くらいくらい奪えば、メモリも完全復活だろうし、今日はいい1日だったなあ。
晩飯を食べながらにこにこしていたら、パパりんデレデレ、マミーもデレデレ、冷蔵庫から今日発売の新作スイーツを取り出し、僕に渡す。
今日一番の笑顔で、
「ありがとうママ!」