術式が『百式観音』ってマ?   作:隣の家に晩飯凸する止まらないゴルシ

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続く格闘、終わらぬ決闘

 一体いつからだろうか。

 一体いつから圧倒的強者であると誤解したのだろうか。

 いつから、その強さに満足したのか。

 

 違う。

 

 違うだろう。

 

 俺が目指した武の極み(ネテロ)はそんなもんじゃねえだろう!

 

 神速の巨大な手刀が宿儺の意識を刈り取らんと迫るが、それを意にも介さず宿儺は回避して思考する。

 

 奴の術式は十中八九あの観音の具現、操作だろう。だが問題なのは───

 

 瞬間、金色の張り手が宿儺を地面に叩きつけた。一度では終わらず、数多の張り手が迫り、宿儺を叩きつける。

 

 問題なのは、奴の異常なまでの熟練度! 最低でも五年か十年。気の遠くなるような時間をかけ、ただ一つのことに没頭し続けた結果生じるモノに等しい。

 

 張り手の雨はやがて大地を陥没させ、地下の貯水空間へと彼等は落下した。

 

 空から名入が落下しつつ言い放つ。

 

「ここは墓場───貴様のな」

「ふん。小僧風情が偉そうに」

 

 だが奴の観音にも弱点はある。あの観音の繰り出す攻撃は奴の掌打の型と一致している! ならば勝てぬ道理などない、たとえそれが針山に突き刺された無数の針の中の一つに糸を通すようなものだとしても勝てるのだ―――!

 

 僅か一分にすら満たぬ時間の中で彼らがやりとりした拳は千を越え、時が訪れた。

 百式観音の掌打を潜り抜けなんだが、吹き飛ばされる瞬間、宿儺は己の術式で名入の左腕を刈り取ったのだ。宿儺はその口を三日月のように歪ませ、対する名入は絶望的な顔を見せる。

 

「ほれ、もう片腕だ。今ここで逃げ出せ、そうすれば生かしておいてやる。ここまでの術師を見るのも稀だからな」

「はん、呪いの王様が随分と優しいじゃないか…………何を勘違いしてるのかしらねぇがな、呪いの王よ。腕が無けりゃ祈れねぇとでも?」

「は───」

 

 名入の《百式観音 零乃掌》は彼の敬愛するネテロなものとは違う。ネテロは念能力者である以上、その全オーラを攻撃に回してしまえば《纏》に回すためのオーラを練り出すことができず、百歳を超える老人にふさわしい姿になってしまう。だが名入は違う。彼の百式観音は動力源、素材となるもの両方が呪力であるが故に全ての呪力を消耗したところで雑巾のような姿にはならないし、比較的短時間で少しずつ呪力を練り出せもする。

 

「今分かったよ。漸く分かった」

 

 宿儺が神妙な顔つきでこちらを見る。その瞳に映るのは、鬼か果たして観音か。

 

「俺に足りなかったのは勇気じゃない、覚悟だ」

 

 刹那、一秒にすら満たぬ時間の中、宿儺の背後に百式観音が顕現し、彼を慈愛の掌で包み込んだ。

 その後、恒星のような輝きを放つ光弾───名入の全呪力を変換したものである───が宿儺を襲った。

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