術式が『百式観音』ってマ? 作:隣の家に晩飯凸する止まらないゴルシ
虎杖が藤井の腹めがけて蹴りを繰り出す。
もちろん、それをまともに喰らえば一発KO待ったなしなので、右のほうに体をずらし、蹴りを避ける。
末恐ろしい奴だな、と藤井は思う。
藤井は準一級術師。対する虎杖は精々二級かそれレベルの呪力。だが、ここまで藤井と対等にわたることができているのは、虎杖に備わった異常なまで常人離れした肉体である。
頑強、それに加えて怪力。なんてチーターだクソッたれ。
生半可に本気で行くのは、やめだ。
全力でマットに沈めてやる。
蹴りを避けられ、攻撃に転じるかどうかを考えていた藤井は、その間に虎杖の拳が迫っていることに気づかなかった。対する虎杖は、貰った。と考えているがしかし、こちらもある点では常人離れした人間であった。
虎杖がパンチを繰り出し、あと少しの所でそれに気づいた藤井は左手で虎杖の拳を外の方へと向け、空いた右手で持てる全力を振り絞ったパンチを虎杖の腹へと当てる。
ぱん、というまるで拳銃を撃ったかのような乾いた音が鳴り響き、虎杖が約数メートル後ろに吹っ飛ぶ。
「か――――」
「ま、だまだァ!」
吹っ飛び、腹を抑えている虎杖の顔面に、全力程ではないが、そこそこのパンチを繰り出す。
「ふぅっ―――」
「虎杖ダウン!ワン!」と五条がカウントを始め、藤井はそれに構わずに決着はついたな、と思ったのかベンチへと歩き始めていた。
だが、その認識は間違っていた。
「ツー!」
瞬間、藤井は背後に何かを感じた。
殺気とも、悪意とも、憧れとも、執着とも何とでもいえる何かを感じた。
直ぐに後ろを振り向く。
そこには虎杖が立っていた。
藤井はどこか、暗い表情を隠しきれていないような虎杖をそこに見た。
刹那、藤井の眼は、訓練場の天井をとらえていた。
「ぐっ―――!?」
虎杖がとびかかってきたのだ。
そう、あくまでも勝利条件はダウンさせること――何も、意識を落とさずに地面に10秒間胴体を触れさせれば虎杖の勝ちとなる。
考えたな―――だが!
左肘で、虎杖の左肩を殴り、少しだけ拘束が弱くなった所で脱出する。
「ち――――」
両者共に即座に体勢を立て直し、構える。
先に動いたのは藤井からだった。左手を前に、右手を腰のあたりで拳を作らせ、真正面から虎杖へと向かう。
またアレをするのか、と虎杖。
音を置き去りにしたあのパンチ。骨折などの重症には至らなかったものの、藤井から与えられたたった一発のそのパンチは、虎杖に未だ癒えぬ鈍痛を与えていた。
何をどうすれば、どれ程の時間をかければあんなパンチを繰り出せる。
何をどうすれば、常人離れした自分の肉体についてこれる。
虎杖は深く自問自答する。
例えそれが僅か数秒の、コンマ数秒程度の隙であっても、藤井の眼はそれを見逃すことなく、視界を電気信号に変え、脳へと伝えていた。
つまり、藤井は隙を見逃さなかった。
突如として加速した藤井は、そのまま右手で虎杖の腹に音を置き去りにする正拳突き―――の、応用である右ストレートを叩き込む。
ダメージの緩和も、無効化も、回避も出来なかった虎杖は、そのままマットに倒れる。だが、それでもなお彼は立ち上がった。
「ふん―――――イカレてやがるぜ、お前」
「先輩も中々に、イカレてるよ」
「言ってくれる―――!」
藤井が跳び、虎杖の上から虎杖の頭に拳骨を入れる。
それをまともに食らった虎杖はぐらぐらと脳が、視界が揺れるような感覚に耐えながら、何とか藤井をとらえていた。
「終わりだ―――――」
だが虎杖が見ていた藤井は、最早幻覚といっても差支えのない、実体を持たないものであった。
瞬間、虎杖のうなじに衝撃が走り、虎杖が気絶。マットに倒れこむ。
「虎杖ダウン!ワン!」
「ツー!」
まだ、届かない。どうすれば、良い。どうすれば、勝てる。どうすれば―――
その答えは見つからず、虎杖の意識は真っ暗な海の中へと落ちていった。
えー、重大な報告です。
第一話の後書きにて「あまり長くは続けない」と言いました。
事実、渋谷事変あたりでハッピーエンドにさせようかな、と思っております。
このシリーズがもっと続くだろう、と思っていた方、もっと読みたかった、という方々、申し訳ございません。
ただ、現在考えが二つございます。
1.渋谷事変で一応ハッピーエンド!にはなるけど、呪霊狩りを続けて書く
2.変なことはせず、ちょくちょく番外編を出す。
これら二つをアンケートにしたいと思います。
ご協力、お願い致します。
小説本編完結後について。第八話後書きの選択肢からお選び下さい。
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