泡は影に溶けてゆく   作:悪魔野郎

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見切り発射です。失踪したら許して


転生・母と父

 私は水の中に居た。

 

 いやちょっと待ってくれ、流石に脳の処理が追いついていない。

 えっとまず、私は火事に飛び込んで客全員助けたけど窒息で死んだよね? 水に関係する場所じゃなかったぞ? 

 

 ん? 何かに引っ張られ──

 

 次の瞬間には私は美しい自然の中に居た。美しい女性が私を抱き抱え──すぐ近くの巨大な龍が私の眼を覗いていた。

 

「生まれましたよ! 貴方!」

 

「はしゃがないでくれ。オナゴもビックリするだろうし君の体も心配だ」

 

「……それを言ったら貴方の方も大変でしょうがー。感じ取れる呪力がかなり少ないですよー」

 

「あはは……この場所だったら安静にしておけば数十年で元に戻るわ……百年近くかかるだろうが」

 

「ハァ。私と子供作りたいからって無茶し過ぎです」

 

「……すまぬ」

 

 えーと、話を聞いていると私がその子供らしい。確かに自分の体を確認すると赤ちゃんになっているし若干鱗が生えている。

 

「フフ。これが私の子供か。可愛らしい角だ。だが弱々しいものではない……すまない」

 

「? どうしたの? 貴方」

 

「この子は眼が死んでいる。恐らく天与呪縛だろう。無理矢理に生まれた存在だ。世界が許さなかったのだろう」

 

「そんな……」

 

 え? 私、ちゃんと周り見えて──無い?! え? 何で周りの状況を理解出来るの? 意味分からないよ! あっ赤ちゃんの体力は無いの当たり前だわ。

 

 そのまま滝の気持ち音を聞きながら寝てしまった。

 

 それから何年か経った。

 

「ただいまー。スーパー行ってきたよー」

 

「あー! また一人で勝手に行ったでしょ?」

 

「メモ置いてあったからつい。てか、家事は私の方が上手いじゃん」

 

「ギクッ!」

 

「母を苛めるのはそれくらいにしてあげなさい。泡華」

 

 私は小学生になったが学校には通わなかった。どうしてもあの空間が精神が大人の私には苦痛だったし仕方がない。

 

 さて、今怒られている理由は勝手におつかいに行ったことだ。母さんは全盲の私を気にしすぎなのだ。色々な対策もしているし呪力が切れない限りは問題無いって言うのに。

 

 因みに父は小さな龍になっている。毎日私が生まれた滝の水で組み直せば特に問題は無いらしい。

 

「分かったよ。父さん」

 

「そうだ。まあまあ呪力溜まってきたし、ちょっと出かけてくるよ」

 

 と言った父は人型に変化する。

 

「……やはり小さいな」

 

「力を失ってるんだっけ?」

 

「ああ、ちょっと無理をしてな」

 

 父は人の姿になったがその容姿は中学生程で大人と言うのは難しいような容姿だった。

 

「それよりも仮面はどうだ?」

 

「うん、問題ないよ」

 

 そう言って私は身に付けている狐の仮面を触る。

 

 この仮面は父と母からのプレゼントで角や鱗を隠す能力を持った呪具だ。因みに見える人は普通の狐の仮面に見えるので能力自体はそれほど強力じゃないらしい。それでも見える人と見えない人の区別をつけるのにはとても便利だ。

 

「さて、行ってくる」

 

「行ってらっしゃい。死なないようにね」

 

「お土産よろしくー」

 

「ああ分かった」

 

 そう言って父さんは家を出た。




・人物説明
名前:仙狐 泡華(せんこ ほうか)
術式:【■■■■】
説明:龍として祀られていた龍の父とその巫女の母の間に生まれた。生まれつき全盲と言う天与呪縛を受けているが術式で誤魔化しいている。

名前:仙狐 御影(せんこ みかげ)
術式:なし
説明:とある神社の巫女をしている。術式は無いがそれなりに強い。娘の泡華を溺愛している。

名前:タマミツネ
説明:とある神社で祀られていた龍の姿の呪霊。人間を害する考えはほぼ無く、性質は精霊に近い。御影に恋をし子供を作るために自身に縛りをかけまくり、それの後遺症によって弱体化中。
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