泡は影に溶けてゆく   作:悪魔野郎

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帰郷?

「今日は家族でお出かけしよう」

 

「「いきなりどうした(の)?」」

 

 朝ごはんを家族で食べていると母さんがいきなり言い出した。

 

「久しぶりにあそこに行きたいのよ。貴方の体のこともあるし泡華も泳ぎたいでしょ?」

 

「確かに泳ぎたいし鱗も剥がすの面倒だけどさー」

 

 私は龍と人間のハーフだ。龍と言っても精霊に近い存在だけど鱗や角はしっかり生えてるし手入れもしている。後、鱗は布みたいにしなるのに頑丈なんだよね。何でだろ? 

 

「……そろそろ、泡華の誕生日だな」

 

「あー確かにそうだわ」

 

「本人が忘れてどうするのよ」

 

「……泡華。昔から気になっていたのだが()()()()()()()()()()()()?」

 

「え? バレてたの?」

 

 父さんからビックリ発言を食らって驚く。私の術式の極ノ番は【天眼】(てんげん)と言うもの。私は生まれながらにして極ノ番──いや、極ノ番手前の状態の代物を発動させ続けていた。

 

「私も極ノ番ではないが同じ技を使える」

 

「えーこれは私の奥の手なんですけどー」

 

「フッ十年程しか生きてない子供が私と同格な訳無いだろう?」

 

「うっわ。父さんの分のプリン処分するわ」

 

「やめてくださいお願いします」

 

 そんな会話から私は帰郷? うまれ故郷? に行くことになった。

 

「あー。落ち着くー」

 

「私は正直落ち着かないだけどねー」

 

「すまぬな。私の為に」

 

「あら? 家族が家族の心配するのに理由はいる?」

 

「……変わらぬな。そこに惚れたのだが」

 

「おーい、娘の前でイチャイチャするなー」

 

 因みに父は本来の姿になっている。自身の伝承が強く根付いている土地だと本来の姿でも問題無いらしい。

 

「さて、【天眼】だが恐らく泡華はもう、その真髄を理解しているだろう?」

 

「──影は絶対なる理にして現世に物を繋ぐ鎖」

 

「そうだ。【天眼】はそれを深く、深淵に触り、理解し、広げ認識する奥義だ」

 

 父の龍のあらゆる物を砕くことが出来る手で私を優しく包む。

 

「──ここは海の底。誰も立ち入れることの出来ない世界」

 

「──我らは知る。絶対なる理を。絶対なる真理を」

 

「──それでもなお、知りたくてたまらない我らは愚か者か? それとも」

 

「──ここは深淵。誰も知らぬ深い深い影の世界」

 

「──眼を開け」

 

 そこは父さんの領域。全てが凪でおりそして──とても恐ろしい。

 何故、そう感じるかを説明するとすれば分かるのに分からないだ。確かに目の前に父さんが立っている。でも父さんじゃない。──だから眼を閉じる。本質はそこではない。もっと深く見せかけに惑わされるな。

 

深く深く深く世界を知りたければ世界を支配し掌握し理解しろ

 

 だんだん自身も溶けてゆく。泡影。成る程その通りだ。()()()()()()()()()()()()()()

 

「見えた」

 

「お見事」

 

 数百メートル程離れた位置で息切れする父はそう言った。

 

「フゥ。まさか、私の中にまで入ってくるとは。下手をすれば飲み込まれていたな」

 

 領域から出て見えなくなった景色を名残惜しみながらもゆっくり眼を閉じる。

 

【天眼】(てんげん)

 

 私は本当の【天眼】を発動する。世界が一変したようだった。天上天下唯我独尊。正しくそう表現するべき感覚が──

 

「バーベキューしましょー!」

 

「「……」」

 

 母さんの声で終わってしまった。

 

「漫画で言う登場人物の覚醒みたいなところだったのに」

 

「……まあ、彼女らしいが」

 

 そう言って父は人の姿になる。180cmの身長と綺麗な金髪。立派な角と綺麗な鱗。どこのギャルゲーの王子様だと言いたいレベルの美男子である。

 

「うーん、我が父ながら違和感がものすごい」

 

「おーい、焼けたぞー」

 

「はーい! さっき取ってきた魚も焼こう」

 

 そう言って私達家族はバーベキューを楽しんだ。

 因みに父とは肉の奪い合いをして母さんの拳骨が飛び込んだ。




因みに母さんが泳げないのを知っていたので泳いで逃げようとしたら石に呪力を込めて投げられたので逃げられなかった模様
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