ストーリーの考案もそうですがなによりどうやって投稿するかにすごく悩みまして…(詳細は活動報告へ)
とにかくこうして投稿できたので、最後まで書き終われるよう頑張ります!
「んー…」
窓から差してくる日差しで目が覚める。私は大きく伸びをすると、ベッドの脇に置いてあるカレンダーに×印をつけた。そのカレンダーは、私がこの村に来てから、ほぼ2か月がたっていたことを示していた。朝の準備運動を終えると仕事までまだ時間があったので、私は今まで自分の身に起こったことを、頭の中で整理することにした。
私たちがファントムを撃破したとき、その断末魔によって私の仲間たちは全員、時空を超えてこの世界へと飛ばされた。かくして私たちの世界の平和は保たれたものの、私たちが全員そろってあの場所に戻れるかどうかは、今のところ分からない。
なぜなら私は今、とある村にいるのだ。それも、一人きりで。
空気がある。むしろおいしい。
私が最初にこの世界で抱いた感情はそんなものだった。私が目を開けて辺りを見渡すと、そこはどうやら洞窟の中のようだった。
「あっ――アルド!未来!みんな、どこかにいるの?」
未来たちはどこへ行ったんだろう、と思い大声で名前を呼んでみる。が、返事はない。人が近くにいる気配すら感じられなかった。
「そんな……」
私は仕方なく出口を目指すことにした。近くに町か村があれば、皆そこにいるかもしれないという細い糸でつながっている希望を手繰るようにして、私は進んだ。
そして、そこからどれほど歩いただろう――道中見たこともない魔物に襲われ、途方もない距離を歩いてまさに満身創痍の状態だったが、私はようやく、洞窟の出口を見つけた。体の疲れを忘れ、私は一心に走った。しかし出口まであと少し、というところで、背後から不意に光が飛んできた。
「まずっ」
と私が思ったのとほぼ同時に、近くにいたらしい魔物が放った雷が、私の体を貫いた。その瞬間私の体に先程の疲れが濁流のように押し寄せ、私は意識が急速に遠のいていくのを感じた。
「――!――すか!」
「ん…」
耳元で誰かが何か言っているのを感じ、私はうっすらと目を開けた。どうやら私は、ベッドの上で横たわっているようだ。恐らくあの先頭の後、誰かがここまで運んでくれたのだろう。ならば、ここは町か村の可能性が高い。そして、未来もここに――
「良かった、目を開けてくれました!私の声が聞こえますか?」
目の前にいたのは、未来ではなかった。独特な服を纏った、私より少し年上らしい女性が、心配そうにこちらを見つめている。私はゆっくりと体を起こした。
「えぇ、大丈夫です。それより、ここは――」
「ここは、翼人の村です」
翼人、という単語は聞いたことがなかったが、私はすぐにその言葉の意味を理解した。と同時に、彼女の背中に生えている、大きな白いものにも気が付いた。それは立派な――翼。
と、その女性は急に顔を赤らめ、翼を隠すようにしながら言った。
「あ、あまり翼をじろじろ見ないでください!破廉恥です!」
破廉恥!?と思うのも束の間、彼女は急いで部屋から出ていこうとした。
「あっ、待って!」
私の声に、彼女は立ち止まってくれた。
「ありがとう、えっと――」
「ミストレア――私の名前は、ミストレアです」
「ミストレアさん。それと、さっきは翼をじっと見つめたりしてごめんなさい」
私が謝ると、ミストレアという名の女性は小さく笑みを浮かべた。
「いえいえ、初めてここに来た人は誰だって同じことをしますから。それと、わたしのことはミストレア、と呼び捨て呼んでもらって構いませんよ」
彼女の純粋無垢な笑顔に、私も笑顔で返した。
「うん、分かった!ありがとう、ミストレア!」
その後私はミストレアの勧めで、未来たちを探す拠点として一時的ではあるもののここに住むことにした。村の仕事を、村長であるセゼという名の女性から教わり、苦労しながらも仕事をこなし、村の人達とも仲良くなり、今に至るという訳だ。
「いろいろあって楽しかったなぁー」
改めて、私はここでの生活に感慨深さを覚えた。ミストレアの優しさとセゼの包容力の高さには、いつも救われてきたものだ。
「――でも、未来たちの情報は何も得られなかった…」
そう、未来たちの消息は未だ不明のままだ。翼人たちの協力により、少なくともこの地――ゼルベリア大陸には、彼らがいないことだけは分かった。全員、無事だといいけれど――
「――あっ、そろそろ仕事に行かないと」
すっかり眠気も消え、私は今日も頑張るぞ、とドアの取っ手に手をかけた。瞬間、外側から入って来たミストレアに、私はドアごと外に引きずり出された。
「うわぁぁ!?」
彼女の可愛い悲鳴を背中に受け、私は「おはよう、ミストレア」と苦笑交じりの挨拶をした。
「いやー、急にドアが開くもんだからびっくりしちゃったよー」
「ごめんなさいヒビ、私の不注意で…」
「大したケガもしてないから、これぐらい平気、へっちゃらだよ」
ミストレアは少々変わった呼び方をする。私のことは"ヒビ"と呼んでいた。
「それで、何で急に私の部屋に?」
「あぁ、そうでした――実は今日、教会本部の方から視察のために神官の方が何人か来るそうです。あなたが探しているという人のことを何か知っているかもと思って伝えに来ました」
「そうなんだ!ありがとうミストレア!」
ミストレアは、いつもの優しい笑顔で答えた。
「ええ、どういたしまして。そろそろ到着されると思うので、村の入り口まで行ってみてはどうでしょう?」
村の入り口に近付くにつれて、私の耳に不思議な旋律が聞こえた。
「不思議な歌…でも、なんだか落ち着く」
私が入口に着くと、ちょうどその唄は終わったようだ。周りの翼人から拍手が沸き起こっていた。そして、子供の声も。
「ちょっとメリナ!チルリルよりちょ~~っとお歌が上手なだけで調子に乗らないで欲しいのだわ!」
そして、こちらは落ち着いた子供の声。どうやら、こちらは先ほど歌っていた子のようだ。
「別に調子に乗ってなんかいないわ。悔しいならあなたも歌ってみればいいじゃない」
「うむむ~~!」
完全に言いくるめられた少女を擁護するかのように、二人の人物が進み出る。1人は30~40代くらいの、片目に傷跡がある神父らしき男性。そしてもう一人は、性別が分からない白髪の人物だった。
「それまでにしてあげて下され、メリナ殿。チルリル殿はこう見えて、"エルの唄"を自分が歌えないことをかなり気にされていますからな!」
「プライ、それは全然チルリルの擁護になってないんじゃ…」
「クラルテの言う通りなのだわ!全く余計なお世話なのだわ~~っ!!」
少女の怒りに満ちた声と共に、斬撃の音。次いで、「ぬわ~~っ!?」という声と共に、先程の神父がこちらに向かって飛んできた。
「うわぁぁ!?」
危ういところでかわすと、彼は私のすぐ近くで、頭から地面に激突したようだ。慌てて救助に向かうと、驚くべきことに彼の顔には傷一つついていない。
「はっはっは!この地でチルリル殿に飛ばされるのは初めてですな!」
と何事もなかったかのように笑う神父に目を丸くしていると、先程の一団がやって来た。
「まったく、いくらあなたとはいえそのうちボロが出るわよ…って、あら?」
先ほど唄を歌っていた女の子――確か、メリナという名前だった――は、私の存在に気づくと、興味ありげに近づいてきた。
「あなた、この辺りじゃ見ない顔ね。それに服装もこの辺りじゃない…」
「まぁまぁメリナ、どんな人だろうと平等に接するのは、神官として当然だと思うのだわ?」
「あなたは警戒心がなさすぎるのよ…」
そんな二人のやり取りに思わず顔をほころばせていると、それに気づいたメリナは同じく笑顔を見せた。
「でも、あなたは悪い人ではなさそうね。どこから来たのかは分からないけど、これからよろしく。私はメリナよ」
「チルリルはチルリルなのだわ!剣もつ救世主の生まれ変わりとはチルリルのことなのだわ~~!!」
メリナと、その隣からぴょんと飛び出してきたチルリルという名前の女の子、そして先程の神父と白髪の人物――それぞれ"プライ"と"クラルテ"というそうだ――に挨拶を済ませると、私はミストレアも読んで本題に入った。
「私は、人を探してここまでやってきました。今どこにいるのかは分からないけど、大切な人だから――あなた達が何か知ってるか、知りたいんです」
「うーむ…それでは、その者の名前を教えてくださいますかな?」
プライが腕を組みながら聞いてきた。その貫禄と雰囲気に似合わずまだ二十代だというのだから驚きである。
「えっと、探してるのは、小日向未来。それから――アルド」
「えっ――」
「「「「「アルド(なのだわ)ッ!?」」」」」
と叫んだのは、メリナ達神官だけでなく、ミストレアもだった。
最後までお読みいただきありがとうございます!
さて、初回からいきなりネタバレ要素がたくさん入ってきてしまっていますが…ここから更なるネタバレ注意!アナデンをやっている方で外典「剣の唄と失楽の翼」をクリアされていない方は特に注意ですのでご了承を…ちなみにロゼッタさんは教会で待機中です。(そのうち出てくるかもしれ)ないです。
今回の舞台は、西方ゼルベリア大陸の「翼人の村」です。とはいってもあまり村の住民たちが翼人っぽさを醸し出しているかと言われるとちょっと微妙ですが…それはそうとして。
今回の小説は古代西方が主要な舞台なのかな?と思われたかもしれませんが先に言っておきます。全くそんなことはございません。
何故響は一人でゼルベリア大陸まで飛ばされてしまったのか、そしてアルドや未来たちはどこへ行ってしまったのか…?その辺りを、次回以降から掘り下げていこうと思います。
前置きが長くなってしまいましたが次回予告!
「あれ、未来さんは…?」
響とはぐれてしまったアルド一行は、彼女を探すことに。しかしその最中、未来がどこかへ行ってしまい――
次回[Apple]
これからも変わらず読んで下さい!それでは、お楽しみに!