戦記絶唱シンフォギア 時空を超える愛   作:可惜夜ヒビキ

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そういえばこの話、まだオチが考えられていないんですよね、、、要するに見切り発車ってことです、ハイ。

それでは本編をどうぞ!


Chapter.1 Apple

<side アルド>

 

気が付くと、オレは固い地面の上にいた。

 

「ここは――エアポートか」

 

周りを見ると、全員がここに転移されたようだ。シンフォギア装者たちは、初めて見るこの光景にひどく驚いているようだが。

 

「デデデデース!?地面が浮いてるデスよッ!?」

「切ちゃん、あんまり端に近付きすぎて落ちないようにね」

 

 

「まったく、いくらなんでもはしゃぎ過ぎだろう」

 

彼女らの様子を見かねたギルドナが、ため息をつきながら言った。

 

「まぁまぁ、少しあのままにしといてやろうよギルドナ。お前だって最初にここに来たときは『どうやって浮いている!?どの魔獣の仕業だ!!』なんて言ってたしな」

「おいアルド、お前はよっぽどこの下に行ってみたいようだな――お望みなら、すぐに連れて行ってやろう」

 

そう言いながらギルドナが腰に提げた剣を持ち上げようとしたので、オレは慌てて「すまんギルドナ!ほんの冗談じゃないか!?」と宥めた。そんなこんなで気が付けば1時間が経過していた――異変に気が付いたのはその時だった。

 

「響…?」

 

呟いたのは未来だった。彼女の消え入りそうな言葉に、オレもハッとして辺りを見渡す。少し遅れて、全員がそれに気が付いた。

 

「響が、いない――」

「おいバカ!どこで道草食ってんだよ――ッ!!」

 

クリスの渾身の叫びは、虚しく空に響き渡っただけだった。返事をする者はいない。この時オレは、ある一つの可能性に辿り着き、二の腕が粟立つのを感じた。

 

「おい、嘘だろ…そんな、まさか――」

「ドウしマシタか、アルドサン?」

「これはあくまでオレの考えだけど――もしかすると彼女は、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

その言葉に誰よりも食いついたのは未来だった。蒼白な顔で口をぱくぱくさせていたが、しばらくするとやっと小さく声を出した。

 

「――それは、あり得る話なの?響はこことは違う、別世界に…?」

 

これに反論したのはリィカだった。

 

「イイエ、ひとつノ時空の穴からハ、異空間に飛ばさレルことはアリマセン。アルドサンの仮説が正しけれバ、響サンは恐らく、同じ世界で別の時代ニ飛ばさレタ、と考えられマス」

「良かった…それなら、まだ探せるかもしれないのよね?」

「ソレデモ、膨大な時間を要スルことにハ変わりマせん、ノデ……」

「とにかく、今はオレ達に出来ることをやろう。まずは信頼できる人のところへ行くから、ついてきてくれ」

 

俺の言葉に、ヘレナが首をかしげる。

 

「信頼できる人物……?あなたは良くも悪くも顔が広いから、本当に信頼できるかは謎だけれど」

「だ、大丈夫だってヘレナ。オレだって信用できるかできないかぐらい分かるよ――まぁ、それはそれとして、とりあえずその場所に向かおう」

 

* * *

 

「――なるほど、事情は分かったよ。大丈夫、響さんのことは私たちIDEAの名に懸けて、必ず見つけ出してみせるさ」

 

数分後、オレ達はIDAスクールH棟のIDEA作戦室に来ていた。ちょうどそこにはIDEAのメンバーが集結しており、こうして話を聞いてもらっているという訳だ。

 

「ところでイスカ、この場所にこんなに人が押し寄せてきて大丈夫なの?私たちは一応、IDAスクールの極秘組織のはずだけれど」

 

ヒスメナの答えに、イスカも思わず苦笑する。

 

「まぁ、連絡もなしに来られては仕方がないさ。それにもう、私たちはIDAスクールを縁の下から支える存在ではなくなりつつあるからね――それより、どうだい?彼女らしき人物は見つかったかな?」

 

必死に画面を見ていたオペレーターとサキが、そろって首を振った。

 

「いいえ…エルジオン中の監視カメラの映像を洗いざらい探していますが、ヒット件数は0です」

「現在、クロノ・クランにも協力を要請してガルレア大陸でも捜索をしてもらっていますが、未だ足取りはつかめていません」

「そうか…分かった。そのまま続けてくれ。何か発見があればすぐに知らせてほしい。それとサキはこっちへ――我々も外に出るかもしれない。1人でカメラの調査をお願いしてもいいかな?」

「問題ありません、会長!」

 

元気に返事をするオペレーターに笑みを返すと、イスカはクロード、サキ、ヒスメナを招集した。

 

「――という訳で、今回は彼女――立花響さんを探してもらう」

「IDEAともあろう組織が人探しか?こういうことはEGPDに任せた方が適任だと思うが」

「まぁまぁクロードさん、せっかくアルドさんが私たちを頼ってくれたんですから、それに応えないとですよ。それに、もし響さんがスクールの敷地外に――ひいてはアルドさんの言うように全く別の時代に飛ばされているとなったら、IDEAの中だったら私たちが適任じゃないですか」

「それもそうか。――それで、具体的にはどうやって探すんだ、イスカ?」

 

イスカは少し腕を組んで考えているようだった。オレも普段は使わない頭を一生懸命働かせる。

 

「――あっ」

 

いい案はすぐに思いついた。こういう時にオレがいつも行っている手法だ。エイミが尋ねる。

 

「なにかいい案でも浮かんだの、アルド?」

「あぁ――聞き込みをするってのはどうだろう?意外と見つかるもんだけど」

「なるほど、アルドらしい考えだね。恥ずかしいことだけれど私もいい案が浮かんでこないんだ。今は全員で、聞き込み調査と現地調査を行おうか。――ヒスメナ、あれを」

 

イスカの呼びかけに、ヒスメナが俺達を取り囲んでいる机に設置されたパネルを操作した。ほどなくして浮かび上がってきたのは、エルジオンとその周辺地図だった。

 

「まず、アルドとリィカ、そしてエイミの3人はエルジオン内を探してほしい。場所はシータ区画、デルタ区画、イオタ区画だ」

「合点承知デス、ノデ!」

「そしてサイラスとギルドナは工業都市廃墟を、マリアさんは廃道ルート99を、翼さんはエアポートを、ヘレナとクリスさんはゼノ・ドメインを、切歌さんと調さんはラウラ・ドームを、そして未来さんは最果ての島にそれぞれ赴いてもらいたい。IDAスクールの敷地内は、私たちIDEAが探してこよう」

「あの、私は…?」

 

心配そうに尋ねるフィーネに、イスカはここに留まるよう言った。

 

「君の実力を甘く見ているわけではないさ。君にはここで、状況の確認をしておいて欲しい」

「状況の確認…ですか?」

「あぁ、これから君たちに配る端末に、各場所であらかじめ指定しておいたチェックポイントの座標を送る。その地点に来たら自動で信号が送られるから、君はここでその数を確認していてくれ」

 

そして、イスカはパネルの一部を指差しながら説明を続けた。

 

「ここに表示されているリストに、チェックポイントを通過したかの記録が取れるようになっている。このリストにチェックがすべて入ったら――」

 

そして、隣に置いてある携帯端末を指差した。

 

「――この端末のここのボタンを押して、すべてのチェックポイントを通過したから戻るように、と全員に連絡を取ってもらいたいんだ。頼めるかな?」

「は、はい!頑張ります!」

 

彼女の初々しげな受け答えに笑みをこぼすと、イスカは再び向き直った。

 

「それではみんな、今度ここに集まる時は、響さんも一緒だ。それでは――作戦開始といこうか」

 

* * *

 

「うーん、駄目か…」

 

オレはあの後すぐにエルジオン-イオタ区画内で聞き込みを始めた。およそ20~30分かけてジノーやスザンヌなど顔の広そうなブローカーも含め十数人と話したものの、有用な情報は得られなかった。

 

「そう簡単に見つかるもんじゃないよな…リィカ、エイミ、そっちはどうだ?」

 

リィカとエイミが、携帯端末の画面越しに話しかけてくる。

 

「駄目デス、アルドサン。シータ区画でモ、そレらしキ人物も情報も皆無デス」

「親父とか店の常連客に聞いてみたけど、そんな人は見たことがない、ってみんな首を横に振っているわ」

「そうか、そっちもまだいないか…こうなると、エルジオン内の人間じゃ無理がある気がする――エイミ、リイカ、どっちか司政官室に行ってくれるか?」

「私ガ行きマス、ノデ!」

「分かった、それじゃあ頼むリィカ。エイミはセバスちゃんのところへ行ってくれないか?彼女ならいろいろと知ってそうだ」

「分かったわ、アルド。それであなたは、どうするの?」

「あぁ、こっちでもエルジオン内外を広く知ってそうな人を当たろうと思う」

 

* * *

 

「――なるほど、そういうことねぇ…」

 

数分後、オレはイオタ区画、オークションハウス内の酒場に来ていた。俺の周りではハーディー、シンシア、ソフィアの三人がテーブルを囲んで座っている。

 

「でも、俺はそんな子知らないなぁ。もし見かけてたら一言声をかけてるし」

「ハーディー、あなたはそんな不埒な男だったの?」

 

ソフィアに睨まれ、ハーディーは慌てたように両手を上げた。

 

「おいおい、ほんの冗談さ!――それでも、俺は見たことがないな。彼女の情報は、エルジオン内部でも外部でも見たことが無い」

「私も、見たことがありませんわ…先ほどスザンヌにも聞いてみましたが、彼女も知らないそうですし…」

 

スザンヌ、というのはイオタ区画に住んでいる仲介人(ブローカー)のことだ。が、俺も先ほど当たってみた人物の1人なのだから、知らないと言えば当然なのだろう。シンシアに続いて、ソフィアも首を横に振った。

 

「私もないわね…少なくとも、この時代では」

「――?この時代では、ってどういうことですの、お姉様?」

「私は長い間本の中に閉じ込められていたから、その本の記憶を見ることができるのよ。少し時間はかかるけれど――どう?」

 

オレは考えるまでもなく口が動いていた。

 

「あぁ、よろしく頼んだぞ、ソフィア」

 

携帯端末からフィーネの声が聞こえたのは、それと同時だった。

 

「――ええと、すべてのチェックポイントが通過されたので、皆さん戻ってきてください」

 

* * *

 

 

オレは数分後、再びIDEA作戦室を訪れていた。隣にはソフィア、シンシア、ハーディーがいる。

 

「アルド、あなた…」

 

呆れたような顔でヒスメナが話しかけてきた。

 

「本当に人たらしの権化のような人ね。そろそろこの作戦室も増築することを考えようかしら」

「わ、悪いヒスメナ。昔からの付き合いでさ」

 

オレの慌てた様子を見て、ヒスメナは満足そうに微笑んだ。

 

「はいはい、あなたならそう言うと思ったわ。…それより、これで全員かしら?」

 

オレも彼女に倣って周りを見回す。ソフィアたちも加わったので、IDEAのメンバーも含め現在オレ達の総勢は20人。そして、今この場所にいるのは――19人。

 

「あれ、未来さんは…?」

 

フィーネの言葉を受けて、イスカが顔をしかめながら口を開いた。

 

「信じたくはないが、彼女とは現在連絡が取れない。何かのトラブルに巻き込まれた可能性が高いと思った方がいいだろう」

「それなら、皆で未来殿のいる場所に赴くのが良かろう。して、彼女はどこにいるでござるか?」

「彼女がいるのは最果ての島だ。我々がかつての司政官に、話を聞きに行った場所でもあるな」

「それなら早く、その場所に行くデスよッ!!未来さんのことは、アタシも心配デス!」

「あぁ、善は急げだ。早急に支度を整えて、最果ての島に向かおう」

 

* * *

 

「あ、暑いデス…」

「まさかこんなに浜辺が暑いなんて思ってもみなかったのですわ…」

 

シンシアと切歌のぼやきはよく分かる。確かに砂浜が熱くなっていた。俺が前に来た時より、海水温も高くなっている。

 

「もうやだ…寝る…おうち帰りたい…」

「何言ってるのよシンシア!ここまで来たなら帰りたいなんて言わせないわよこのあんぽんたん!」

 

相変わらず少し独特な叱り方でソフィアがシンシアに喝を飛ばすと、後ろからサキが続いた。

 

「大丈夫ですよ、何かあったら私の力で気温を下げることだって出来ますから」

「サキのそれは冷やす力じゃなくて凍らせる力でしょ…」

 

ヒスメナのツッコミを受けてサキがえへへ、と少し笑った時、ようやく目の前に建物が見えてきた。

 

「あれは…みんな、宿屋が見えてきたぞ!」

 

途端、調と切歌、そしてシンシアの3人が駆けだした。

 

「宿屋――なら、ベッドがあるはず!」

「ふかふかのお布団で一休みするデースッ!!」

「わたくしももう足が限界なのですわー!」

 

先ほどのぼやきはどこへやら、早足で宿屋へ向かう3人に向かって、慌ててオレは大声を出した。

 

「おーい!その前に未来を探してくれ!」

 

が、その声が聞こえることはなかった。3人はそのまま宿屋の中へ駆け上がり、たちまち姿が見えなくなった。

すぐに後を追うが、入り口についた時は3人は既にエレベーターに乗り込んでいた。

 

「なぁ、さっきの3人…どの部屋に向かったんだ?」

 

オレは受付のお婆さんに、息を切らしながら訪ねた。オレの後ろにいるフィーネや翼、ソフィアたちを見て、お婆さんは目を丸くした。

 

「あら、さっきの子たちと同じ部屋に行くのかい?また随分と多いねぇ。部屋は203号室だけど、あの子たちは私が言い終わる前にエレベーターの方に消えて行っちゃったからねぇ。きっと二階のどこかにいると思うから、探して正しい部屋を教えに行ってくれないかい?」

「あ、あぁ…分かった!」

 

まったく、彼女らは本当にせっかちだな――そんなことを思いつつ、オレはIDEAのメンバーとシンフォギア装者達を一階に残し、先に彼女らのいる二階へと向かった。オレ達の部屋は203号室なので、彼女らが入った部屋とは恐らく、エレベーターから一番近く――201号室だ。だが扉を開ける直前、部屋の中から「いいわよシエルちゃん!もっとカメラ目線でポーズポーズ!」と明らかにシンシア達とは違う声が聞こえたので飛ばして、オレは202号室の扉を開けた。すぐに、調と切歌の後ろ姿が見えた。

 

「まったくお前たち、部屋を間違えてるぞ。あんまり先走ったら――」

 

そこでオレは声を出すのをやめた。正確には、驚きから声が出なかった、と言うべきか。無言でたたずむ三人の前に、あるはずのないものが現れていたのだ。

 

青い光を周囲に放ちながら大きく不気味に広がる、異世界への入り口。その中は漆黒の闇に包まれ、外側からどうなっているかを確認することはできない。

 

「嘘…なんで、あれがここに――」

 

いつの間にか2階まで上がってきていたサキの呟きに、同感せざるを得なかった。――夢意識の扉が、口を開けていた。

 

「……悪い予感ほど、当たるものだね」

 

俺の後ろで、イスカが重々しく呟いた。




最後まで読んでいただきありがとうございます!
そういえばこの前、今度書く予定or書いている途中の小説一覧をまとめてみたらなんと20個弱ほどありまして…大半はストーリー構成など全く決まってませんがいつかはそれらすべてをここに投稿出来たらと思っています。




それでは次回予告!

「あらぁ皆さん、揃いもそろってお困りですかぁ?」

時は古代、B.C.20,000。アルドとその仲間たちを探すため、ゼルベリア大陸から中央大陸へと向かった響たち一行。そんな彼女たちの前に現れたのは――。

次回[Beyond the time]

お楽しみに!
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