戦記絶唱シンフォギア 時空を超える愛   作:可惜夜ヒビキ

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アナデンPC版が実装されて気が付けばついついそちらに手が伸びてしまう…加えて小テストの波、気が付けばもう年末――さーて今年はあとどれだけかけるのでしょうかねぇ…

それでは本編どうぞ!


Chapter.2 Beyond the Time

<side クラルテ>

 

「アルド(なのだわ)ッ!?」

 

思わず声を出したけれど、私は内心あまり驚いてはいなかった。またアルドがどこかで気の合う仲間を連れてきたのか、と納得していた。けれど、そうなると別の疑問が生まれてくる――

 

「あなた、アルドとは一緒に旅をしていたの?」

 

メリナからの問いかけに、その少女が答えた。

 

「うん…私たちの世界で、一緒に戦ってくれたんだ。そのあと、気が付いたらここに…」

 

私が感じていた矛盾は、彼女の答えを聞いて確信へと変わった――なぜアルドと一緒にいたはずの彼女が、アルドがここを最後に訪れてから半年ほど経った今に、一人で倒れているのか?私の疑問は廻るばかりで答えが出なかった。すると、同じことを感じていたのだろう、プライが口を開いた。

 

「しかし、どうして貴殿はアルド殿と一緒ではないのだ?彼が最後にここを訪れたのは、おおよそ半年もさかのぼるだろうが――」

「私、アルドとこの世界に来る途中で離れ離れになっちゃって…それで気が付いたら、洞窟の中にいたんだ」

 

彼女の言う洞窟とは、恐らくダヴォラ地下空洞のことだろう。今まで聞いた情報を頭の中でまとめようとするが、今まで聞いてきた情報からでは、真相は分からない。

 

「うむむ…情報が少なすぎて頭が混乱するのだわ…」

 

チルリルが頭を抱えてうんうん唸ってしまったので、私は話題を変えることにした。

 

「それよりも、君は今迷子ということになるのかな?」

 

私の問いに、少女は少し肩を落として答えた。

 

「うん…気が付いたら、皆とはぐれちゃってたからね」

「だったら、私の考えを少し聞いてくれるかい?」

 

首をかしげる少女に、私は説明を始めた。

 

「正直、君に関することは分からないことが多いけど…1つはっきりしているのは、君はこのままゼルベリア大陸に留まるべきではないということだ」

「…ここを出て行け、ってこと?」

 

彼女の顔が少し険悪な色に染まりかけたので、私は慌てて付け加えた。

 

「そうじゃないさ――中央大陸に行けば、アルドや君の仲間たちの手掛かりがあるかもしれない、ということだよ」

「それって、どういう…?」

「アルドはここ半年、ここを訪れていない。きっとその間に、君たちの世界で旅をしていたんだろうけれど――とにかく、少なくとも彼の消息に関する情報は、ここでは得られないだろうね」

「そこまでは分かった――けど、何で中央大陸に行けばいいの?」

 

今度は私に変わって、メリナが口を開いた。

 

「アルドはもともと、中央大陸からこの地にやってきたわ。それに中央大陸には彼の知り合いもここよりもっといるはずだもの。それに、"彼女"だって…」

「――?彼女って?」

 

再び首をかしげる少女に、メリナは首を振った。

 

「ごめんなさい、別に気にすることじゃないわ。彼女、というのはロゼッタのことよ。彼はアルドと一緒に旅をしていたこともあるから、彼女ならきっと何かしら知っているはず――」

「ロゼッタさん、だね!ありがとう!」

 

先程とはうって変わって元気に走り去ろうとする彼女を、チルリルが止めた。

 

「あぁ~っ、待つのだわ!一体どこに逃げようというのだわ!?」

「逃げるわけじゃないよ、中央大陸に行くんだよ!」

「それならなおさら待つべきよ。ここから中央大陸に行くには、まずアリント港まで行かなければならないわ。ここからアリント港までは、早く見積もっても半日はかかるわよ」

 

メリナとチルリルが必死に止め、彼女は足を止めた。少ししゅんとした顔で、彼女が口を開いた。

 

「それじゃあ、これから半日かけてひたすらそこまで歩くの…?」

 

私はちょっと考えて、

 

「いいや、半日も――もしかしたら30分もかからない方法があるよ」

「本当!?どうやって行くの?」

 

私は空を見上げて答えた。

 

「それはあとのお楽しみさ。ミストレア、セゼと体力のありそうな人たちを何人か連れてきて――」

「言われなくても、私はここにいるぞ」

 

聞き覚えのある声に視線を落とすと、そこには白髪の翼人――セゼと、協会本部からやってきていたヨハンがこちらに向かってきていた。

 

「何やら騒ぎがすると思ってきてみれば君たちだったのか、銀髪くん。ところで、彼女は新しいお仲間かい?」

「いいや、彼女はアルドとはぐれてしまったようなんだ。これから中央大陸に連れて行こうとしたところさ」

「ふぅん、なるほどねぇ…」

 

ヨハンは自分のコートの懐を漁ると、そこから青く光るものを少女に渡した。

 

「これは…?」

「これは自分がいる場所を教えてくれる遺物さ。使い方はそこの銀髪くんに聞いてくれ――さて、私はお暇させてもらうよ。ここでの用事は済んだし、まだ塔守としての仕事は山積みだからね」

 

背を向けて去っていくヨハンに一言「ありがとう」と声をかけてから、私はセゼに向き直った。

 

「さて、セゼ――私たちと一緒に、アリント港まで飛んでくれないかな?」

 

彼女はフンと鼻を鳴らした。

 

「どうせそういうと思っていたよ――分かった、私達3人と、あとはガタイのいいこいつらで足りるだろうな」

「あぁ、ありがとうセゼ。今度何か御馳走しよう」

「いいや、その言葉だけで私には十分だ。さぁ、すぐに出発する。全員、用意したら合図を出せ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後、私はその少女――響を乗せて大空を飛んでいた。出発前に、各々の自己紹介は済ませてある。風を受けてそう快感を覚える私の隣で、響が驚きながらもはしゃいでいた。

 

「すごい、すごーい!クラルテって――ううん、ミストレアやセゼさんも、みんな力持ちなんだね」

「君やメリナぐらいだったら、背中を乗せて自由に飛び回れるさ。…もっとも、プライだけは別だけどね」

「あはは、確かにプライさんがこの面々の中じゃ一番乗せづらそうだね――そういえば、この遺物?の使い方、教えてもらえるんだっけ」

「あぁ、そうだったね。ちょっと貸してごらん」

 

私はスピードを保ったまま、前方に注意しつつ遺物をぐるりと見回した。

 

「――なるほど、分かったよ。側面についている青いボタンを押すんだ」

「えっと…これかな?」

 

響がぎこちなく操作する。すぐに起動音が聞こえ、遺物が息を吹き返したのが分かった。

 

「おぉっ、本当だ!地図が表示されて、私たちの居場所も――ここは、裂け目の上?」

「あぁ、もうそんなところまで来てしまったんだね。それじゃあ少し余裕もあるし、見せてあげようか」

 

そう言うと、私は高度を下げ、雲の下へと降りていった。そして、それが晴れると――ゼルベリヤ大陸の東の海を南北に貫く、巨大な裂け目が見えてきた。

 

「すごい…」

 

背中で、響が息をのむ声が聞こえた。

 

「どうだい?あれが"巨人の爪痕"さ。あの中にも道があって、そこを進むとミルシャたちマーメイド族が住んでいるんだ」

「マーメイド族…!?いつか会えるかな?」

「あぁ、きっと出会えるさ。君が心から望めば、ね」

 

私の返答に、響は満足したようだ。背中から、彼女がはにかむ声が聞こえた。

 

「――っと、そろそろアリント港だ。響、船が見えるよ」

「本当!?…あっ、見えたよ!」

 

その言葉を受けて、私は翼をより強く羽ばたかせた。後ろでプライが「ぬわぁぁーっ!?まだ落ちてはなりませんぞ、頑張って下され!!」と言っていたのは気のせいだろう。それから数分と経たずして、私たちは再びゼルベリアの地を踏んだ。

 

「ルテ、ヒビ、お疲れ様です!」

 

ルテ、ヒビというのはそれぞれミストレアの私と響に対する呼び名だ。

 

「ははっ…やはり早いね、君たちは」

「当たり前なのだわ!チルリルとセゼがメリナに負けるわけがないのだわ~!」

「…出発してすぐにこの調子でな。そのせいでいつもより早く飛んでいた」

「メルもそれで躍起になっちゃって、私とセゼの二人でいつの間にか競争しちゃってました。ふふっ」

 

そうこうしているうちに、全員が揃った。プライを運んでいた翼人の若者が「俺はもう駄目だ…」と言っていたが。

 

「さて、私たちを連れて行ってくれる船は――」

 

私が言い終わる前に、停めてある船のうちの一隻から、聞き覚えのある声が聞こえた。

 

「あらあら、皆さんお揃いですかぁ?」

 

その瞬間、私の後ろで黒っぽいオーラが漂い始めた。その主はメリナとチルリルだった。

 

「うっ、この声は…」

「チルリルも背中がうぞぞぞ~ってなったのだわ!!間違いないのだわ、彼女は――」

 

チルリルが言い終わる前に、船の上から人影が顔を出した。

 

「はぁい、うぞぞぞ~のロゼッタですー♪」

「やはり貴殿であったか、ロゼッタ殿…」

 

プライが彼女に聞こえない音量で唸った。私は思わず苦笑すると、ロゼッタに呼びかけた。

 

「ロゼッタ、君が中央大陸まで連れて行ってくれるのかい?」

「えぇ、えぇ。快適な船旅を保証しますよぉ♪…それに話は聞いていますしね。あなたが響さんで間違いないでしょうか?」

 

突然話しかけられ、響は背中を少しびくりと震わせた後、

 

「は、はい!立花響です!」

「あらぁ、いい返事ですねぇ。その意気ならきっとアルドさんも見つかりますよぉ♪」

「あはは、そうだといいですね…」

 

思わず響は苦笑した。やはりロゼッタは、初対面の人からは少し警戒されるタイプのようだ。

――そこまで考えたところで、船の汽笛が鳴った。

 

「――っと、もうそろそろ出発かな。響、ロゼッタ、行こうか」

 

 

 

数分後、私は船上から顔を出してメリナたち一行を見下ろしていた。隣には、同じようにして響とロゼッタが顔をのぞかせている。

 

「それじゃあ行ってくるよ、みんな。ヨハンや最高司祭によろしく」

「そっちこそ、早くアルドを見つけてそろって帰ってくるのだわ~!」

「首と翼を長くして待ってますので…!」

 

皆の激励の言葉に、私は思わず顔を綻ばせた。隣では響が「絶対にアルドを見つけてきますッ!!」と笑顔でぶんぶん手を振っていた。さらにその隣ではロゼッタが、こちらは何も言わず静かに微笑みながら手を振っている。私達三人を乗せた船は、ゆっくりと中央大陸への旅路を進み始めた。




読んでいただきありがとうございます!


突然ですが皆さまにお詫びを…
第0話にて、舞台を「ゼルベリア大陸」と書いていましたが正しくは「ゼルベリヤ大陸」です…至急修正しておきますのでご了承ください。
そしてもう一つ。題名が「Beyond the Time」となっていますが時は越えていません。タイトル詐欺をしてしまいましたごめんなさい。

さて、今回で響たちはゼルベリヤ大陸を離れ、アルドを探す大冒険へと旅立つわけですが…果たして彼女らは無事にアルドと合流できるのでしょうか?
そして、次回からさらにもう一つの冒険が始まります。今回登場するのは3人目にして最後の主人公、ここから遠く離れた幾つもの世界を剣で切り拓いていった、一人の剣士とその仲間たちです。クロノ・クロスコラボも来たことですし、これをきっかけにまたアナデンファンが増えてくれると嬉しいなぁ…


それでは次回予告!

「――ってて…」

AD300年、セレナ海岸――数奇な運命を持つ人物がもう一人、異世界へと降り立った。

次回[Contained Soul]

お楽しみに!
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