もう日が沈み、月が顔を見せている夜。
紅茶を啜る私とアリスの耳にどこからか音が届く。
「なっ!?」
「今のは············?」
外に出て、少し高度の高いところに行って周りを見回す。
「命蓮寺が···········!アリス······行ってくるぜ!」
「え?えぇ、いってらっしゃい·······!」
命蓮寺から立ち上る魔方陣の渦を見て、
気が動転しているアリスに早口に告げ、私は空を駆ける。
間に合うか?いや、間に合わないな。あの魔力は多分聖と鬼淵だ。
魔方陣があるなら聖は確定。
そして、聖が戦っているのなら恐らくは他の奴等はもう死んでいるんだろう。
ギリと歯が音をたてる。
あいつらはどこまでやりゃ、気が済むんだ。
死んでいく皆の姿を脳裏に浮かべながら、私は速度を上げる。
φ
「············!なんだこの気は·········!?」
私が遠くから感じた気は二つあった。
かたや聖なる魔法の気。
かたや底知れぬ禍々しさを持つ闇の気。
私は察する。
この闇の気がお嬢様を、咲夜さんを、皆さんを殺したやつの気か。
胸の奥から怒りが込み上げてくる。
行かないと。妹様を連れ、行かないといけない。戦わないといけない。
私は屋敷の中に入り、妹様を連れて外に出る。
「さぁ、報復戦といきましょうか··········」
「はい、御嬢様」
微笑みながら呟く妹様の言葉に答え、私たちは夜の空を走る。
φ
「ん?なにやら、邪悪な気が感じられるねぇ」
人の事を言えない私は境内で呑気にも西瓜をかじりながら呟く。
しかし、この気は覚えがないなぁ。この生の中で大抵の妖怪には会ったはずなんだが。
一抹の不安の胸に抱えながらも、すぐに大丈夫かと楽観的な考えになる。
欠伸をして、神社の裏に回る。
「神奈子~············ってありゃ」
そこに神奈子の姿はなく、古い電灯がチリチリと音を立てながら部屋を照らしている。
「どこにいったんだか············」
口ではそう言いながらも、私は知っている。
きっとあいつは行ったんだ。戦いに。
戦神、如何にして神罰を与えるか?
ケラケラと笑いながら、戦い終わった後の神奈子の姿を浮かべる。
思い浮かべた瞬間、私の笑みは消える。
泣いていた。
泣いていたのだ。
私の思い浮かべた神奈子の姿は泣いていた。
「アッハッハ·········ったく仕方ないねぇ·····いつまで立ってもお子様なんだからさ」
食い終えた西瓜を適当に投げ捨て、帽子の鍔を上げる。
戦神、戦い終えた後泣きけり。
祟り神、それをさせまいとしけり。ってね。
さぁ、土着神の頂点は優しく戦神を救ってやるかとするかねぇ。
本来やることは逆だがね。滑稽さな。
自らの滑稽さに、戦いを楽しもうとしていることに私は笑う。
舌をペロリとしながら下卑た笑みを浮かべる。
そして、
最近忙しいんです。許してください。
そろそろ他の書くんで次は遅くなるかもしれません。