「名乗りを上げておきましょうか。
我が名はルーミア·トワイライト。妖怪が王の一人、空亡である」
私はげっと言いながら露骨に嫌な顔をする。
堅っ苦しいのは嫌なんだけどなぁ。
でもされたんじゃ、した方がいいのかな············。
「えーと、我が名はフランドール·スカーレット。夜の王、吸血鬼である?」
「アハハ、明らかに苦手そうにしてるなぁ、お前」
「····························」
凄くイラッとした。
しかし私はルーミアとは遊んでいたのもあって、自分に落ち着けと言い聞かせる。
「で、さ。あんた悪くなっちゃったの?」
「悪くなったっていうか、封印が解けたのさ。戻ったってのが正しいね」
「まぁ、いいさ。悪くなっちゃったなら壊しちゃえ。きゅっとして········ドカーン」
私の掛け声と共に、ぐちゃっと音が鳴り、黒いものが飛び散る。
「あれ?もう終わっちゃった?つまんないなぁ」
「終わり?汝の目は節穴か?」
飛び散ったものに遮られて見えなかったルーミアの姿が月明かりに照らされる。
その姿は先程と何ら変わりない姿で、私を驚かせる。
破壊が効かない?そんなはずないんだけどなぁ。どうしてだろう。
「きっと貴女は今、僕が何故壊れないのかと考えているんだろう?」
「うん」
「それはね、私が、空亡が闇だからだよ」
「ワケわからん」
「私は闇。闇の概念を破壊することは世界を破壊すること。自らを破壊すること。
結論を言えば、私には概念や特殊な力は効かないのよ。殺したいなら物理ね」
「ふーん······取り敢えず破壊は効かなくて直接斬るなりなんなりなら殺せるのね?」
「あぁ、そうだ」
私は納得した後少し黙り、尋ねる。
「あのさぁ········さっきからのあんたの口調なんとかならないの?」
「闇に性格はないからねぇ」
「·········まぁ、いいや。取り敢えず殺そう」
私はそう呟き、両手を前に出す。
「その地獄の灼熱の如き烈火を以て敵を殲滅せよ。破壊と炎の剣、レーヴァテイン」
私は具現化するための呪文的なのを詠唱し、レーヴァテインを具現化する。
「レーヴァテインか」
ルーミアはレーヴァテインを見るなり、腕を振る。
振る前には手の中には何もなかったのに、下で静止したときには剣があった。
「さぁ、戦うとしましょうか」
ルーミアが呟くや否や、私は吸血鬼の持ち得る全てのスピードを以て懐に潜り込む。
そして、レーヴァテインを振る。
レーヴァテインは炎を纏って、ルーミアに接近していく、が。
空に金属のぶつかったときの高い音が響く。
「ちっ·········反応が速いな·······」
レーヴァテインをルーミアの黒い剣が受け止めた。
二つの剣はキリキリと音を立てて、火花を散らしている。
私は力を加え、押しきろうとするが、剣は微動だにしない。
吸血鬼の力を持ってしても、押しきれないのだ。
空亡ってどういう妖怪だよ·········!
私は吸血鬼でさえ力で押しきれないという少なくとも良くない状況なのに笑っていた。
「あんた笑ってるよ············」
私の顔を見たルーミアが言う。
だが、
「あんたも笑ってるよ··············?」
彼女らにとって、お互いは玩具だ。
いくら手荒く扱おうが、いくら本気の力で殴り付けようが、壊れない玩具なのだ。
それは封印されていた彼女と、監禁されていた彼女には目新しくて、新鮮だった。
彼女らは笑う。
初めて自らが本気で戦う。もしくは遊ぶことを予想して笑う。
『楽しい夜になりそうね』
空亡
低クオリティ。