異界の戦士は故郷の帰還を夢見て空を舞う 作:フラッシュファントム
青い空がどこまでも広がっているとある平原の一角……。
そこで銀色に輝く剣と盾、白銀に煌めく鎧と兜を装備した青年と左右に三本……合計六つの腕に両刃剣を持った骸骨の剣士と思わしき怪人が激しい戦いを繰り広げていた。骸骨の怪人は呪文を唱えて六本の剣に凍てつく氷を纏わせて振ると同時に斬撃破を六つ飛ばす。
「甘いな!」
彼は飛来する氷で固められた六つの斬撃破を全て盾で弾くと同時に剣先から黄色に輝く強烈な電撃を放つ。骸骨の怪人は避ける間もなく胴体に直撃、力尽きてその場に倒れ伏す。
「ふぅ~……こんなもんか」
骸骨の怪人【がいこつけんし】との戦いを終えた青年【織斑一夏】は近くにある岩場に座り込んで暫しの休息を取る。彼はとある国の大会に行く最中に誘拐された時に時空の歪みに巻き込まれた。気が付いた彼は自分の名前以外の記憶を失いこの世界に辿り着いた。
宛もなくさ迷い、魔物に襲われていた彼を見つけた冒険者達に保護された。彼等に見込みがあると判断されて近くにあった修行場で戦いの極意と剣術や武術等の訓練を受け、何時しか一夏は彼等の事を師匠と呼んだ。
彼等の師匠は魔法戦士のキース、賢者のゴースとバトルマスターのレイズだ。キースは剣術と攻撃魔法でゴースは回復と補助呪文、レイズは体力と筋力作りを並行しながら素手を中心に戦う武術を叩き込まれた。
それから数年の時が流れ、一人前と認められた一夏はそれと同時に魔王という世界を脅かす存在を知り、世話になった彼等と一緒に戦う事を志願する。それを受け入れた師匠達は弟子と共に魔王軍から人々を守る為に奮闘、荒削りな彼の戦闘技術を見る傍らで時間を作っては欠かさずに稽古をしていた。
「お前、この戦いの中でかなり腕を上げたな。もうすぐで魔王を倒せるからそれが終わったら武者修行の一環として一人で旅をしてはどうだ?」
「ありがとうございます。武者修行で一人旅……少し考えてみます」
稽古を終えて一人旅を提案したレイズの提案を受けた一夏は考えると呟いて今日泊まる宿に戻る。それを見送った彼は後ろで見守っていたキースとゴースに声をかけた。
「レイズ、お前の考えに俺は賛成だ。あいつはきっと素晴らしい魔法戦士になり後に続く者達の道標になるやもしれん」
「そうじゃな……。彼の潜在能力はとても高いからのぅ……我らを越える日も近い。後は一人旅を通じて多くの経験を重ねればより大きな境地に行けるやもしれん」
「そうか……。みんな、俺のワガママを聞いてくれてありがとな」
レイズの意見に二人が同意すると気にするなと返事をして一夜を明かす。それから魔王軍の本格的な討伐の一翼を担った彼等は激しい戦いの末、辛うじて魔王軍とその取り巻きの大部分を討伐する事ができた。
「一夏、よくやったな。これもお前が共に戦ってくれたお陰だ。さて……あの時の答えをここで聞かせて貰おう」
「レイズ師匠……僕は一人旅をします。この広い世界の事をもっと知りたいからですので、宜しくお願いします!」
レイズの労いの言葉と共に答えを問われると彼は一人旅をしたいと決意する。一夏の意思に尊重した三人の師匠は彼と同様に一人で旅立ってまた何処かで再会する日を夢見て其々の旅路を進むことになり今に至る。しかし魔王軍を率いたボスを倒した後も各地で小規模ながらも暴れている事を知り、旅をしながら魔王軍の残党を名乗る魔物達を討伐していた。
因みに旅路の中でがいこつ剣士を軽く倒した一夏が、記憶を失いさ迷っていた所に襲って来た魔物で因縁があった。この世界に来て間もない彼はなす術なく殺されかけた所で師匠達に助けられたのだ。
「さて……そろそろ暗くなる。近くの町まで少し距離があるから今日は安全地帯を見つけて野宿をするか」
そう決めた一夏はキャンプに適した場所を選定しようとした時、突如何もない空間に穴が開いて吸い込まれる。彼は必死で抗うも圧倒的な吸引力を前に何もすることができずそのまま穴に呑み込まれてしまった。
「くそっ……。どうなってんだよぉっーー!?」
「うっ……ここは、何処だ?」
気絶していた一夏が目覚めた森の周囲を見渡した。今の所は何も無いと判断して周囲にある荷物をかき集めてバッグの中に収納する。
異世界と思わしき場所に着いた彼は旅の途中で貰った不思議な鞄に自身が装備していた防具を納め、素手の軽装で周囲の探索を開始した。
この鞄は一見するとありふれた鞄だが中身は極めて広く一戸建てに匹敵する広さもある程の鞄だが原理はよく分かっていないが未知の場所では頼れる代物だ。
因みに彼が軽装を好む理由は、未知の所で他の種族と武装をした時に攻撃すると誤解された経験があり、それを踏まえて必要以上の装備はしないと決めた。
万が一、この軽装備で魔物に襲われたとしても一夏なら素手であっても問題なく戦えるからだ。それに彼以外の持ち主がこの鞄の中に手を入れても底がそれ程深くはなく何も入っていない普通のバッグにしか認識されない便利な機能が備わっている。
「考えても仕方ない。取りあえず周辺を調べて状況を伺うとしよう」
そうして森を抜けた先に着いた所は民家と思わしき場所だが現在は空き家となっている。外から状況を伺うもこれ以上の情報は得られないと判断、その場から立ち去った。それから町の風景を見渡す傍らで近辺の調査を行う中でこれといった情報は得られなかった。
「仕方ない……そろそろ暗くなるから野宿をするか」
一夏は止む無く判断して手頃な場所を探す途中で少し離れた場所で大きな爆発音を耳にした。何事かと思った彼は密かに行動速度を上昇させる【
「させるかぁっーー!!」
咄嗟に飛び出した一夏は側面から右飛び蹴りを叩き込んで気絶した女性から強引に距離を切り離す。不意打ちを受けたキラーアーマーは新たな敵かつ脅威度が高いと判断、相手の守備力を下げる
「一気に決める!」
彼は短時間でけりを付ける為に深呼吸して力を抜き、キラーアーマーとの間合いを一瞬で縮めて全力を込めて飛び上がると同時に右アッパーカットを下顎に突いた。この技は裂鋼拳でツメスキルを鍛える事で習得可能で本来ならマシン系の敵に大きなダメージを与えられる攻撃だ。物質系統に属するキラーアーマーには充分なダメージが与えられないものの満身創痍だったキラーアーマーはこの攻撃を急所に喰らって力尽きた。
「この辺りに敵はいないと判断して良さそうだな。大丈夫か……?」
気絶した女性に声を掛け、右手が
(それにしてもあれは一体何だったんだ。
ISから得られた情報を分析した一夏はそう結論付ける。キラーアーマーは中級モンスターでISと戦えるが襲撃してきた奴らは四人チームでISが到着した時に三人がルカナンを只管唱えて脆くし、一瞬の隙をついて痛恨の一撃を叩き込んで気絶に追い込んだ。周辺にいた警官達が拳銃で応戦するも通用せず返り討ちにあったのだと一夏は推測した。
「それよりも厄介なのは女性にしか扱えないはずのISを起動させたが……世間に知れ渡るのも時間の問題だな。今は何とか隠し通しているがそれが何時まで持つのか……?」
女性にしか使えない筈のISが自分に反応した事に戸惑うばかりだ。翌日、甲冑を装備した魔物の群れを撃退した青年がISを起動させたというニュースが世界で流れてしまった。
次回はこの世界に纏わる情報とIS学園に入学します。
この世界にいる織斑一夏の年齢は25歳で成人済みです。
IS(一機)で戦える戦力は下級の単体と下級の集団、中級の単体と連携が余り取れていない中級の集団です。
連携が取れている中級モンスターの集団と上級モンスターは代表候補生が辛うじて戦えますが魔王クラスのモンスターは国家代表でも太刀打ち不可という設定です。
※これはあくまでもIS一機で戦うという前提なので互いの集団に関しては操縦の熟練度に応じて変化します。