異界の戦士は故郷の帰還を夢見て空を舞う   作:フラッシュファントム

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今回は一夏の専用機を製作した企業の秘密が明かされます。


次なる計画

  学年対抗戦が中止となった週の休日、一夏はローレシアでこれまでの戦闘データを受け取り次の武器の開発に役立つ武装の案を検討していた。これまで使用していた武器では流石に火力が不足していると考えていたので炎や氷といった属性攻撃を加えたいと提案する。

 

「と言っても自然の力を再現するには予算の問題がありますので……」

(ローレシアのロラン……。まさかと思うが、試す価値はありそうだ)

 

 社長のロランは予算の問題があると説明すると彼は無言で考え、ある事を尋ねる。

 

「ロラン社長、最近のIS学園に襲撃した紫色の無人機と黒い魔人のような姿に変貌した件について心当たりはありますか。それと進化の秘法という言葉はご存知でしょうか……」

「それってまさか……!?」

 

 その質問に反応した彼は重役と思わしき二人を呼び出し、一夏を別室に案内する。ロランが呼び出した二人の内の一人はオレンジの髪が特徴の黒縁メガネをかけた優男の青年、もう一人は紫色のストレート髪が特徴の秘書を思わせる女性が部屋に入って来た。

 

「よぉ、俺達と同じように異世界から来たというのはアンタだったのか。俺はサトリ、ローレシアの開発主任を担当している。よろしくな」

「私はルーナ、ローレシアの秘書をしています。織斑様、よろしくお願いします」

 

 ローレシアの重役三人は一夏と同じ異世界からやって来た人達で彼よりも数年早くこの世界にやって来ていた。その過程でこの世界の最強の兵器であるISを用いて魔物に対抗できるように研究していたそうだ。それから学園に襲撃してきた存在達の事とそれらと戦った一夏は説明をした。

 

「それと激しいノイズがある映像がこの場にありますがこれを解析できるのか確認できますか」

 

 一夏はにせエスタークとの戦闘映像が載っているUSBメモリを取り出してPCに接続、再生をしようとするが映像が乱れていて状況が全く掴めない。そこで秘書のルーナが古代の呪文らしき何かを唱えると乱れたノイズが消え、鮮明な映像が再生された。

 

「間違いない。これは禁じられた魔術を用いた進化の秘法だ!」

「進化の秘法……遂に魔界の奴らがこの世界で使ったのか!?」

 

 ロランとサトリが驚きの声を上げて動揺するがルーナは魔術師として彼等とは異なる視点で推測を述べる。

 

「この時に使用された進化の秘法はまだ未完成ね。そうなると……彼等はこの様な実験を何度か繰り返す可能性が高いわ。今回は身体能力の向上を中心にしていたから今度は魔力強化を主体とした実験をする可能性がありそうね」

「あの時はアリーナの損害だけで済んだ。しかし次の奴らのする実験がどれだけ被害が出るのか想像がつかない……」

 

 彼女の推測に彼の見解を加えて考察をする。因みにこの二人は魔法の扱いに秀でており特に一夏は異界の技術が学園に広まらないようにすべく意図的に使わなかったのだ。

 

「近いうちに神鳥(レティス)黄金の竜(マスタードラゴン)が俺たちを迎えに来ると思う」

「そうなればこの世界とはお別れというわけだ。この会社をどうするかは既に決まっているがどう伝えるべきか……」

 

 ロランとサトリは今後について述べると一夏はレティスとマスタードラゴンの意味を問う。ロラン曰く世界の危機に際して次元を超えて来訪、選ばれし者を然るべき所へ連れていく存在らしいが実態は不明のようだ。その前兆として神のお告げと思わしき抽象的な声が聞こえるそうだ。

 

「成程……その声が聞こえてきたらこの世界を去る合図というわけだ。学園でこの時期に林間学校という野外合宿という行事の時にお告げが聞こえたらどうしようか」

「林間学校……その時は別件で俺達は参加できないから気を付けてくれ」

 

 一夏はその時期に合宿があると呟くと彼等は別件の都合で参加不可だと告げて忠告した。話し合いを終えた彼等は帰還する一夏を見送り、三人はそれぞれの持ち場に戻って業務を遂行する。

 休日明けの授業は千冬が林間学校が始まるまでは休職すると担任に昇格した山田先生から説明がされた。その理由を何となく察していた生徒達は彼に軽蔑の視線を向けるが無視する。

 余談だが学年対抗戦で起きた事件により一年生の過半数が他の学校に編入した。理由としては転入したばかりのラウラが対抗戦で事故死、情報がまともに出ていない事が独り歩きした末に一夏は殺人をしたと噂になったようだ。

 強ち間違いと言えないがラウラが本当に亡くなった原因は進化の秘法を使った負荷に身体が耐えられず崩壊した。なので彼が殺人犯と断定するのは早計だがその情報を入手する術を彼女達は持っていない。

 

(近い内に俺はこの学園から去る。その間に大きな事件が発生しない事を祈る……)

 

 

 

 

  同時刻、魔界にある研究所では次なる実験として赤紫色をしている星型の結晶が設置されていた。これはマデュライトというマ素が結晶化したものである。マ素は魔物の闘争本能を刺激するようなもので人間にとっては非常に有害で大量に浴びてしまうとモンスターになってしまう危険性がある代物だ。

 

「グフフフッッ……。今度は試作したマデュライトを使って実験をするが誰を被験者にしようか」

 

 アウルートは先ほど完成させたマデュライト鉱石を眺めているとシャルロットから近日中に林間学校で学園外で合宿があるという報告を受けた事を思い出した。合宿がされる場所とその海域を調べている内にある場所が目に入る。

 

「おおっ……こいつは丁度良い実験体になりそうだ」

 

 彼が見つけたのは合宿二日目にハワイ沖で稼働テストが予定されている軍用第三世代機のシルバリオ・ゴスペルの情報だった。アウルートの次なる目的は魔力強化を重視した上でマ素により強制的に呪文が使えて威力が何処まで強化されるかという測定だ。

 アウルートは軍のセキュリティーを魔術により軽くすり抜け、そのISに関する情報を入手。それによると 高機動型の広域殲滅を可能とする特殊射撃を得意としており今回の実験をする上で最適なものであると明らかになった。

 

「いいねぇ~、こいつを実験台にしてくてと言わんばかりの代物だ。こいつのデータが取れる時が楽しみだ♪」

 

 愉悦な笑みを浮かべる彼は悠々と試作マデュライトの調整をしていく。彼の陰謀でIS学園で行われる林間学校で魔界の勢力の強化になるとは誰も思わなかった……。




次は林間学校の前に生徒会長との戦いです。
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