異界の戦士は故郷の帰還を夢見て空を舞う   作:フラッシュファントム

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今回は生徒会長との試合です。


異界の戦士VS霧纏の淑女

  授業を終えた一夏は放課後、生徒会長がいると思われる生徒会室の部屋に赴く。

 

「失礼します、私は織斑一夏です。生徒会長はいらっしゃいますか?」

「一夏くん、いらっしゃい。私の事は生徒会長じゃなくて楯無って呼んでね」

 

 生徒会長の楯無は生徒会室に入ってきた一夏に軽く挨拶を交わすと彼は用件を伝えるべく口を開く。

 

「急なお願いで恐れ入りますが貴女とISを用いた試合をしたいです。貴女の都合で構わないので空いている日がございましたら教えて頂けますか」

 

 彼はとても丁寧な口調で楯無と試合を行いたいと申し出る。年上の男性からこんな頼み受けた事に戸惑う楯無だったが気を取り直して明日の放課後、試合をやりたいと許可を貰った。

 

「お忙しい中、若輩の私と試合をして頂きありがとうございます。お互い全力で戦いましょう!」

「ふふっ、楽しみにしているわ。それとタメ口でも構わないわ。織斑くんってとても丁寧な一面があったからお姉さんびっくりしちゃった♪」

 

 お茶目な口調で快諾した彼女は生徒会室から去る一夏を見送り、生徒会の仕事に戻る。部屋を出た彼はそのままアリーナへ赴いてセシリアと鈴音、シャルロットの訓練を始めた。

 

「今回の訓練は前回の戦いの教訓ができているかを確かめる。全力で来い!」

「行きますわよ、鈴音さん!」

「一夏、全力でやるわ!」

「今日は勝つよ!」

 

 三人は其々が使用する専用機で訓練する最中、それを遠目で見ていた箒は歯痒い思いをする。

 

(一夏の隣に立つのは私だ。こうなったら……姉さんに専用機を依頼しよう)

 

 彼女は心の中でそう決意してアリーナを後にした。この訓練の結果は一夏の勝利だが三人の連携攻撃を何度か受けたようでその結果に彼は満足したような笑みを浮かべた。余談であるが今回の一夏が用いた戦法はシラットと槍術を融合した独特な物でこれはほんの一部に過ぎない。

 

 

 

 

  約束をした当日の放課後、貸し切り状態のアリーナで専用機(ラファール・アサルト)を纏った一夏は霧纏の淑女(ミステリアス・レイディ)を装着した楯無に向き合う。

 

「アンタと戦うのは初めてだ……全力で行くぞ!」

「貴方の実力……見せて貰うわ!」

 

 試合開始と同時に彼は槍を手に持ち、疾風の如く目にも止まらぬ速さで敵の懐に潜り込んで相手を突く攻撃だ。それに加えて風の力を宿しており普段よりも早い攻撃が可能になっている。

 

「お姉さんに先制を取ってくれるなんて、代表候補生を体術で圧倒した実力を持っている事だけあるわね」

「その攻撃を辛うじて防ぐアンタも対したものだ……」

 

 疾風突きをナノマシンで制御する水をヴェールにして防いだ彼女は蛇腹剣(ラスティー・ネイル)で反撃する。それに気付いた一夏は跳躍して回避と同時に自身が有する(ドラゴンテイル)を振って応戦。しかし彼女は難なくこの攻撃を躱す。

 

「私の攻撃を躱すと同時に反撃……やるわね」

「この程度の行動は朝飯前だ。次はこれだ!」

 

 二人は軽く応酬をして次に一夏はルーンが彫られた豪華な斧(キングアックス)を装備。その斧で地面を削った所に蒼い髑髏のようなオーラを出し、それを衝撃波としてぶつける特技【蒼天魔斬】を放った。

 

「くっ!?」

 

 楯無は不意の攻撃を辛うじて避けるも斧を振り回して真空の刃を飛ばす衝撃波(オノむそう)を喰らう。彼は持っていた斧をハンマー投げの要領で彼女に狙いを定めて投げつける。彼女はこれが囮だと気付いて最小限の動きで回避するが背後から強烈な衝撃が襲って来た。

 

「背後に気を付けな」

 

 一瞬で背後に回り込んでいた一夏が振ったメガトンハンマーに背中を叩き込まれる。その衝撃は凄まじく、態勢を建て直す間もなくあっという間に地面へ落とされてしまった。

 

「逃がすかよっ!」

 

 彼はハンマーを納めて一足早く地面に回り込んで右脚に魔力を集中し、灼熱の炎を纏わせたストレートキック【烈火蹴撃】を繰り出す。楯無は水のヴェールで防ぐが死角から風を纏った左回し蹴り(真空波)を受けてしまった。

 

「まだまだ!」

 

 畳み掛けるように彼は両拳に己の魔力をこめて繰り出す連続パンチ【ばくれつけん】を容赦なく撃ち込み、最後の一撃で右アッパーを楯無の下顎に浴びせてを空高く打ち上げた。一夏は彼女を追うように空高くジャンプ、回転しつつ体当りを叩き込む体術【ムーンサルト】を浴びせる。

 

「これ以上、好きにさせないわ!」

 

 楯無は蒼流旋()を呼び出し、内蔵されている四門のガトリングで反撃する。しかし彼は前方に魔法陣のような光る障壁を展開して防いだ。そこから片手剣(はじゃの剣)を持った一夏は剣に炎を纏わせて踊るように剣を振り回す特技【剣の舞い】で彼女に斬りかかる。

 

「くっ……!」

 

 一夏の流れるような連続で斬る動きと追加で生じる炎に翻弄された彼女は何とか隙を見つけようと足掻く。最後の一撃は氷を纏った縦一閃を楯無は咄嗟に水のヴェールで防いだ。しかしその攻撃を受けた水のヴェールは凍結、剣の特性を活用して刀身に灼熱の炎を込めて凍結した箇所に突き刺した。これにより灼熱の炎と氷がぶつかり水蒸気爆発が発生、両者のISに大ダメージを与える。

 

「きゃぁぁぁっーー!?」

「アンタが得意としていた清き情熱(クリア・パッション)……使わせて貰った。だが俺はその衝撃でシールドエネルギーが尽きちまったぜ」

 

 先ほどの爆発で一夏が装備していたISのシールドエネルギーが尽きて敗北した。しかし楯無は清き情熱を逆に使われてしまった事に驚きの表情を見せる。

 因みに彼のシールドエネルギーが尽きた理由は自身が用いた魔力の負荷に耐えきれなかったからだ。ISを用いた場合、身体能力の向上や空を飛べる。それと引き換えに魔力による武器や身体能力の大幅な強化が不可能になるという欠点がある。

 この場合の一夏は真の力を実質封印している状況に近いと言えるだろう。最も、短時間であれば一時的に魔力の強化はできると思うが……。

 

 

「私の得意技を貴方が使ったのは予想外だったわ。貴方の戦闘センスが圧倒的で凄かったからもしISの操縦技量が互角だったら私は負けていたと思うわ」

「ISによる戦いの技量はとても素晴らしかったです。貴女の指導の元でISの操縦技術を磨こうと思いますので今後とも宜しくお願い申し上げます」

 

 彼女は彼の戦闘技量が極めて高い所を評価した上で操縦技量が同等なら自身が負けていた可能性が高いと示唆する。その評価を貰った彼は楯無の指導の元で励んでいきたいとお願いした。

 楯無との試合を終えた一夏は今回の試合で魔力を用いて身体能力を強化して挑んだ事に対して悩んでいた。この戦いで魔力を使ったISが何処まで耐えられるかという実験を兼ねてしてみたが結果は敗北だ。

 

(やはり俺が使う魔力はISに甚大な負荷に耐えきれないか。近い内にこの強化服を捨てられると思えばまだ踏ん張れる)

 

 そう考えた彼は寮の自室に戻って結界石と蜃気楼の杖で異空間を展開。ISを使わずに自身が使う武器の素振りや筋トレを遂行していくのだった。

 

「俺はISを使わずに武器を振るのがしっくり来るもんだ。ここなら呪文を使ってもバレず済むから魔法の練習もできて最高だ」

 

 そう呟き、黙々と鍛練を積む一夏は清々しい表情をしていた。




ISを使う利点
・空を飛べる
・武器の出し入れが自由かつスムーズに行える

ISを使う欠点
・武器や身体能力を魔力で強化できない
・魔力強化の負荷に耐えきれずに自滅する
・補助呪文の効果が一切適応されない(ルカナン等のデバフ効果は適用される)
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