異界の戦士は故郷の帰還を夢見て空を舞う   作:フラッシュファントム

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今回は千冬と一夏が戦います。


白式VS異界の戦士

  IS学園に帰還して数日が経過した一夏は相も変わらず貸し切り状態になったアリーナで各種武器の素振りと弓や鉄球、鞭とブーメランを用いた訓練をしていた。

 遠距離から攻撃できる武器は使い方を誤れば他の人を巻き込む危険があるものの夏休みで学園に殆どの生徒がいないのでこれらの武器を使うには持ってこいの機会と言える。先ほど、ローレシアから送られた左腕に装着されている試作の射撃武器(スリンガーショット)でテストを終えた。

 

「ふぅ……こんなものか。それにしてもこの世界の銃器はあっちよりも発達しているなぁ~。アサルトライフルにサブマシンガン……使ってみたが威力は申し分無いけどあれだけじゃ上級魔物や魔王に勝てると言えないが……。スリンガーショットは生身でも使える上にワイヤーも射出できるから汎用性が高くて便利だ」

 

 彼は銃器とスリンガーショットを使った感想を呟くと白いISを纏った千冬が貸し切り状態のアリーナにやってきた。

 

「織斑、突然だが私と戦ってくれないか。お前の実力をこの目で確かめてみたい」

「良いですよ。こっちも演習が終わった所なので……」

 

 彼女のIS(白式)は一度だけ一夏が使ったが彼の戦闘スタイルに合わず倉持技研により半ば強制的に製作された物だ。それだけではなく日本代表候補生の専用機を放り出した事もあり当人は突き返して今の専用機に乗っていた。勝負に快諾した一夏は右手に竜を模した緑色に輝く刀身の片手剣(ドラゴンキラー)と左手に竜の顔が特徴的な(ドラゴンシールド)を装備して構える。それに応じて千冬は日本刀型のブレード(雪片弐型)を正眼に持ち臨戦態勢へ入った。

 

「そちらからどうぞ」

「では……行くぞ!」

 

 挑発に応じた彼女は真っ正面から突撃するが左腕のスリンガーで何かを射出。千冬は迫る飛来物をブレードで切り捨てた瞬間、目の前に強烈な閃光が迸り視界が遮られた。彼女は即座にハイパーセンサーを用いるも妨害電波が発せられているのかまるで機能せず戸惑いをみせる。

 

「……!?」

「初撃を防ぐとは……やるな」

 

 千冬の背後に回り込んだ一夏は横一閃を刻もうとしたがその寸前で雪片により遮られた。その事を称賛した彼は後方に跳躍すると同時にスリンガーからワイヤーを射出、彼女が持っている雪片の先端に引っ掛ける。

 

「そこだ!」

「なっ……!?」

 

 一夏は宙返りで勢いを付けて千冬から雪片を強引に奪い取り自身の後ろに放り捨て、ドラゴンキラーに烈火の炎を纏わせた斬撃(火炎斬り)を繰り出した。彼女は咄嗟に身体を横に反らし、紙一重で火炎斬りを回避して雪片を取りに行こうとする。一夏は千冬に武器を取らせまいと容赦なくスリンガーのワイヤーで右手を縛り付けて動きを封じた。

 全盛期の千冬でも普段から欠かさず鍛錬を重ねていた一夏の腕力に勝てずそのまま彼の側に勢いよく引っ張られて腹部に風を纏った斬撃(真空斬り)を叩き込まれた。

 

「くっ、このままでは……!?」

「どうしました、ISの十八番である単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)を使わないのですか? それとも今の状態では使えないと解釈してもいいのでしょうか」

 

 焦る表情を見せる彼女を余所に飄々とした口調で彼が問い掛ける。白式の単一仕様能力は雪片を装備して初めて使えるが雪片は一夏によってアリーナの奥に捨てられてしまい使えない。千冬は武器が無い窮地を脱しようとするがそんな隙を見逃す事なく図星を突いた一夏は片手剣を持って小刻みに振って斬りかかった。

 

「そこだっ!」

「なぁっ……!?」

 

 彼女は迫りくる剣をひたすら回避するも疲労した一瞬の隙を突かれて縦一閃の斬撃を受けて怯む。一夏は畳み掛けるように千冬の顔にシールドバッシュを叩き付け、刃先に強烈な雷を纏わせた横一閃(稲妻斬り)で腹部に強烈な一撃を撃ち込んで痺れさせる。

 その攻撃を喰らった千冬は電撃によって思うように身体が動かせない状態になる。それでも彼女は悪足搔きと言わんばかりに右蹴りを放つも一夏はそれを軽くあしらい、地面にたたき伏せた。

 

「悪いがアンタに切り札を使わせるつもりは全くない。これで終わりにする」

 

 彼はそう呟くとドラゴンキラーの刀身にアリーナに凍える風が吹きすさぶ程の冷気が纏った強烈な突き(マヒャド斬り)を眉間に撃ち込んで止めの一撃を決めた。これにより千冬のシールドエネルギーが尽きて試合は一夏の勝利で幕を閉じる。

 

「俺の勝ちだ。武器を失っても戦えるようにしなければ少なくともアンタは俺の土俵に立つことは出来ない。この事は言っておこう」

 

 大の字になって倒れている千冬に彼はそう告げてアリーナから去った。もしこれが実戦であれば武器を取られた時点で彼女は確実に殺されていただろう。ふとそう考えた彼女は一夏が自身を遥かに超える力を身に付けた事に戦慄する。

 

「一夏……お前に一体何があった……?」

 

 千冬は疑問を口にするが答える者は誰もいなかった。

 

『実戦でスリンガーショットを使ってみたがやはり汎用性は高い……閃光弾と組み合わせれば即席の目眩ましになる。特にワイヤーを射出すれば敵の武器を奪えるだけでなく動きを制限できる。あの世界に戻り次第、その道の職人に作らせて欲しい程だ。強いて言うならそれをもう少し軽めで小型化してくれたら助かる』

『それは何よりだ。軽量化については素材を見直して改良するから引き続き使ってくれ。その職人の伝で知っている人がいるから俺がその話をする』

 

 一夏は寮に戻る最中、電話でロランにスリンガーショットのテスト報告をしていた。ロランはテスト結果を聞いてスリンガーショットの改良をすると告げて電話を切る。

 そのまま自室に帰還した彼は蜃気楼の杖で異空間を開いていつもこなしている筋トレと武器の素振り、射撃訓練をするのだった。

 

 

 

 

 

 

  同時刻、魔界の研究所にある実験用で使われている闘技場で機械蜘蛛を彷彿させる異形の何かがキラーマシン2と激しい戦いを繰り広げている。

 

「そこだぁっ!」

 

 機械蜘蛛を操るオレンジの長髪が特徴の女性(オータム)はアラクネアカスタムのデータ収集をするべくキラーマシン2に攻撃を浴びせた。

 彼女は実験でISと一体化、アメリカ第二世代のIS(アラクネア)を魔界の技術で改造された機体で蜘蛛の脚部先端からビームワイヤーを射出。キラーマシン2の動きを封じて宙吊り状態にして両手に持った二振りの剣でバラバラに切り裂く。

 オータムが持っている双剣は赤熱化をしていて触れた対象物を軽々と溶断する破壊力を有している。また脚部の先端に取り付けられている武装はビームワイヤーだけでなくビームバルカン、ビームダガーとして使える強力な得物だ。

 

「ふぅ~……こんなものか。IS学園で開催される祭が楽しみだぜ!」

 

 オータムは不気味な笑みを浮かべながら呟く。魔界の軍勢は学祭を契機にISの世界に宣戦布告をするのだ。彼女が所属していた亡国企業は魔界の勢力によりあっという間に壊滅、オータムの上司のスコールや同僚の織斑マドカも実験材料として捕らえられていた。

 

(この宣戦布告に乗じてスコールを助けられるチャンスを見つけないと……!)

 

 彼女は実験をする中で自身の計画を企てる。果たしてオータムの策略は通用するのだろうか……。




一夏の勝利に終わりましたが千冬の本領を発揮させずに勝利したので本当の意味で勝った訳では無いです。

アラクネアカスタムの見た目は脚部が大型化、下半身がアラクネアと一体化しています。
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