異界の戦士は故郷の帰還を夢見て空を舞う   作:フラッシュファントム

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今回は魔界の戦いから始まります。


魔界の激闘

  真っ赤に染まった空と大地、果てしなく広がる荒れた荒野や煮えたぎる火山が特徴的な場所である地獄のような光景が広がる異世界の一つ……魔界だ。無数の魔物達が生息しておりその周囲では魔物達が血を血で洗うような激しい戦いが繰り広げられていた。

 真紅の甲冑を纏った魔物が斧で大きな翼を持つ黒竜の首を切断。その背後から仲間と思わしき別個体の黒竜の口から灼熱の炎を吐き、甲冑の魔物を跡形もなく焼き尽くす。また、別の場所ではダークナイトの群れとスライムジェネラルが縄張り争いをするような悍ましい光景ばかりだ。

 

「ここが魔界……。初めて来たが地獄に近い光景と言えるな」

「……行くぞ」

 

 魔界に初めて訪れた一夏はそんな感想を呟くがJOKERは何も言わずに歩く。暫くすると魔界にあるとは思えない真っ白で大きな建物を見つけた。それは魔界に存在する研究所で今回の事件を起こした元凶だ。その研究所近くにやって来た一夏とJOKERは周囲に大量の魔物達が待ち構えていた。その魔物達はリザードマンやナイトリッチ、死霊の騎士といった上級モンスターばかりで二人を見つけた魔物達は臨戦態勢に入る。

 

「この数、流石に骨が折れるな」

「敵を最小限に片付けながらここを突破する!」

 

 二人は意を決して戦闘を開始しようとした瞬間、後方から膨大な光線が眼前の魔物達を薙ぎ払う。それから黄金の巨竜と思わしき影から三人の戦士が飛び降りた。

 

「待たせたね、一夏!」

「ここは俺達に任せてくれ!」

「頼んだよ、一夏」

 

 その三人はロランとサトリ、ルーナで研究所近くにいる魔物達を片付けると宣言して先に進むように彼等に促す。それに応じた彼等はロラン達にこの場を任せて先に進んだ。

 

「ロランさん、この場は頼みます」

「先に行くぞ!」

 

 魔物達の大群を二人は最小限の攻撃で突破。研究所内部に侵入すると予想通り、無数の魔物達が待ち構えていた。襲い掛かる魔物に対して一夏は剣と爪や槍、JOKERは牙や角と得意の呪文で倒しながら進んでいくと二つの別れ道がある廊下に着く。

 

「別れ道か……。俺は左に行く」

「私は右に行く!」

 

 一夏は左、JOKERは右を選んで立ち塞がる魔物を撃破して別れ道を走破する。左の道を進んだ彼は目の前に立ちふさがる敵を前に臆すること無く右拳を構えて勢いよくそれを突き出して叫ぶ。

 

「炎獄、突牛拳!!」

 

 一夏が右拳を突くと共に灼熱の炎を纏った暴れ牛のオーラが生じ、超速で突進。目の前にいた敵を一気に消し去るが炎に耐性のある数匹の敵が反撃と謂わんばかりにメラミやベギラマを放った。

 

「これしき!」

 

 彼はそれらの攻撃に動揺することなく、両腕から真空波を薙ぎ払うように撃って相殺。即座にヒャダルコを唱え、氷のミサイルを残った魔物に撃ち込んであっという間に撃破した。

 

「よしっ、次に行くぞ!」

 

 一夏は魔物の群れを全滅させて通路を突き進む。その先に扉があり、その中に入ると扉から鉄格子が降ろされて出入口が閉ざされてしまった。

 

「トラップか……」

 

 広い部屋に閉鎖された彼の前に漆黒に染まったドラゴンマシンが姿を表し、部屋全体を揺るがす程の咆哮を上げる。その雄叫びに一夏は圧倒されかけるが何とか踏ん張って呟いた。

 

「こいつを倒さないと先に進めないということか」

『会いたかった。会いたかったぞ……一夏!!』

「その声は箒……。お前、まさか!?」

『お前が私の事を見てくれない。だから、どんな手を使ってでも私に振り向かせてやる!』

 

 黒いドラゴンマシン(黒椿)はそう叫ぶと同時に両手に大剣を持ち、背部のブースターを吹かせて勢いよく斬りかかる。一夏は覇王の斧を前に出して受け止めるが驚異的な力を前に片膝をつく。

 

「なんだ、この力……!?」

『あぁっ……一夏が私を見ている。このまま釘付けにしてやる!!』

 

 とち狂った箒の記憶を内装した黒椿に翻弄された一夏は動揺するも頭を切り替え、立ち上がる同時にオノむそうを飛ばして強引に距離を取る。そこから地面を削って青い髑髏の衝撃波を繰り出す技【蒼天魔斬】で反撃。それを見た黒椿は即座に左右からビットをそれぞれ一機ずつ召喚、呼び出したビットの銃口から二発の黒いレーザーを撃って相殺した。

 

「こいつ、紅椿のデータを取り込んで改修されている。そうなれば俺が倒すべきだな!」

 

 紅椿のデータを利用された黒椿と対峙した一夏は自らの手で破壊すると心に決めて攻撃を開始する。

 

 

 

  一方、右の通路を選んだJOKERはエメラルドの角を輝かせて邪気を纏った魔物達を一掃して悠々と進む。先を行く中でこれといった魔物達に会わないことに違和感を持つ。

 

(妙だな……。まるでこっちに来いと言われるがままに誘導させられている気がする)

 

 彼は敵の数が少ない状況で思惑に気付きつつあるがそれを承知の上で歩いた先に灰色の扉を発見、その先に入った。その部屋に入ると一夏と同じように鉄格子が降ろされ、閉じ込められた。侵入者用の罠であると気付いたJOKERは警戒、この部屋の門番の出現に備える。

 

「なっ……こやつは!?」

 

 漆黒の毛並を持つ狼の姿をした禍々しいオーラを纏った魔物【デモンスペーディオ】が門の前に行く手を阻むように立ち塞がる。しかしデモンスペーディオから生気を感じられず屍のような雰囲気を醸し出しており真紅の光を放つ刺々しい一本角があった。

 

『侵入者を発見……。これより排除する』

 

 デモンは無機質な声を発すると同時に巨大な暗黒の弾を固めて放つ呪文【ドルマドン】を繰り出す。JOKERは右爪に聖なる神々しい光を纏った斬撃【ホーリーラッシュ】を振り下ろして相殺、そこから雷属性の呪文【ギガデイン】を唱えて反撃した。

 デモンは迫るギガデインを前に動揺を見せず暗黒の力を込めた爪から放たれた斬撃波でその攻撃を打消し、JOKERはその斬撃波を受けてしまう。

 

「こやつ、我を基に作り上げて強化された戦闘マシーンなのか!?」

『……敵を排除する』

 

 その疑問に肯定するかのようにデモンは敵を消滅させるために飛びかかる。光と影、この戦いで勝つのはどちらなのか……。




次回は黒椿と一夏の戦いを書きます。
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