異界の戦士は故郷の帰還を夢見て空を舞う   作:フラッシュファントム

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クラス代表決定戦と打鉄弐式に関する事を解決します。


クラス代表決定戦といざこざ

  クラス代表決定戦当日、アリーナの控え室で待機している一夏は専用機が届くのを待っており少し苛立ちを見せていた。

 

(まさか試合当日に届くとは……。正直言って生身で戦った方が善戦できるが大騒ぎになる。今は耐える所だ……)

 

 彼は心の中でそう言い聞かせつつ到着を待っていると山田先生が部屋に入って専用機が届いたと知らせた。専用機がある部屋に着いた彼と千冬、山田は白い機体を前にして指示をだす。

 

「時間が押している。体を動かしてすぐに装着しろ。時間がないからフォーマットとフィッティングは実戦でやれ。できなければ負けるだけだ。分かったな」

「分かりました……」

 

 千冬の指示に従った一夏は渋々と白い機体を装着すると彼女は次のアドバイスを立て続けに言い放つ。

 

「背中を預けるように、ああそうだ。座る感じでいい。後はシステムが最適化をする。行ってこい……!」

「了解……やるからには全力でやる。それだけだ!」

 

 彼女の指示に応じた一夏は気だるそうな表情から真剣な顔付きに変わると同時にアリーナの外へ勢いよく飛び出した。

 そこでオルコットが装備していた青いスカートが特徴のIS(ブルー・ティアーズ)が佇んでいる。それを目にした彼は謝罪の言葉を口にする。

 

「遅くなってしまい申し訳ないです、セシリア・オルコットさん。機体の搬入が遅れてしまったもので……」

「あら、逃げずに私の前まで来られたものですね。その無謀さだけは褒めて差し上げますわ」

「悪いが俺はこの戦いに全力を尽くす。それだけだ……。御託は良いからさっさと始めようぜ!」

 

 一夏は白式に格納されていた唯一の武器であるブレードを居合い抜きの如く呼び出して構え、臨戦態勢に入った。

 

「では……お別れですわ!」

 

 オルコットは言い終わると同時にライフルの引き金を引いてレーザーを発射。その瞬間、一夏は抜刀と同時にレーザーを切り裂いて初弾を防ぐ。彼女は絶えずレーザーを放つが避けられ、先程のように剣で防がれ身体を逸らして相殺と回避を苦もなく平然としていた。

 

「今度はこっちから行くぞ……!」

 

 今度は彼が一瞬で間合いを詰めて右手に持った刀型のブレードを振り下ろすが彼女は辛うじて後方へ避けた。

 

「少しはやるな……」

「まだですわ。お行きなさい、ティアーズ!」

 

 オルコットはスカート部分から四つのビット型武装【ブルーティアーズ】を飛ばしてレーザー攻撃を開始した。

 一夏は迫り来るレーザーの砲撃を回避しながら隙を突いてブルーティアーズの一基をブレードで真っ二つに切断。背後からレーザーが発射される瞬間、左後ろ蹴りで発射口を反らして側面にあるティアーズに直撃させて破壊した。

 

「そこだっ!」

 

 彼はブレードを横薙ぎに振って制御が乱れた一基のティアーズを粉砕。圧倒的な戦いをする一夏を前にオルコットは動揺するが即座に残ったティアーズを回収して狼狽える。

 

「そんな……。ティアーズがこうも簡単に壊されるなんてあり得ませんわ!」

「少しはできるがこんな物では無い……。全力で来い!」

 

 一夏はそう叫ぶと共に一直線で接近するもオルコットが口角を上げる。

 

「かかりましたわね。ブルーティアーズのビットは六機ありましてよ!」

 

 スカートから二基のミサイルビットが射出、一夏は即座にブレードをアンダースローの要領で投げつけて飛来するミサイルを破壊した。

 

「武器を失った貴方を仕留めることなど容易い……ッ!?」

 

 彼女が高らかに笑っていた時、腹部に強烈な右飛び蹴りによる衝撃を喰らって地面にまっ逆さまに叩きつけられて大幅にエネルギーが削られてしまった。

 その間に彼は着地して素手のまま戦闘態勢の構えをとる。

 

「言い忘れていたが俺は剣術と拳術が両方使える。武器を失ったとしてもこうして戦えるからな」

「……私は認めない!!」

 

 オルコットがライフルを構える前に一夏は間合いを詰め、それを一瞬で強奪してバットを振る要領で思い切り叩きつけてダメージを与える。更に彼はレーザーライフルの銃身を両手で持ち上げて跳躍、空中回転しながらライフルの銃床部分を彼女の頭に容赦なく叩きつける。

 この技は本来ならオノスキルで使える特技【兜割り】で攻撃と同時に守りを崩す効果がある。

 その衝撃で守りが脆くなるもオルコットはミサイルビットと残った最後のティアーズを発射して弾幕を展開。しかし彼は奪ったライフルを投げ付けて迫るミサイルを破壊、爆発で生じた黒煙を利用して間合いを詰める。その直前に左手刀を振り下ろして最後のビットを真っ二つに切断した。

 

「これで……終わりだ!」

 

 一夏は腰を深く落とし、渾身の力を込めてオルコットの鳩尾を真っ直ぐに突いた! この技は【せいけんづき】という正統派な打撃技で敵一体に通常攻撃よりも大きなダメージを与える特技だ。この一撃を鳩尾かつ真面に喰らったオルコットはエネルギーが底を尽きると同時に気絶、彼が勝利した。 

 

「お前との戦い……荒削りだがまだまだ成長する余地はある。今回の反省点を活かす事だな」

 

 一夏は彼女にそう言い残すと同時に担架が来たのでピットに帰還。

 

「織斑くん、剣術だけで無く体術でも戦えるなんて凄すぎです……!」

「……あぁ、そうだな。油断していたオルコットも大概かもしれんがあいつは全力で戦った結果という事だ」

 

 山田先生は一夏の戦いに絶賛、千冬はオルコットの油断を差し引いても圧倒的な力を目にして狼狽えながらも感想を述べると一夏がピットに戻って来た。

 

「織斑くん、試合お疲れ様です!」

「ありがとうございます、山田先生。織斑先生、このIS(白式)はどこの企業で作られたか教えて頂けませんか?」

 

 山田先生の労りの言葉に感謝の意を示し、千冬に鋭い眼差しでこのISの製造した企業を問い掛けるが黙秘を貫く。

 

「黙秘ですか……。それなら自分で調べた上でこのISは乗るか否かは私が決めますが宜しいですか?」

「そんな無茶苦茶な……織斑先生!?」

 

 専用機の受理に関してそう言うと山田先生は戸惑うが彼女は只管黙秘を貫く。そして山田先生から専用機に関する規則等が記された書物を受け取り、アリーナを後にした。

 

 

 

 

 

 

  試合を終えてアリーナを去った一夏はその日の内に白式の製造元を調査、倉持技研で製造されていた事を知る。それだけ無くこの企業は元々、日本代表候補生の為に製作途中だった打鉄弐式の組み立てを打ち切った。挙句の果てに必要最低限の人員すらもまるごと白式のデータ収集に割いていた事案が明らかになった。

 

「それにしても倉持技研も危険な賭けに出たものだな。俺が剣術の扱いに長けていたから幸いだが様々な部分を考慮すれば……これ以上、白式を使うのは危険だ。俺だけの事なら未だしも日本代表候補生の機体の製作を打ち切ったからには落とし前を付けないと厄介だな」

 

 そう呟いた彼は今日の内にこの件を動かぬ証拠として電話を掛けた。翌日、急遽話し合いの場を設ける事が決まり学園の整備室に赴くと、この件の被害者である人物と対面した。

 その女子生徒は水色のショートヘアーと眼鏡、頭部に独特の髪飾りのある日本代表候補生【更識簪】である。

 

「私は織斑一夏です。貴女の専用機の件に関して預かり知らぬ所で迷惑を掛けてしまった事について、深くお詫びを申し上げます」

 

 黙々と作業員をする彼女を余所に一夏は深く頭を下げた。普段なら俺と名乗るが、負い目があるのでとても丁寧な口調で話しを続ける。

 

「貴女が組み立てている専用機の件だけでなく、私の専用機である白式について話し合いの場を設けます。倉持技研に打鉄弐式の開発中止の件と白式に関する問い合わせ等をします。その時に他のIS企業と立ち会う予定ですので参加された企業から名刺とパンフレットを私が配ります。気になる企業がございましたらその企業に問い合わせをお願い申し上げます」

 

 彼はそう言い残して整備室から立ち去った。それから話し合いの末に倉持技研が製作した白式の返却。彼の専用機は他の企業かつ量産機をベースにした物に決定、打鉄弐式も他の企業の基での製作が再開される事になった。

 彼女曰く、一人で出来るところ迄はするという事だったので必要なら人員を出すという約束を取り付ける事ができて何とか決着をつけた。因みに一夏の専用機は汎用性の高いラファールをベースとしたカスタム機を注文する予定である。

 

 

 

 

 

 

  一方、IS学園で代表決定戦が行われていた頃……フランスにあるIS企業の【デュノア社】が何者かの手により襲撃されISの操縦者以外は一人残らず殺されていた。

 

『無様だな……』

「くっ、ISを使わずに軽く倒すなんて一体何者なの……?」

『我々は現在、高い適性のあるIS操縦者を生け捕りにしている所だ。見たところお前はIS適性が高い事が分かる。これより魔界に赴いて実験台になって貰う。言っておくがお前の身内は全員、我々が一人残らずこの世界から消した……。お前の居場所は何処にも無いと覚えるがいい』

 

 衝撃的な発言を耳にして唖然する彼女を余所に、魔界の研究所に繋がるゲートを開き、ピサロは捕らえた少女と入り込んだ。




倉持技研は三流以下の対応と言わざるを得ないですね。
そんな事をした日には企業の信頼を失って倒産する末路しか見えないと自分は思います。
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