異界の戦士は故郷の帰還を夢見て空を舞う   作:フラッシュファントム

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今回は中国からの転校生が来ます。


中国からの来訪者

  一夏が専用機を得て数日後、二組に中国の専用機持ちが転校するという情報が入って来た。

 

(中国からの転校生ねぇ……。この時期に来るのは代表候補生と考えるのが筋と言えるが、誰であっても関係ない。俺はどんな相手であっても全力で戦うのみ!)

「あら、私の存在を今更ながら危ぶんでの事ですの?」

 

 彼は心の中でそう呟くとセシリアは自身の存在を危ぶんでいる可能性を示唆するが、全員沈黙を貫く。

 

「織斑君頑張ってね!」

「フリーパスの為に!」

「無論だ。例え、誰が相手になったとしても手は抜かずに全力で戦う……それだけだ!」

「今のところ専用機持ちは一組と四組だけだから楽勝だよ」

 

 流石に四組の専用機持ちは未完成だと口に出来ない一夏の悩みとは裏腹にクラスメートの応援や期待に応じる。だがそれを遮るかのように教室で宣戦布告をする。

 

「その情報古いよ。二組の代表も専用機持ちになったからにはそう簡単には優勝できないよ!」

 

 茶髪をハーフアップのツインテールに纏め、パッチリした釣り目を持つ猫の様な印象を持った勝ち気の美少女【凰鈴音】だった。

 

「久しぶりね、一夏!」

「悪いが俺はアンタが知っている織斑一夏じゃない事は先に言っておく。だが俺もアンタと戦う事が決まった以上、全力でやる。俺と話をしたければ昼休みに来てくれ……じゃないと後ろにいる先生に痛い目を見る事になるぞ」

 

 中国の代表候補生に指摘すると背後に千冬が立っており、邪魔だと謂わんばかりに後頭部へ出席簿を叩き込んで強引に退かせた。

 

「それじゃあ、また来るからね!」

「了解、昼休みに会おうな」

 

 そう言い残して彼女は二組の教室に戻り、席に着いて授業が始まった。基本の五科目等は概ね問題は無いがISの座学に付いては素人で、学べる所が沢山あり、ノートに疑問点等を記す。

 午前の授業を終えて昼休憩になった一夏は食堂に行くとラーメンの乗ったトレイを持つ鈴音が待っていた。

 

「遅いわよ、一夏!」

「それなら他のメニューを頼む事だ。まぁ、アンタのメニューを考慮しなかった俺の落ち度もあるからお互い様と言えるな」

 

 互いの落ち度を認めた両者はこうして彼が食べるメニューを注文、手頃なテーブルの席に着いて食事を始めた。因みに彼が資金調達が出来た理由は宝石店に売り出す時に身分証として学生証を提示、複数の貴金属を売却して大金を得たのだ。

 

「一夏さん、箒さんと一緒にいますが相席しても宜しいですか?」

「大丈夫だ、一緒に食べようぜ」

 

 セシリアと箒がそれぞれの昼食を持って一夏が座っている席に着いた。

 

「この二人は誰?」

「そう言えば紹介していなかったな。金髪の女性はイギリス代表候補生のセシリア・オルコットで隣にいる黒い長髪の女性は篠ノ之箒だ。三人とも宜しくな」

「セシリア・オルコットです。宜しくお願いします、凰鈴音さん。セシリアと呼んでも宜しいですわ」

「鈴でいいわよ、セシリア。宜しく!」

 

 鈴とセシリアは握手を交わすが箒は一夏と鈴の関係を問い質す。

 

「鈴音曰く、アンタが転校した時期に鈴が入れ替えで転校してきたという事でそれなりの付き合いがあるらしい。俺にそんな覚えは無いが彼女は気にしない事にしたみたいだ」

 

 一夏は事の経緯を一通り話した後に食べ終わって食器を片付けて、元いた席に着いて改めて話を進める。

 

「所で一夏……良かったら操縦を見てあげようか?」

「その必要はございませんわ。代表候補生の私に素手で圧倒的な勝利を納めたのですから、今度一夏さんに近接戦闘の極意を教わる予定ですので」

 

 鈴音の申し出に対してセシリアは挑発の意味を含めて断ろうとした。

 

「待ってくれ。俺はISの戦闘については過去の経験で今の段階は何とかなっているが、いつまでもその手が通用するか不安だ。だから二人にも操縦のアドバイスが欲しい。双方のアドバイスをベースに自分なりの動かし方を模索したいが良いかな?」

 

 しかし彼は両者の案の中間地点に当たる部分を見つけてそれを提示して納得させた。そこに箒が横槍を入れるかのように叫ぶ。

 

「一夏、私とISや道場の訓練はどうした!?」

「アンタには悪いがいつまで経っても少しも進歩しない状況に辟易した。だから今は特訓ではなく自分にとって何が足りないか、考えて欲しい。俺が納得できる答えが見つかればそれを示してくれ。俺は昼の授業があるから戻るぜ」

 

 彼はそう言い残して自分の教室に戻って席に着いて教科書を読み進める。ISの理論を充分に理解できておらず何度も読んで理解する事を迫られていたのだ。その後、午後のチャイムが鳴り、昼の授業が始まる。

 

 

 

 

  午後の授業が開始された頃……魔界の研究施設でキラーマシンが三機作られている光景を白と黒の姿の鳥顔と真紅の宝石を宿した杖を握る鳥の顔をした獣人【邪眼皇帝アウルート】が邪な表情で眺めていた。

 

「フフフッ……計画は順調だ。近い内にクラス対抗戦が実施されるから性能テストを兼ねて送り込むとしよう」

 

 アウルートは不敵な笑みを浮かべて計画を思案する。彼は極めて狡猾かつ慇懃無礼な性格を有しており汚い手を用いても勝利を掴もうとする厄介な所がある。

 

「性能テストをした後は学園に一人スパイを送り込んで彼と被験者、双方の情報を得るとしよう。そうすれば異世界の科学や我らが使う魔術のデータが収集できて一石二鳥だ!」

 

 彼はモニターに映る金髪の美少女を目にして次の計画を立てている。彼女の表向きはフランス代表候補生と記載されており転入する条件としては申し分がなくスパイをする上では問題は無いと判断した。

 

「織斑一夏、貴様がこの私の手でジワジワと苦しめてやる……!!」

 

 アウルートは高らかに笑い声を上げていた。一方、この世界に捕らえられたフランス代表候補生のシャルロットはISの座学をやりつつ実技のIS操縦を模擬戦で使うプロトキラーを標的に射撃をしていた。

 

『戦闘不能……機能停止』

 

 サブマシンガンが動力部に直撃したプロトキラーは機能を停止して倒れた。次はアサルトライフルを用いて漆黒に染まるプロトキラーのデータ収集するという指令が下る。

 

(僕は何時までこんな事をし続けるのかな……?)

 

 フランス代表候補生のシャルロットはそんな事を考えながらアサルトライフルを連射して今日もデータを取る。




ここで参謀を務める邪眼皇帝アウルートが登場しますが直接対決はまだ先です。
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