今回はクラシック三冠の終着点。菊花賞です。ダービーのその後からどうぞ!
閲覧注意な部分もありますのでご注意ください。
「無事…、ダービーを勝てたか…。ん…?」
ジョーダンだけでなくジャスタウェイの様子までもおかしかった。何故、皐月賞に出なかったジャスタウェイがダービー参戦したのか。
まさか、な…。
「ゴルのトレーナーさん。少し伝えたいことあるから、後で来て。」
そうレース前に言っていたことを思い出した。行くだけ行くか…。
嫌な予感しかしねーし、こういう時は必ず当たるものだからなぁ…。
「よっ。ゴルのトレーナーさん。」
軽々しく言った口調とは裏腹に重々しい声だった。
顔も泣き腫らしたかのように真っ赤でいつも適度に楽しむジャスタウェイらしさはどこにもなかった。
「なぁ。悔しいか?それ以上の何かなのか?俺には生憎その世界が分からぬものでね…。」
「悔しいけど…。ゴルが強くて安心したよ。それに早かった。私には追い付けないかな…。」
「追い付けるだろ。」
「いいの、トレーナーさん。追い付いたら負けるんだよ?」
「そんな軟弱な育て方はしていないぞ。追い付かれてからが勝負だ。」
「ははっ!流石ゴルのトレーナーさんだ。勝つ気満々なんだ。」
顔は笑っていたが、目は笑っていなかった。そんな状態がしばらく続き。
「はぁー…。私さ。今まで日本でやってきてすごく楽しかったのね。唯一無二の親友と過ごしてさ。でも。私は、海外に行くんだ。」
その瞬間、真人がキレた。ジャスタウェイの胸ぐらを掴み思いっきり壁に押し付けた。
「てめえふっざけんなよ!ゴルシがどんな思いして二冠を取った!親友に捧げるためだぞ!その親友切り捨ててまで行くのがやりたいことかよあぁん!?」
ジャスタウェイは落ち着いた様子で振りほどき、諭すように言った。
「落ち着いてトレーナーさん。私は、ゴルとまだ走りたいの。でも、海外に行くしか道はないんだよ…。日本のレースでは重賞は制してもG1では勝てないの。だけど、海外の荒い馬場なら対応できるかもって考えたの。だから…。」
「行くのか…。まさか、追うものと追われるものは逆だったとはな…。」
最早、真人には止める事は出来なかった。
「サブトレ。何か言うことがあるんじゃないのか?」
ダービーの祝勝会。会も進んだ中。
ゴルシは確信したように言った。言うべきときだな。
「ゴルシ。今から言うことはとてもお前にとってはショッキングだ。」
「なんだよトレーナー!辛気臭いなぁ!?」
そうやって笑っているのが堪える…。
「ゴルシ。ジャスが海外に行く。」
しばしの沈黙。その後。
「オイ、今なんつった。」
ゴルシが今まで聞いたことないような声、見たことないような顔をして、威圧感を放った。
「ゴルシ。アイツが自分で選んで決めたことだ。俺らにどうこうできる問題じゃない。」
その瞬間胸ぐらを掴まれロッカーに叩きつけられた。
「お前!親友が居なくなる辛さわかんねぇだろうが!アイツとは、どれだけ一緒にいたと思ってるんだ!アイツが挑戦するってのに…、なんでなんだよ!」
ゴルシの心からの叫びだが…、最後の方は叫びにすらならなかった…。
振りほどいて落ち着いて喋った。
「お前にはやるべき事がある。アイツにもやるべき事がある。そのやるべき事を全うする。だから、道が分かたれとうとも、やるべき事をなすことで、光が見える。希望が見える。未来が見える。
その光の中、希望の中、未来の中にアイツは居ないのか?居ないのであれば、アイツはそれだけの存在だ。」
最後の言葉を聞いた瞬間、ゴルシの目の色が変わった。
「ジャスは、それだけの存在じゃない…!光の中に、希望の中に、未来の中に、ジャスは居るんだ!」
ゴルシは小さな声ではっきりと言った。
「だったら諦めるな。一瞬たりとも渇望することを忘れるな。望む壁が高くとも進める意思を持て。己の強さを更に磨き上げ最強へとなれ。」
俺はそう言った。
「ははは。真人さん言うことがキツすぎだよ。」
「俺だって、お前と同じ経験をしてるんだ。並とは違うぞ。」
驚いた様子でゴルシがこういった。
「真人さんも、友達と離ればなれになったのか…?」
「あぁ。しかも、大分前にな。」
「そうなのか。だから、あんなこと言えたんだな…。」
納得した様子でそういった。
「どうするつもりだよ…?」
「それは勿論…、学園中に言いふらすんだよぉ!」
「ふざけんなこのバカ二冠娘!」
そっからはどんちゃん騒ぎ。結局互いにヘトヘトになり、生徒会にドヤされた所でお開きとなった。
五月末日。某国際空港。
三人のウマ娘と二人の男がその場にいた。
「ゴル。それじゃ、行くわ。」
「ジャス。残ってくれ!」
二人のウマ娘が、話していた。
「ん~、それもいいかもな。」
「それじゃあ!」
「ん?旅立つぞ?また会える時に会おうじゃねぇか。」
あっさりと言った。
「ほんと、ジョーダンにもならないんですけど。」
黙っていた一人のウマ娘はそう言った。
「アンタがいなきゃ、コイツ使い物にならないの知ってるでしょ?」
「はは。ゴルなら大丈夫。絶対にね。だって。プロスポーツの頂点に立った男が付いてるんだから。」
「確かに。でも、トレーニングに身が入らないんじゃ…。」
「そこも大丈夫だよ。」
「ジャス…。」
二人ともが向き合った。
「ゴルー。今から大事なことを伝えるぞ。」
「そうか。」
「諦めるな。背中を追うのはお前の得意技だろ?」
「どうすればいいんだよ…。」
「さっき言ったろ?追いついてこい。」
そして、別の場所では。
「お前も同期なのに、いきなり海外行きとか大変だな。栄転じゃねーの?」
「はは。結果を残せばな。」
「最初は香港か?」
「あぁ。その後アメリカだな。」
「世界旅行と行った方がいいんじゃねーの?」
「確かにwww」
「俺はこっちで無敗でいる。お前は、海外最強を目指せよ。」
「あぁ。同期よ。頼むぞ。」
「お前もな。」
涙を流した二人のウマ娘と、静かに戦友と誓いを立てた男は、一人のウマ娘と一人の男が乗った飛行機を見送っていった。
そして、数ヵ月後。
菊花賞。
「菊花賞か…。ついにクラシック三冠の終着点だな。」
「さてと…、作戦は考えてあるのかな?」
「トレーナー。作戦なんてねーよ。いつも通りのやり方しかねーよ。」
「おし。菊花賞ではいつもどおりの追い込みで行くか。」
「はなっからそういってんだろ。」
「気合い入れるためさ。」
「おうそうか。なら。行くか。」
菊花賞のレースが始まった。
「出走ウマ娘全てゲートイン完了。出走の準備が整いました。」
ついに始まる…。
「スタートしました!」
三冠の最終戦。ここで勝てば三つの冠を手に出来る。
「さあ、揃ったスタートになりました。各ウマ娘が10バ身以内に収まって淀の第四コーナーを曲がり、最初のホームストレッチへ!」
「よし!行けー!」
淀のスタンドからこのような言葉の大歓声。にしてもキレイな隊列だな。
「先頭が第一コーナーから第二コーナーにかかり、先頭から後方までおよそ12,3バ身と言ったところ。ほぼ淀みのない展開です。ここで先頭が向こう正面に入った。」
ここからが勝負。淀の心臓やぶりの第三、第四コーナーを超えたら最後の直線での競り合い。そこでの勝負か…。
「おっと!ここでゴールドシップが仕掛けた!」
オイオイ嘘だろ!?第三で仕掛けんのかよバカ!?
「一気に先頭に躍り出ます!淀の第三コーナーで仕掛けた!」
「しかしトーセンジョーダンも追ってきた!トーセンジョーダンもきた!ジョーダンも来た!」
「さあ、第四コーナーを曲がり、最後の直線勝負!」
「おもいっきり行けぇぇぇ!」
「ジョーダンとゴルシ!この二人の最後の直線での競り合いだ!ゴルシがわずかに前か!ゴルシ僅かに前!しかしジョーダンも追いすがる!
ゴルシが三冠への意地を見せるか!ジョーダンが最も強いウマ娘になるのか!
ゴルシ、ジョーダン!ゴルシ、ジョーダン!
いや、ここでさらにゴルシが伸びた!ゴルシ伸びた!そのまま、ゴールイン!」
「やった…。のか…?」
「やった…?」
「ゴールドシップ!シンボリルドルフ以来の無敗の三冠達成!」
その瞬間、喜びで叫んだ。そして、淀のスタンドも大歓声に包まれた。
はい!と言うわけで…、いかがだったでしょうか!
今回は、ジャスタウェイ、その後の菊花賞編です!
なんかいい話になってしまいました。もっと面白く出来たかもって思ってます。
そして、振り返りと反省もほどほどに、次回予告!
無敗の三冠を達成したゴールドシップ。次に目指すは…。
次回。新たな舞台。
この次もお楽しみに!