たいようのウマ娘   作:ひまじんホーム

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序章その2。ただでさえスローなのに前振りばっかり長くてすみません。
転生の女神様は何だか暇そうにしてたのでゲスト出演してもらいましたが出番は今回だけです。


序章その2 何回だって太陽は昇るさ

~天界~

 

「死後の世界へようこそ。ヒノデマキバオーさん。貴方は先程、不幸にも亡くなりました。」

 

「んにゃあ?どういうこと?」

 

オレは気が付いたら何もない空間で、ぽつんと椅子に座らされていた。

目の前には綺麗な川みたいな青く長い髪をした女の子。何だかオレが死んだとか言っている。今目の前で話をしているのにおかしなことを言う。

 

「覚えていませんか?貴方は鵡川にある実家の宮蔦組の屋敷に帰省中に、宮蔦組と対立する大友組の襲撃を受けて・・・。」

 

言われて思い出す、目を醒ます直前の記憶___。

 

オレはダイナスティが勝った凱旋門賞を最後に競走馬を引退。その後は種牡馬にはならずに福留厩舎付きのトレーナーとして高知で走る後輩馬達の育成をやってた。

『根性トレーニング』。UAEで叔父のミドリマキバオーが実践していた根性を引き上げるトレーニングは高知でも確かな成果を見せ始めていた。最近ではホシノソヨカゼやマウンテントップが交流重賞で活躍して高知のスターに育っている。また、ダイナスティにあやかって高知休養を希望する中央馬もちらほら。

彼らに刺激を受けた下の世代も実力を付けてきており、いまや『実力の高知』としてかつてない盛り上りを見せている。オレみたいなイロモノでお客さんを集めていた頃とは大違いだ。

そうして高知競馬の経営も上向いて安定してきた頃、福留のおっちゃんから長期休暇を貰った。預託馬もあらかたデビューして少し手も空いた時期であり、おっちゃんも気を遣ってくれたんだろう。

有り難く厚意を受け取って、たまにはおっ母に顔でも見せようと鵡川の宮蔦組の屋敷を訪ねた矢先のことだった。

 

「おどりゃマキバコ死にさらせゃ!」

「ここで会ったが百年目ぇ!」

 

どうやらオレと母マキバコと間違えたらしい。 屋敷の前にいたオレに向かって迫ってくる二人組。一人は長ドスを振り回し、もう一人は手に拳銃を握っている。

 

「んぎゃああ!?オレはマキバコじゃないがあ!」

 

「今さら命乞いかあ?そんな白い馬が他にいるかよお!?」

「問答無用じゃあ!ブッ殺す!」

 

「んぎゃあああ!た~す~け~て~!」ドドドッ

 

必死に逃げようと走り出したものの、相手は飛び道具持ち。馬がどんなに速く走っても弾丸の速度に敵う訳もなく・・・。

 

 

パァン!

 

 

(あっ、オレ撃たれた。こんなところで死ぬ・・なん・・て・・・)

 

 

__思い・・・出した。

 

 

「そうだ、オレ撃たれて・・・。」

 

「思い出されたようですね・・・。」

 

「鉄砲は怖いにゃあ・・。オレ一発で死んでしまったぜよ。」

 

「いえ、貴方の死因は銃による傷ではありません。」

 

「んあ?」

 

「正確には撃たれたと思ってビックリしたことによる心臓発作が貴方の死因です。撃たれた弾は外れて、その後、襲撃犯は銃声を聞き付けた宮蔦組の舎弟に取り押さえられました。」

 

「えぇ~!?」ガビーン

 

「でも安心してください。貴方を襲撃した大友組は宮蔦組のお礼参りで壊滅していますので。」

 

「物騒過ぎて安心できないよ!?」

 

「ぷっ、くくっ・・・。しっかしまぁ私も長いこと転生の神やってるけど、どこぞのヒキニートみたいな死に方するやつが他にもいるなんてこっちもビックリよ。アンタ、ダーウィン賞の才能あるわよ。種牡馬にならなくて正解ね。あっ、童貞なのもヒキニートとお揃いねっ!」プークスクス

 

途轍もないブラックジョークをかましてくる目の前の女の子。

流石にちょっと言い過ぎじゃない?

 

「ねぇ、ところでキミなんなの?オレが死んだのはわかっちゅうが、とやかく言われとうないきに。」

 

「私?私はアクア。死んだ者の魂を導く女神よ。」

 

「んあ?女神?」

 

「そうよ。崇めなさい。」

 

「えぇ・・・全くそんな感じないぜよ。」

 

「うっさいわね。さっさと、本題に入るわよ。さて、ヒノデマキバオーさん。貴方には3つの選択肢があります。」

 

「1つ目はゼロから新たな人・・馬生を歩む、2つ目は天国的な所へ行って毎日日向ぼっこしながらおじいちゃんみたいな暮らしをするかね。」

 

「 で~も~、天国も退屈なばっかりで楽しいことも何もないのよ。かといってまた一から馬生をやり直すのもねぇ・・・そこで3つ目の選択肢ってわけ!」

 

「あなた!走るのは好きでしょう!?」

 

「う、うん。まぁ・・・。」

 

「そんな貴方にピッタリの世界があるの!『ウマ娘』。彼女たちは、走るために生まれてきた。ときに数奇で、ときに輝かしい歴史を持つ別世界の名前と共に生まれ、その魂を受け継いで走るーー。それが、彼女たちの運命。この世界に生きるウマ娘の未来のレース結果は、まだ誰にもわからない。彼女たちは走り続ける。瞳の先にあるゴールだけを目指してーー」

 

「と、いうわけよ。」

 

「いや、どういうこと!?」

 

「まあ、簡単に言えば異世界でウマ娘に転生して第2の馬生を楽しんじゃおうってわけよ。」

 

「う~ん・・・。」

 

ウマ娘というのはよく分からないが生まれ変わってまたレースを走ろうということか。

凄くいい話だと思う。もし、オレがレースで本気で走れなかったあの頃に提案されてたら二つ返事で受け入れたと思う。

・・・でも、オレは知っている。オレのレースはもう終わったんだってことを。

 

「オレはもう満足したきに。元々レースにも出れなかったオレにライバルが出来て、大きなレースで勝つことも出来た。凱旋門賞に出たいなんてオレのワガママも叶えて貰ったでよ。これ以上望むことなんがないぜよ。」

 

「で、でも、ほらやり残したこととかない?あるでしょ?」

 

「いやぁ、別に。」

 

「いやじゃないでしょ!?何かあるでしょ!?あるって言いなさいよ!」グググ...

 

なんかすごい剣幕で迫ってきた!?

 

「にゃああ!?なんなの!?わかった!あります!未練ありますから!」

 

「そう?じゃあウマ娘世界に転生ってことでいいわね♪」

 

「ねぇ?凄い強引だけどその世界に何かあるの?」

 

「ないない!な~んにもないわ!じゃあ転生の魔法陣開くからソコに立ってなさい。」

 

「う~ん・・・怪しい。」

 

椅子を降りるヒノデマキバオー。立て、と言われて二足で立つ馬は彼の身内を除いてはおそらく存在しないだろう。

 

「さあ、ヒノデマキバオーさん。次に貴方が目覚めた時には新しい世界に新しい生を得ることでしょう。記憶は失われますが、貴方が今までに磨き上げた魂の力は能力の因子として引き継がれます。どうか幸あらんことを!」

 

「ちょっ、この穴、底見えないんだけど!」

 

「行ってらっしゃ~い!」

 

「落ちる!落ちるぅ~!」

 

ヒュ~

 

「んぎゃあああああぁぁぁ・・・・・」

 

 

 

 

 

「ふう・・・なんとか旅立ったみたいね。これで、本当の依頼者である貴方の願いは叶ったってことでいいかしら?」

 

「ああ。有り難う。」

 

「ふふん。私の華麗な話術に感謝することね!」

 

「話術!?とんでもない力業に見えたけど!?」

 

「うるっさいわね!女神なんだからいいのよ!」

 

「無茶苦茶だこの人!」

 

「でも、よかったの?」

 

「ん?」

 

「チートもなし、記憶引き継ぎもなし。せっかくの転生特典を何も要らないなんて勿体ないことして。」

 

「オレの願いはアイツとまた走りたいってだけだからね。それ以上のことは望まないさ。」

 

「ふぅん。それであの子、勝ち上がってこれるかしら?」

 

「Feel Alright! 大丈夫さ。」

 

「だって、あいつはヒノデマキバオーだからね。」

 

「何回だって太陽は昇るさ。」




やっと次回から本編。

フィールオーライ 鹿毛
父サンデーサイデンス(サンデーサイレンス)
母ワインドアンダーヘア(ウインドインハーヘア)
つまり基ネタは完全にディープインパクト。
今作のビジュアルイメージはウマ娘リリース前のディープインパクトだけど、中身は優等生やんちゃボーイなフィールオーライ。

ヒノデマキバオー 白毛
父タマブクロス(タマモクロス)
母マキバコ(ミドリマキバオーの妹)
ミドリマキバオーの生い立ちがタマモクロスをモチーフにしてるといわれますが、ヒノデマキバオーは二つの意味でその血を受け継いでいることになります。今作のビジュアルイメージはタマちゃんの小学生時代にそっくりな中学生。
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