伝説になるかもしれない話   作:三郎丸

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誰も知らない彼等の呪術廻戦。
裏側で密かに立ち上がった彼等は
あまりにも脆く頼りない。

だが彼等の意思は
強い呪い(想い)を帯びていく。


14.死生契闊(挿絵有り)

【前回までのあらすじ】

吸血鬼宅で騒ぎまくるコテハン組。漸く各メンバーの術式が判明、更に術式を発動した龍虎姉弟は夏油(幽霊)を靄として認識することが出来たようだ。そして始まる会議、各々が戦う理由を語り彼等の呪術廻戦が幕を開けた。

 

 

 

 

 

 

10月3日(水)23:12 都内某所の吸血鬼マンション

 

 

 

「俺達の呪術廻戦か…スレ主、大きく出たな。だがその言葉通りなんだろう。俺たちは俺たちのやりたいようにするってやつ。正義を振りかざすつもりもなければ単純な人助けとも違う。各々が自身の譲れないものを持ってして戦う。争う理由としては事足りてるな」

「此処から私達は奴等とお互いの目的のために命を奪い合う…と言うことか。本当にやれるかどうか議論していこうぜ。まず私たち呪霊やれるかな。ドラゴンぱわーで殴ればいける気がしなくもないけど、めちゃくちゃ呪術戦素人なんだよなぁ。そもそも明確な殺意を持ってでかい生き物を殺した事ない」

「此処で呪霊と戦ったことある人、フレンズさんと分家さんだけだよね。俺の術式はスレ特化なんだけどいけると思う?ちなみに俺はゴキブリも殺せない」

「龍さんは兎も角、スレ主は戦闘に参加しない方が良いと思うぞ。あんたは言うなれば情報戦の要だ。その術式は帳の中でも通用する可能性がある。仮に通用しなくとも互いの連絡手段及び司令塔として活用した方が結果的に俺たちの生存率を上げるはず。あとスレ主自体戦闘向けの性格をしてない」

「俺が司令塔…?」

「スレ主くんには凄く失礼なんだけど、何処と無く不安感がある」

「俺も不安しかない。分家さん一緒に司令塔してくれない?」

「おい、戦場にマジの素人しか居なくなるぞ」

「はい、コンビニ店員からの質問。そもそも僕らの戦闘力どうなってる?」

 

 

コンビニ店員からの質問、コテハン組内の戦闘力はどうなっているのか。吸血鬼宅にあったホワイトボードに分家はコテハン組のおおよそな戦闘力ランキングを書いていく。分かりやすいように横へ呪霊の等級も書かれており、遊び心なのかデフォルメされた呪霊のようなものが絵として添えられていた。ものすごく下手。

 

 

「まず俺は精々三級呪霊が祓える程度、二級だと普通に死にかける雑魚だ。そしてスレ主と吸血鬼はほぼ一般人。呪具があれば四級呪霊はいけると思うがそれより上は今の状態だと死ぬ。次にフレンズ、話を聞く限りその山じいと言う呪霊は封印された状態だと二級相当だったと思われる。呪霊との初戦闘で二級と普通に殴り合えたのは純粋に強い。戦い方を学べばそこそこいけるはずだ。あとフレンズ社員の山じい。現段階で一番強い。平安生まれの術式持ちで意志疎通が可能な特級呪霊って事でまぁ、雑魚な訳がない」

『山じい高評価だよ、やったね。流石鞍馬山の天狗!よ!烏天狗!…事実だろって?うん、その通り!』

「はいはい!私達姉弟は?」

「それはよくわからない。真人の無為転変による改造人間達は大体三級から二級弱だ。ただの一般人が代償は大きいとはいえそれぐらいの力になる。それを個人で限定的に術式として発動させるかつ神話に連なる存在へ変化するなんて戦ってる場面を見ないとなんとも言えん」

「うーん、夏大先生は私達の術式に近いものを見たことないの?」

『そこで私に聞くのか?それに大先生って…今まで私もそう言った術式は見たことがない。残念だけど有益な情報はないよ』

「夏大先生でも見たことないそうだ」

「ねーちゃん、その呼び名は夏さん困惑したと思うよ…山じいさんの方は?」

『どう?山じい…なるほど、此方は直接見ない事には何ともだとさ』

 

 

ここまでの話し合いの通り彼等は対呪術戦どころか戦闘経験者が少ない。命のやり取りを知らずしてまともに呪霊や呪詛師と戦えばまず勝ち目はないだろう。期限が年単位であれば準備と策略を巡らせて余裕とは言えなくともそこそこの作戦を立てられていたかもしれない。しかし今は兎に角時間がないため着実な作戦はほぼ不可能だ。でも此処にはそんな窮地に立たされた戦況をひっくり返せる要素が残されている。

 

龍とコンビニ店員の術式は誰も見たことがない未知数の力だ。ある意味可能性の塊、故に奇跡を引き寄せる縁となるかもしれない。それらを約1ヶ月で戦場へ使いこなすのは通常無理だろう。だが此処には無理を通せる吸血鬼の回復系の術式やスレ主の多くの他者との意見交換や相談ができる縁繋ぎの術式がある。それに加え、呪術におけるエキスパートが揃っていた。

 

龍はその事に気づいたからこそ、先陣を切って彼等に頼む。

 

 

「じゃ、私は山じいさんに弟子入りしようかな。あと分家くんと夏大先生にもご教授頂きたい」

『──は?』

「龍さんやばい事言うな。まぁ、今ある力を伸ばしていくのは堅実だと思う。でも色々と大丈夫か?」

『お、埼玉来る感じ?良いよ来な来な。我が家広いし、私有地の山あるから合宿場として気軽に使ってよ。まぁ九相図達によるけどね』

「私やスレ主さん、コンビニ店員さん達も出来ればそれに同行した方が良さそうです」

『わは、うん皆埼玉に来なよ。俺の家を一時的に拠点地へすれば良い』

「マジで?フレンズさんありがたや~!俺早急に長期休暇取れないか会社とバトルしなきゃ」

「これ大学どうしよ」

 

『嘘だろ、呪霊に弟子入り?君たち本気で言ってるのか』

「そりゃ使えるものは使わないと損だろ。一応同盟結んだし、あんたにも当然働いて貰うぞ」

 

 

無茶苦茶な事をやろうとしているのは承知ではあるが時間がないので即決。四の五の言ってる場合ではない。最早やれるやれないと言う話は過ぎ去り「やれない…?なに言ってんだ、やるんだよ」精神。つまりは術式及び戦闘技術を磨きつつ情報収集、仲間も勧誘して同時並行で作戦を臨機応変に練っていくと言う無謀過ぎる計画を実行していく他ないだろうとの判断だった。言うなれば渋谷事変の推奨レベルにたどり着いてない処か何もかも準備不足な状態。なのでそれらをかき集めつつレベル上げをして作戦を練っていくしかないのだ。

 

彼等は敵サイドと会ったことすらないのにかなり追い詰められているのが現状だ。また敵サイドと遭遇することは出来る限り控えなければならない。接敵する際は絶好の機会で無いと勝機はほぼ無く死滅回游ルートへ進むことになる。

 

彼等の中で共通する接敵の機会は概ね一つ。渋谷事変開幕時、五条悟と特級呪霊達の戦闘に介入することだ。五条悟を封印される前に獄門疆の破壊もしくは奪取、それが最優先事項。羂索の居場所が分からない以上、渋谷を救うにはそれが一番手っ取り早い。このチャンスを狙うと言うことは渋谷事変自体を回避しないことを意味する。当然犠牲は多く出る事だろう。それでも0に近い勝率を上げるためにはこの機会が適している。

 

それに対して彼等は罪悪感が無い訳じゃない。おそらく一生の後悔を抱くだろう。しかし彼等は弱い。全てを救える程、力も知恵も時間も何もかもが足りないのだ。だからせめて自分達の延長線上にいる日常を守ると決めた。

 

 

 

そして始めの関門はフレンズが九相図達と上手い具合に交渉成立出来るかどうかだ。仮にフレンズがミスをやらかして高専サイドに存在がバレれば間接的に羂索サイドにも此方がバレるのでピンチ。でも上手く勧誘出来れば羂索サイドの情報を入手できる他、戦力になる可能性がある。しかもワンチャン脹相を釣れるかもしれない。色々と大丈夫なのか不安しかないフレンズによる九相図を誘拐し勧誘すると言う破天荒な"天狗の仕業作戦"は結果的に日本の未来が懸かっていた。

 

 

「フレンズさん作戦頼んだ!頼むことしか出来ない俺だけど、今日のフレンズさん見てたら成功する気がしたよ」

『はは、スレ主にそう言って貰えると助かる。でも俺と言うより山じいの方が頑張るからなぁ…うんうん…へー!流石鞍馬天狗!…意気込みバッチグッ!みたい』

「フレンズ、山じい共々細心の注意を払ってくれると助かる。武運を祈ってるぞ」

「僕からもよろしくお願いします…あ!気づけばもう4日になってる。ねーちゃん目死んでるけど大丈夫?」

「いや眠くてな、一旦纏まったみたいだしそろそろ寝た方が良くないか。何人かは普通に仕事あるし、フレンズさん達は特に英気を養おうぜ」

「ええ、それが良いと思います。寝不足の状態で話し合っても良いものは出ませんし今後の予定はある程度決まりました。じゃあ各自の寝床を決めて下さい」

 

 

 

 

 

10月4日(木)5:23

『大変なことに気付いてしまったスレその2』

 

 

79:何処かの名無しさん

おはようございます

4日目か、ずっと胃が痛いわ

 

80:何処かの名無しさん

おはよ…俺らより

コテハン組が胃腸粉砕してるだろ

 

81:何処かの名無しさん

夜通し作戦会議したんだって?

 

82:何処かの名無しさん

遡ったら話し合いの内容あるよ

 

83:何処かの名無しさん

要約したら

・埼玉呪術戦合宿開催予定

コテハン組全員参戦、夏大先生と分家先生、山じい先生による呪術のあれそれを詰め込む

・今後について

レベル上げしつつ仲間集めて情報手に入れ作戦を並行して決めていく。わりとフレンズ作戦次第のところある。攻め時は渋谷事変開幕の際じゃないかなと言う認識。五条悟の封印阻止で最悪の事態は回避可能ではとの見解

 

84:何処かの名無しさん

決まっているようで決まってない気が!?

これ特級パラダイスに突っ込む…ってこと?

 

85:何処かの名無しさん

仕方がない、ほぼ初心者パーティーだもの

しかも出会って3日だから決めるの無理じゃね?

それに渋谷事変開幕の瞬間が獄門疆を

なんとかするのが一番確実だしな

 

86:何処かの名無しさん

誰がどの様に行動するか、個々の能力を

把握してある程度伸ばしてから決めるって事か

 

87:何処かの名無しさん

確かにそうなるわな。術式判明したの

最近と言うか昨日の人もいるし…

それに特級呪霊と直接相対せず

死角から奇襲もワンチャンいけるかも

 

88:何処かの名無しさん

フレンズの作戦も実際にしてみないと

どうなるか分からんしね

 

89:何処かの名無しさん

あれもこれも全部未知過ぎる

渋谷事変、結局どうなるかわからん

 

90:何処かの名無しさん

俺らの存在がどう響くかによるな

この世界は原作によく似たどっかの世界だろうし

既に何処かでイレギュラーが起きてる可能大

原作基準で物事を考えすぎるのも不味い。俺達にとって此処は紛れもない現実だから慎重大事

 

91:何処かの名無しさん

慎重に、でも時に大胆にいかないと厳しそう

 

そういや誰も突っ込んで無かったんだけど

幽霊と転生者と呪霊が先生ってヤバい

 

92:何処かの名無しさん

>>91

それ思った

生徒漏れ無く全員転生者は厳つい

 

93:何処かの名無しさん

>>91

ドリームチーム来たな

 

94:何処かの名無しさん

しかしこのまま高専サイドと

繋がり薄いのはキツいな

 

95:何処かの名無しさん

確かに、渋谷事変に介入するとして

その事後処理色々な意味でやばくないか?

 

96:何処かの名無しさん

誰かしら口が堅くて信用出来る人いないかな

 

97:何処かの名無しさん

この場に呪術師が居ればもっと状況が

変わってたんだろうけど呪術人口少ないもんね

 

98:何処かの名無しさん

とりあえず今後の展開はフレンズの作戦次第か

 

99:何処かの名無しさん

失敗したら結構不味くない?

 

100:何処かの名無しさん

べりーべりー不味いと思う

 

101:何処かの名無しさん

そこら辺何とか頑張って貰うしかない

俺たちが行っても逆に足手まといだしな

 

102:何処かの名無しさん

現状我々スレ民が出来ることない感じ?

 

103:何処かの名無しさん

あれ作ったじゃん渋谷事変マップ

あのマップを更新し続けようぜ

 

104:何処かの名無しさん

>>103

確かにあれ一時的な完成だもんな

随時必要な情報詰め込むか

 

105:何処かの名無しさん

>>103

実際に東京住みのスレ民中心に

渋谷を巡回して確かめていくのも良いかも

 

106:何処かの名無しさん

>>103

危険ゾーン的な場所とセーフゾーン的なのが

一発で分かる感じにしたい

 

107:何処かの名無しさん

>>103

そのマップを見たら何が起きていて

何処が不味いのか分かると助かる

ハザードマップみたいな奴

 

108:何処かの名無しさん

よし、マップにこれ付け足そう情報

その度に言ってどんどん更新しようぜ!

 

109:何処かの地図作戦班さん

マップの編集は任せろ

情報は誰か適度に纏めて欲しい

 

110:何処かの名無しさん

うーんそうだなぁ

情報纏めサイト的なの欲しくね?

ここだと流れちゃうしそう言うジャンル分け

された話し合いの場みたいのあると嬉しい

 

111:何処かの名無しさん

>>110

それ!それ良いな!

話し合う内容が内容だからこのスレに入れたものしかアクセス出来ないみたいなやつだと安心

 

112:何処かの名無しさん

このスレに入り口置く感じにするか?

でも手違いで外にリンク漏れしたら怖いな

 

113:何処かの名無しさん

スレ主の術式を上手いこと作用させれんの?

 

114:何処かの名無しさん

出来るのかな…呪術に関しては

知識がある程度持ってるとはいえ俺ら素人だし

 

115:何処かの名無しさん

はいはい!あたいIT企業のエンジニアしてる人材です!サイト作りたい!何かメガ盛りに趣味ごりごりしたい!

 

116:何処かの名無しさん

>>115

なんか人材現れた

 

117:何処かの名無しさん

>>115

趣味メガ盛りサイトどうなるか

よく分からんがスレ主に許可取ってやればヨシ

 

118:何処かの名無しさん

え、なら私そのサイトの

デザインとか描きたい

 

119:何処かの名無しさん

わいも関わりてぇ~!!アプリ化させてぇ~!!実は既に構築していたやつあるからそれを皆のと組み合わせて使えば迅速に実装できるはず!やりてぇ~!!

 

120:何処かの名無しさん

さらに人材が続々集まってきたぞ

 

121:何処かの名無しさん

アプリ化!?近代化凄まじいな、おい

あと119さん何者なん??

 

122:何処かの名無しさん

スレ主来たら纏めて相談しようぜ!

 

123:何処かの名無しさん

俺も何かしたい!何もしてない!

クラウドファンディングしたら良い??

 

124:何処かの名無しさん

>>123

わいの財布で日本の未来

守れるとかするしかねぇじゃん!

 

125:何処かの名無しさん

ある意味ビッグプロジェクト

 

126:何処かの名無しさん

呪術関連の情報アプリ

渋谷越えた後もめちゃくちゃ活用出来そう

 

127:何処かの名無しさん

俺らなりの戦い方やんけ、良いね!

 

128:何処かの名無しさん

多分書類上でやってる処理とか楽になりそう

技術革命起こしてくスタイル楽しいな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10月4日(木)6:39 都内某所の吸血鬼マンション

 

 

 

 

スレ主は結局眠れずに吸血鬼家のバルコニーで黄昏ていた。ここで煙草を吸っていたら何となく格好がついたかもしれないが手に持っているのはドンキで買ったココアシガレット。ただ呆然と都会の景色を眺めココアシガレットを齧っている。

 

スレ主にとってここ数日は人生観を変える程の出来事ばかりだった。突如甦った前世の記憶に、呪術と言う存在、起こるかもしれない悲劇的な未来、そして志を共にする仲間。今までアニメや漫画の世界しかなかった筈の物語が現実となって押し寄せて来ている。それらは知らなかっただけで既に始まっており、極めて近くに居たのだ。昨日…いや今日の話し合いで漸くそれらを実感し、現実を受け入れ始めた。

 

覚悟を言葉にすることは容易い。

だがそれを実行するのはとても困難なことだ。

 

 

「おれ、やれるかな」

 

 

不安や恐怖、負の感情と呼ばれたそれらは決して無くなることはない。だからこそこの世界には呪霊が溢れているのだろう。それでもやるしかない。やらなければならない理由がある。故に境界線の向こう側だったはずのもの達へ抗う。スレ主はこれからの未来を想像しながら二本目のココアシガレットを取り出した。

 

 

「冷えますよ、ホットミルクをどうぞ」

 

 

背後から吸血鬼がスレ主にマグカップを差し出す。スレ主は反射的にマグカップを受け取り、その後慌ててお礼を言った。

 

 

「ホットミルクにはリラックス効果があるのでよく飲むんです。私の年下の友人にも勧めてます」

「確かに落ち着くや…吸血鬼さん、その友人は東京の方ですか?」

「所属は岩手弁護士会ですね、でも連絡を取り合ったり東京へ仕事をしに来ますよ。大学で知り合ったのですが、彼の話ついつい楽しくて聞いちゃうんですよね」

「へぇ~弁護士の話とか面白そう」

「ええ、面白いですよ。今が落ち着いたらゆっくり話したいものです」

「俺も面白い友達いるな~。そいつ芸人やってるんだけど中々面白い!なのに売れてないの何でだろ?」

「その方個性豊かそうですね」

 

 

スレ主と吸血鬼は早朝の東京を眺めながらお互いに言葉を交わす。会話内容は何でも良かった。今の気を立て直すにはそれで十分。これからのことを考えるとどうしても不安に押し潰されそうになるが、共に立ち向かってくれる仲間達が居るのだ。まだまだ彼等の物語は始まったばかり。どうしようもなかった未来の行く末は現在未確定のまま。ならば変えられると信じて進むだけである。

 

 

 

 

 

 

そんな2人の様子を夏油は部屋から静かに見詰めている。夏油は夏油で思い悩んでいた。彼はコテハン組と出会って様々な事実を知り、その事について思索に耽ていたのだ。自身の知らない所で行われていた策略、多くの呪いを招くおぞましい思惑、影に隠れた夥しい悪意…それらは夏油とは無関係なものではない。寧ろ利用され、貶められていた。夏油自身も世間一般的には悪側であった事は承知の上である。しかしこれ程までに善悪関係無く全てを巻き込み、混沌へ落とし込む所業は看過出来ない。

 

それが自己矛盾を孕んだとしていても今この瞬間、夏油は彼等の協力者として力を貸したくなっている。今を必死に生き愛すべき日常を守り抜こうと足掻くもの達を見放すほど彼は冷徹な心ではない。むしろ冷徹の逆だ。彼は真面目で優しかったからこそ親友と訣別した過去があり今がある。そして夏油の心を揺さぶったのは何時だって人間だった。

 

 

そう、人間だ。

非術師と呪術師。

猿と人間。

 

そう思いたかった。

そう思い込みたかった。

 

明確な違いがあるのだと、だからこそ

呪術師だけの世界には救いがあるのだと。

 

 

『分かっていたさ。それでも進むしかなかった。今や私は終わってしまったけどね。だから後世に託すしかない。それで彼等の道が私と違っても、まぁ仕方がない』

 

 

夏油は変化を許容する事にした。変化を拒む行為はあの村で見た奴らの行動そのものだと言うことに気が付いていたからだ。世界は変わっていく。彼等(コテハン組)や夏油の家族達、そして親友らが変えていってくれる。その助けになるなら夏油は今までの己を曲げて、自己矛盾上等精神になってやっても良い。

 

もう時間はない。踏ん切りはついた。彼等と共に再び戦場へ戻ろう。これがきっと夏油が幽霊としてこの世に留まり続けていた理由だ。

 

 

 

 

 

渋谷事変まで残り27日間。

各自は本格的に動き出し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

162:何処かのスレ主さん

つまりIT技術と俺の術式を融合合体!?

 

163:何処かの名無しさん

そう言うことやな

 

164:何処かの分家さん

出来るかどうか未知数では

あるがやってみる価値アリだ

対呪術に特化したアプリは今まで無かったものだし、スムーズに情報交換出来るのは助かる

 

165:何処かの名無しさん

それ間に合うんですか??

 

166:何処かの名無しさん

期限1ヶ月切ってる

 

167:何処かのスレ主さん

いや、頑張る!

術式はイメージ大事らしいから

オタクの妄想力でやったるわ!

 

168:何処かの名無しさん

GOGOGOGO!!!!

 

169:何処かの名無しさん

よっしゃー!チームエンジニア出番だぞ!

 

170:何処かの名無しさん

アプリの作成はチームエンジニアがして

実用段階でスレ主が術式をかけるって感じか

 

171:何処かの名無しさん

そんで出来れば早急に作成と…

一週間くらいが目安だけどいける???

 

172:何処かの名無しさん

いけるいける(白目)

 

173:何処かの名無しさん

わい今実質ニートしてるから大丈夫やで

やり甲斐めっさあるし基礎は既にある

 

174:何処かの名無しさん

じゃあクラファン設立任せた

 

175:何処かの名無しさん

おうよ、まさかクラファン

募集するとは思わなかったぜ

 

176:何処かの名無しさん

それまではここで情報交換で良き?

 

177:何処かの名無しさん

他のサイトやアプリを使っても良いけど、あまり分散させると管理大変そうだしスレ主の負担ヤバそう。今はここで良いんじゃないかな。情報纏めは適度にやっとこう

 

178:何処かの名無しさん

じゃあ早速取り掛かるか

チームエンジニア諸君に

連絡網回したから確認ヨロシクな

 

179:何処かの名無しさん

無理そうだったら早めに言ってくれよな!

 

180:何処かの名無しさん

地図作戦班、情報纏め班、

エンジニア班、コテハン組と勢揃いしてきたね

 

181:何処かの名無しさん

総動員しないと渋谷事変は乗り越えれん

 

182:何処かの名無しさん

頑張ってこうぜ!

 

183:何処かの名無しさん

フレンズさん大丈夫かね

 

184:何処かの名無しさん

そう言えばフレンズさん

特級呪霊とキャンピングしてるんだった

 

185:何処かの名無しさん

今さらだけど本当に大丈夫???

 

186:何処かのフレンズさん

大丈夫、楽しく料理してる

作戦任してくれ、新入社員絶対確保する

 

187:何処かの名無しさん

>>186

ん?新入社員…?

 

188:何処かの名無しさん

>>186

え?

 

189:何処かの名無しさん

>>186

それ、聞いてない話

 

190:何処かのフレンズさん

あ、言ってなかった

折角だから俺の店の社員

になってもらおっかなって思ってて

 

191:何処かの名無しさん

>>190

なにそれこわい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10月6日(土)午後 鯉ノ口渓谷 八十八橋

 

 

 

「ん?お、来たっぽい」

「む、漸くわしの出番か…このきゃんぴんぐ暮らしとお別れはちと名残惜しいがの」

「はは、キャンピングはまたしよう。今度は新入社員(壊相・血塗)も含めてさ。じゃあ頼んだ山じい」

「あいわかった。新入社員を捕獲してこようぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、第2章開幕!

 

 

─────────────────────────

 

「皆さんごきげんよう、

私は吸血鬼現状を纏めるおじさん」

「吸血鬼現状を纏めるおじさん!?」

「では今回の登場人物を纏めていこう!」

 

○今回の登場人物

 

・龍虎姉弟─本名:東西水稀(とうざいみずき)東西水渚(とうざいみずな)

姉弟揃って呪霊と幽霊と中学生に弟子入り。

眠くなると目が急に死ぬ特性を持つ。

 

 

・吸血鬼現状を纏めるおじさん─本名:夜間紅雀(よるまこうじゃく)

みんなの温泉施設になると決意。

弁護士の友達が居るらしい。

 

 

・フレンズ&山じい─本名:勅使河原晴彦(てしがはらはるひこ)

埼玉術式合同合宿開催場所提供者フレンズ。

山じいは龍虎姉弟の師匠へ。

遂に次回作戦決行か…?

 

 

・分家─本名:五条(さとり)

15歳にして門下生が爆誕。

絵が下手くそっぽい。画伯。

 

 

・夏油傑(幽霊の姿)

奇しくもコテハン組の先生になった。生前の信念を曲げて今を生きる者へ力を貸すことに。

※スレ主と吸血鬼を見詰める夏油の図

【挿絵表示】

 

 

・スレ主─田代将司(たしろしょうじ)

拡張術式使えるかなRTA開始。

芸人の友達が居るらしい。

 

 

・スレ民s

様々な人材が埋まってる。芽を出していない者から現場で活躍している者まで色々いる模様。呪術の才能が無くとも技術だったり人脈やコネで渋谷の戦場とは別の戦いを繰り広げるかもしれない。彼等なりの呪術廻戦である。

 

 

 

 

 




第1章終幕、次回第2章…ではなく登場人物纏めを投稿予定です。各自の術式や関係性が複雑化してきているので分かりやすいように開示されたものだけ書きます。その後第2章"動き出す世界"が開幕していくはず。
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