伝説になるかもしれない話   作:三郎丸

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短い話を3つ詰め合わせた番外編的な奴です。
水稀関連の思い出を皆が語ってます。

番外編もう書いちゃうの?とか思ったりしたけど、もう書いちゃう。でも安心して下さい。次回はちゃんと掲示板が登場します。


【小話】彼等の思い出(挿絵追加)

これは過去と未来の話。

水稀が関わった思い出話。

未来が確かに変わっていった話である。

 

 

この呪術ワールドに居る転生者達は皆、初めから前世の記憶を思い出していた訳ではない。しっかりと思い出した者はクソスレを経由した奴らでほとんどだ。だが、記憶を思い出していない状態でも転生者としての片鱗が存在していた。例えば行動だったり、知識量だったり、思考や倫理観と言ったもの。彼等は既に一度人生を経験している。故に彼等は普通とは異なる。また、彼等は一度死を経験している。そして世界までも越えてしまっていた。だからこそ彼等の行動はバグのようであり、本来あった筈の流れを変えていく。そう、変えられる力を持つ。

 

知らず知らず彼等は既に流れを変えていた。クソスレを立てる以前から彼等はもう世界に変化をもたらしていたのだ。これはその変化のひとつ。違う世界の誰かであった存在がこの世界に影響を与えた結果である。

 

 

 

 

【水稀弟の思い出話】

 

 

あの日姉はめちゃくちゃぼろぼろだった。なんでぼろぼろなのか聞くと生死をかけたバトルをしていたらしい。意味が分からなかった。なんでザリガニ釣りしていたらそんな生死をかける事態になるのか…姉だからなのか。そう言えば姉は常日頃から言動可笑しかったな。日常的に近所の方の亀へザリガニを貢いでるし…。

 

 

ふと姉の名前を呼ぶ人がいた。この辺でまず見掛けたことがない容姿の僕より年上の少年だった。丁度姉と同じくらいの年齢だろうか。何か漫画とかに出てきそうな感じの姿だなと言った感想を持った。

 

 

その少年が僕をチラリと見た。いや正確には多分睨んできた。コワ、なにこの少年怖いんだけど。姉は平気な顔で僕を少年に紹介した。弟だと聞いた少年は少しホッとしたようなそんな表情を見せた気がした。

 

その後怒涛の姉トークによって会話は終わり家路へと急ぐ。あの少年とはあまり関わるべきでは無いと思う。姉を何処かへ連れ去ってしまいそうなそんな気配を感じてしまうから。途中、また姉に声がかかる。姉は振り返らず立ち止まった。僕はそんな姉をさっさっと家に帰らすため早足で置いていく。姉は苗字を名乗らなかった。賢い。あれなら簡単に家はバレないだろう。

 

 

こっそりちゃんと姉が来ているか確かめるために後ろを見た。そしたら姉はよろよろと着いてきていた。ひと安心…でもその後ろでじっと此方を眺めている白い少年が怖かった。あの目を僕は知っている。何かを欲しがる目だ。

 

 

姉は数刻の間に一体何をしたんだろうか。

結局分からないままだった。

 

 

 

 

 

 

 

その後の話。姉は帰宅後ぶっ倒れた。結構重症だったみたいだ。さすがに僕も焦った。直ぐに緊急搬送された姉は翌日には目が覚めていた。わりと元気じゃんか!でも姉は何故か昨日のことを覚えていないみたいだった。念のため頭の検査をしていたが至って健康体との事だった。どうしてザリガニ釣りをしていたらそんな記憶が飛ぶ程の怪我をしてしまったのか、そしてあの白い少年は誰だったのか。何も分からないまま僕らはその町を引っ越すことになる。

 

 

やがてその記憶も僕の中から薄れていった。

 

 

 

 

 

 

 

【五条悟の思い出話】

 

 

 

───五条先生が探してる人って?

 

 

 

えー?僕とあの子の話?聞きたい?そんなに聞きたい?そこまで言うならしょうがないなぁ~!…いやいやいや!!ここまで来たら聞いて言って!無視するなよ。ほら、お土産あげるからさ。はい喜福餅。ほんとは僕一人で食べる予定だったんだけど特別にプレゼント!僕ってば優し~。

 

 

ちょっとちょっと~皆もっと僕を敬うべきじゃない?めちゃくちゃ頑張ってるんだよ?もっと尊敬してよ。は?尊敬に値しない?僕最強だし最高な教師じゃん!しかもGLGだよ。これを尊敬しないとか人生損してるね。

 

 

はいはい、それであの子の事ね。色んな意味で僕にとって特別な子なんだ。もうね、やることなすことめちゃくちゃでさ。すっげぇ馬鹿。何でそんなことするの?って事を物凄く真剣にやるからマジで意味分かんない。めちゃくちゃムカつくけどめちゃくちゃ楽しい子だよ。

 

え?貶してないよ。これ褒めてんの。

 

 

 

───その人とは何時出会ったの?

 

 

 

あの子との出会いね…僕が小さい頃に実戦経験として呪霊を祓いに行ってたら急に現れたんだよ。しかもあの子ったら、初手に呪霊目掛けてザリガニを投げ付けたんだよね。それもバケツいっぱいの数を…アレは控え目に言ってもイカれてた。当時の僕はその光景に唖然としてね。それはもう意味が分からなかったからさ。さながら僕の領域展開みたいな状態だったよ。マジで情報が完結しないの。そんで、僕が固まっていたらあの子が手を掴んできてね。その場から引っ張って行ったんだ。どうやら僕が呪霊に襲われていると勘違いしたみたいで助けようとしてくれたんだ。

 

 

ほんとそれ、はちゃめちゃだったよ。行動もそうだけど言動も意味不明で何コイツってずっと思ってた。今も思ってるしね。

 

 

色々とムカついたりしたけど僕はあの時、凄く嬉しかったんだと思う。僕って色々と特別だったからさ。当然呪術界隈の奴等は畏縮するし、非術師はこのGLGな僕の見た目に畏怖しちゃう。全く僕って罪な男だよね~。

 

…だからあんなにも対等に接して当然みたいな感じで余計な世話だとしても命を課してまで助けようと頑張っちゃってくれてさ。

 

 

 

───五条先生にとってその人は?

 

 

 

ん?あぁ…さっきも言ったけど、

僕にとってあの子は特別かな。

 

 

 

 

───…まだ見付からないの?

 

 

 

それがさっぱり!全然見付からなくてね。頑張って探してるんだけど不思議と見付からない。全く何処にいるんだか…。とは言え仕事の片手間に探してるからね。僕めちゃくちゃ忙しいし、そう簡単に見付かるわけ無い。

 

 

 

────見付けたらどうするの?

 

 

 

…考えたこと無かった。見付けたら、見付けたらそうだな。まずは自己紹介だね。僕あの子から下の名前でしか名乗られてない。しかも互いのことほぼ何も知らないしね!そしたら、一緒にスイーツ巡りでもしてさ~。

 

意外と普通だって?あはは、それもそうだね。でもきっと昔の僕はそれをしたかった。だからきっちりとやりたいんだよ。でもまぁ、その後はどうしようかな。大人の僕がしたいことか。

 

 

僕は…あー、やっぱ言わない!

これは内緒にしとこ。

 

 

まぁまぁ…ほら、任務行くよ。

 

 

 

 

 

 

【 ──の思い出話】

 

 

今思えばあの辺りで我輩は目が醒めた。我輩は今までずっと此処で眠っていた。だが、あやつのお陰で受肉することが出来た。その恩を返そうと思う。故に我輩はこの人間に飼われ続けることにした。あやつはこの人間のことが大事にしていた。だからあやつの代わりに我輩がこの人間を少しの間守ってやろうと思う。

 

 

これはただの恩返しだ。役目を終えたらまた己の本能がままに生きよう。そう思っていた。そう思っていたのだ。

 

 

 

人間とは酷く脆いものだった。少し側に居なかっただけで死んでしまう。なんと儚い生き物なのだろうか。我輩は昔に比べて力が格段に落ちていた。守れると傲っていたのだ。我輩は弱い。これでは恩返しが出来ない。

 

 

 

あの残った人間こそは守ろうか。それで帳消しとは行かないまでも少しは恩を返せるだろう。今度は側から離れないようにしなければ。でも、普段から守っていては我輩の力を削いでしまう。それに我輩は今力が全く無い。

 

ならば縛りを設けよう。あの人間に死の危機が迫った時、その瞬間まで我輩は眠りに就く。その時が来るまで我輩は力を溜めておこう。そしてあの人間を一度の死から守り抜く。

 

今度こそ守れたら、

我輩は此処から離れるのだ。

 

 

 

全く人間とは弱い生き物だ。だからこそ精一杯生きているのだろう。それは素晴らしいものなのかもしれない。我輩には分からないものだが、あやつは楽しそうに話していたからきっとそうなのだろう。

 

 

 

我輩の意識はゆっくりと眠りへと落ちていく。

 

 

 

 

次に目が醒めた時、我輩は茈の花を見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




意味深な話を突っ込んでおく。これらが今後どんな感じに物語へ食い込んでいくのか未知数である。本編とは少し逸れた話。でも本編に繋がる話でもある。何か水稀が凄く主人公してる。でも他の面子もきっと濃いキャラしてる。個性で殴り合っていく転生者たちの今後に期待。個人的にフレンズさんと呪霊コンビが強い。

ちなみに五条悟がどういう感情を持っているのかは定かではない。作者もよく分かってない。しかし、ひとつだけ言えるのはクソデカ感情を抱いていると言うことだけ。五条は一度、懐に入れた者にはめちゃくちゃ甘いよな…。

【挿絵表示】
※これは思い出語ってる図

あと最後の謎の存在は一応既に作中で名前が出ている。

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