1匹狼の幻想郷帰還   作:回忌

106 / 115
いつまでも

「…」

 

パラパラと、ページがめくれる

今カンデラの下で読んでいるのは本だ

彼女の俳句がよく分からなかったから、読んでみることにしたのだ

 

「…、……、…」

 

ぺらり

 

「…、………、…、……」

 

ぺらり、ぺらっ

 

「…、……………、………、…、…」

 

ぺらぺらぺら…

 

突っ伏す

思わず、口から変な言葉が出た

 

「…分からないよぉ…」

 

俳句はよく分からないものばかりだった

どれもこれも回りくどいクソみたいな言葉遊びばっかりだ

もう直球で言えよ、なんでこんなに回りくどい

 

クソ…

 

「…うううぅ」

 

口から呻く様な声が出た

こんなに悩んだのも久しぶりかもしれない

稽古で壁にぶち当たった時も、こんなのだった

 

…これも、戦いなの?

 

「…戦いだな」

 

そう、舞さんには恋する人が居たはず

野郎に盗られる前に僕が獲る

 

絶対に渡すものか

顔を上げ、ページにまた目を通した

 

「…よぉーし…勉強だぁ…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この後、本にまた突っ伏した

 

 

気分転換に外に出かけた

現在地は石の上、本を傍らに少し黄昏ていた

本当にちんぷんかんぷんだ

 

大人の方々はこれで何がしたいんだよ

まどろっこしいやり方だ、クタバレ

 

「あ、斬鬼じゃない」

 

「貴公、こんな所で何を?」

 

「…射命丸かよ」

 

声をかけてくれた変人が2人居た

振り向くと、鴉天狗の象徴である黒羽がよく見えた

片方は一見すればただの人間に見えた

 

「ジェーンドウもなんだよ、帰れよ」

 

「辛辣ですね、貴公は」

 

「斬鬼らしくないわね、何かあったの?」

 

僕は顔を背け、ぶっきらぼうに言う

 

「何も、無い」

 

「嘘ばっかり、どうせ舞の事でしょ」

 

一瞬、息が止まった

苦しいのを我慢して首を振る

 

「ん"ん"。な"ん"て"も"な"い"よ"」

 

「嘘つけ」

 

「我慢出来てないですよ貴公」

 

声がガラガラだった

かっーと声に出しながら、腰の水筒を呷る

 

水の冷たさで、痛みが引いていく

 

出来れば二度と出てくんなよ、クソッタレが

 

口元を袖で拭き、顔を向けない

 

「分かってるなら、来ないで」

 

「嫌よ、悩んでるんでしょ」

 

「貴公が悩んでいる姿を放っておけませんよ」

 

――そうか、そんなに邪魔をしたいか

僕は立ち上がると、刀を抜いた

その白銀の刃を射命丸に向けた

 

「黙って、帰れ」

 

「そう、強行かしら」

 

「帰る気はありませんよ」

 

僕は一瞬で飛びかかった

こんなうるさい奴ら、切り飛ばしてやる

 

 

「はーい染みますよー」

 

「…ぶー」

 

口を3にしながら痛みに耐える

くだらない事で射命丸とジェーンドウは切り傷が生まれた

現在お母さんから傷の消毒をしてもらってる

 

2人から痛い傷を貰った

 

鎌鼬、クナイ、小刀

 

もうなんか1人にやる数じゃないレベルのクナイだった

本当に恐ろしい数だった、恐怖無いけど

 

「はいチクッとしまちゅよー」

 

「…バカにしなっ…いで」

 

注射針が肌に突き刺さる

薬の効果で痛みを半減する

まぁ、気が楽になる程度か

 

そこまでいいやつじゃ無さそうだし

 

「あなたも大変そうねぇ」

 

「…むー」

 

「俳句の練習して、ふふふ、意中の娘から俳句でも言われたのかしら」

 

図星

本当にそのまんまだ

しってた、お母さんなら当ててくると思った

 

「…ぶー」

 

「あはは、そんなに怒らなくてもいいのに」

 

怒ってるよバリバリに

やっぱり人をおちょくるのが好きな人だ

ある意味舞さんに似てるかもしれない

 

「もう告っちゃえばいいじゃない」

 

「なんだっ※$@☞╬☜➫☆○△▽仝々wWTF!?!!!?」

 

この人なんつった

とてもじゃないが出来ないことを言ってきた

 

ちょっと頭おかしい

 

「舞ちゃん好きなんでしょ?尚更よ」

 

「ААА!!БЕРЧЩсддддьяΔΕц!ъΔΣζθτψλяΔΑсу!?」

 

月人の言葉が出てしまった

何で知ってるのお母さん、僕言った覚えないよ

なに?既に有名なの?

 

ぼくの有名なの?えぇ?

 

…でも、まぁ、やって、やって…

 

「ほら、これあげるから」

 

「何…はあああああああああああway!!??

 

母さんが渡してきたのは3個のゴム

 

"ゴム"

 

おい、何てことを

そこまでの仲を予測しなくていいから

 

というかどうしてそんなものを

 

「ほら、行ってきなさい、ね、駄目だったら慰めて上げるから」

 

母さんの目は本気だった

多分拒否したら無理やり行かされる、そんな目

 

故に、拒否権なんぞ無かった

 

 

…良し

 

目標地点に目標が居るぞ

ちゃんと約束通りあの岩に来てくれた

 

もし来なかったどうしてたか、危ない危ない

 

あの銀髪は確実に舞さんだ

彼女の頭の上に綺麗な満月が見えた

 

僕は彼女に近づいて行く

 

「ま、待った?」

 

「いいえ、今来たところよ」

 

彼女はくるりと回転してこちらを見た

吸い込まれるような赤い瞳、それが最初に見えた

何かに興奮しているのか顔は少し赤かった

 

「その、言いたいことがあって…」

 

「なぁに?」

 

すぅ――と息を吸い込む

心拍数は最大

 

これが駄目だったら、腹を切る

 

緊張

 

絶対に失敗出来ない

嫌われたくない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「好き…です、付き合ってくれませんか…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その言葉に彼女は笑顔で

 

僕に

 

死刑宣告を

 

「ごめんなさい、先約があるの」

 

なにもかもが、止まった

風が、木を揺らす音が響く

 

終わった

 

さぁぁと手が砂になった気がした

 

「誰…」

 

か細い、力の無い声

自分の口から漏れたとは思えない声

 

もはや、死人のような声に、彼女は答える

 

「とても不器用で、好きなのを伝えるのが不器用な人

 私の気持ちに気づけない、鈍感さん」

 

「誰――」

 

僕はまた、呟いた

そんな抽象的なこたえじゃない

 

僕が欲しいのは、名前

 

ソイツの、名前は

 

彼女はふっと笑う

 

次の瞬間には、僕は組み伏せられていた

 

「え」

 

「君のことよ、鈍感さん」

 

唇が塞がれた

グチュリと口内が蹂躙される感覚

全てを吸い取り、舐める

 

「…ぷふ…はぁぁ…」

 

「はぁ…はぁ…」

 

ようやく離れた時、とても妖艶な顔をしていた

うれしそうで、たのしそうで、幸せそう

 

「ふふふ、私の気持ち、理解してくれた?」

 

「いいの?」

 

何故か、心が救われた気持ちだった

暖かい何かが、心に満たされる

 

「結婚を前提に、まぁ君に拒否権はないわよぉ?」

 

彼女の笑みが深まった

下着が、"落ちた"

 

「え」

 

「満月の夜は、獣性が強くなっちゃうの…

 結婚するから、別に良いわよね」

 

「あの」

 

「それじゃ…頂きまぁーす」

 

拒否権なぞ無い

女はそんな物だと認識させられた夜で

 

自分が1番幸せだった夜だった

 

 




斬鬼がヤンデレしてる?

さ、さぁ…(成り行きとか言えない)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。