「結界が五重も張られてやがる…」
階段に貼られた魔法陣を除けながら斬鬼は進む
進むのに比例するように震えが大きくなっていく
いや…これは恐怖じゃない
歓喜だ
久しぶりに強者と渡り合える、喜び
斬鬼は首を振る
それは抑えなければならない感情だ
懐からジアゼパムを取り出し、飲む
震えていた筋肉が収まっていく
「さて…」
降り立ったそこは廊下のようになっていた
その奥は行き止まりのようだ、両脇にドアが適度にある
斬鬼は禍々しい波動を感じる扉の前に立った
ドアノブに手を掛ける、鍵はかかっていなかった
斬鬼はノックをして、扉を開けた
〇
私は今の今まで暇だった
この能力を使いこなせないから、自分の意思でここに居た
時たま咲夜が食料を供給してくれる
「咲夜、外の世界はどうなっているの?」
「そうですね…騒がしい、世界でしょうか」
「騒がしい?」
「魔法使いとか、巫女とかが異変を解決する、世界です」
「魔法使いって魔理沙?」
「そうですね」
「外って面白そう!…でも」
私はここから出れない…出たくない
出て、何もかも壊してしまうなら、出ない方がいい
自分はここに居て、静かにするしかない
咲夜達の話が面白いから、まだ我慢していられるけど…
「ん」
コンコン、とノックの音がした
もしかして咲夜だろうか
「よぉ」
入ってきたのは妖怪だった
多分、獣の動物、尻尾生えているし
「貴方は誰?」
「俺か?お前の遊び相手にされた哀れな妖怪さ」
「そう…」
お姉様が送ってきたのだろうか?
確かに妖怪なら、壊れにくい
「俺はな?おままごとは苦手なサガでね」
「ふーん?」
確かに、見るだけでもおままごとは苦手そうだ
横の人魂も頷いている
「何しに来たの?」
「さっきも言ったと思うが、遊べと言われているんでな」
そう、遊べって言われているんだね
だったら早く終わらせよう、ネ?
私は右手を彼に向けて伸ばす
「万物には目があってね?潰すと死んじゃうの」
「はぁ」
「キュッとして…」
「おっとこれはまず…」
ドカーン
彼を中心に爆煙が上がる
「また、壊れちゃった」
脆い
皆、脆い
「余裕ぶっていたのが仇になったね」
「そうか?アレに比べればマシな攻撃だな」
「…へぇ」
爆煙の中から彼が出てきた、無傷で
そういえば、まだ名前を聞いてなかったね
「私の事は聞いているでしょ?お兄さんの名前を聞きたいな」
「紅白斬鬼、深くは聞いていないさ」
そういうと斬鬼は長刀を抜き、腹に刺す
刺した場所から血が地面に垂れる
数秒後、斬鬼は長刀を引き抜く
「ぐ…ふぅ」
「へぇ、そんなことも出来るんだ」
「これくらいできて当たり前さ」
今のハラキリで、目を消したようだ
「楽しめそう?」
「楽しませてやるさ」
斬鬼は短刀も抜く
彼は戦う準備が出来たようだ
「さぁ、始めよう、君とってこれは遊びに過ぎないのだろう?」
「真剣勝負に持って行けるまで耐えられる?」
〇
「…始まったわね」
下から聞こえる爆発音
魔女、パチュリー・ノーレッジはそう呟いた
「これで良かったのかしら?レミィ」
「良いのよパチェ、これで」
本当なら自分達でどうにかしたかった
でも、出来なかったから彼に頼んだのだ
「後は彼次第、ね」
〇
「遅い遅い!」
「じゃあもっと早くしようか?」
斬鬼の刀はフランには全く当たっていなかった
上、下と続けざまに斬撃を加えていく
ちなみに今いるのは広い…どこかの部屋だ
先程のボカーンで穴が空いたのでそこからここに来た
「はやーい!」
「楽しそうだな、精神年齢は成長していないってところか」
「あははははは!」
狂ったように笑うフラン
その狂いは、彼女とは全く違う狂いだ
「お前を見ていると彼女を思い出す」
「誰?誰なの?」
「さぁ?誰だろうな?それにもう死んでいるしな」
「それじゃあそいつの元に送ってあげる!」
「はっ死人はもう十分だ…援護してくれ」
人魂はそれに頷く、赤白い人魂から赤い弾幕が展開される
フランはそれに少し驚いたようだ
「へぇ!人魂に指示が出来るんだ!」
「彼女だけ、だ」
「ふーん…結構戦い慣れている弾幕だね」
確かにその弾幕は斬鬼を援護するように的確に放たれている
フランを確実に妨害し、斬鬼を援護する弾幕だ
「それに目も無いし、厄介だね」
「それはお互い様だろう?」
「そうだねっ、ふふふふ」
ニヤリと笑みを浮かべる2人
思考回路が少し似ているようだ
「さて、詰めるか」
「っ!」
距離を詰めて刀を振る
「禁忌・レーヴァテイン!」
「くっ」
流石に接近しすぎたのか、フランはスペルカードを発動する
手には燃える大剣がいつの間にか握られていた
「燃え尽きちゃっても知らないよ〜?アハハハハ!」
「危ない野郎だな」
大剣がグルグルと回される
その軌跡に赤い弾幕が生成される
ほぼ見えない速度で回されているため大量の弾幕が生成されている
だが…
「はっ!お前の力はそんな物か!」
「ぎっ」
右手の長刀で大剣をパリィすると、フランの腹を蹴る
壁にぶつかることも無く彼女は空中で止まる
「あはっあははははは!」
「へへっ、マジかよ」
少し引いた
思っていたより狂気に侵されている
ささっと術をかけた方が良さそうだ
「波動を変換して…」
「あはっそんなことしてないで遊ぼうよ!」
「く、この!ついてくるな!」
斬鬼は空中を移動する
それを追いかけるようにフランが移動する
「…よしっ後はこれを…ぐぇっ」
「あはははははっ!」
狂気を封印する波動で札を生成すた隙に殴られる
「隙ありっ」
「お前さんもだ!」
フランの素肌が見えるほどボロボロになった服…
その胸に空いた穴から見える肌に札を貼り付ける
「こんなもの!無駄だ…よ…?」
フランは愕然とした…なぜなら
「そうですか?なら"効果を高めて"あげましょう」
斬鬼と同じ種族の女が居たからだ
その横に、"青白い光"を放つ人魂が居た
瞬間フランから力が抜けていく
フランは地面にへたりこんで、質問する
「貴方は…誰?」
「私?私ですか…」
「私は紅白舞、紅白斬鬼の妻…ですかね」
ちなみにオリキャラの女性は舞以外居ません