1匹狼の幻想郷帰還   作:回忌

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「切れぬものなどあんまり無い」サムライゴーストガール


抜刀術

わらわらと集まった妖怪達が机の前に座り、飯を食う

妖怪を恐れない人間がそれに混じって酒を交わす

 

「…」

 

「これが幻想郷よ、斬鬼」

 

「はは…あの幻想郷と同じ場所とは思えないな」

 

紫の言葉が頭に響く

あの時の幻想郷と同じとは全く思えない、これは夢か?

 

「へへ…お前らしく無いな、紫」

 

「私達の夢だったでしょう?」

 

「あぁ、それが実現しているような物だからな」

 

神社の縁側でその景色を見ていた

自然と酒が進む

 

「あー斬鬼、ちょっと悪いが挨拶をしてくれないか」

 

「悪いな魔理沙、忘れかけていた」

 

斬鬼は立ち上がるとそちらに向かう

魔理沙が大きく声を上げる

 

「おーい!お前ら!最近幻想入りした有名人からの挨拶だ!」

 

その言葉だけで、ほぼ全員が魔理沙の方を向く

そしてその横から斬鬼は姿を現す

 

 

 

 

「よぅ、最近幻想郷に帰ってきた紅白斬鬼だ、これからよろしくな」

 

よろしくぅー!などの声が彼らから聞こえる

レミリアや他の古馴染みの姿も見える

斬鬼の横で人魂がふわりと一回転する

 

「さて!御託はここまで、誰かの金で飲むぞ!」

 

「酒代は私が出してるのよ!感謝しなさい!」

 

霊夢の叫び声はここにいる人妖の笑いを誘った―

 

 

 

こうやって酒を飲むのはいつぶりだろうか

斬鬼はツマミを口に放り込みながらそうおもった

思えば、幻想郷で最後の宴会をしてからそういう事をした覚えは無い

全て舞と2人きりの食事だった

と、思っていると目の前が真っ暗になった

 

「さて、誰でしょう」

 

「…お前は変わらないな」

 

ほのかにする桜の香り

氷の如く冷たい手

 

該当する人物は1人だけだ

 

「西行寺幽々子、白玉楼の主」

 

「正解、貴方は変わったものねぇ」

 

幽々子は人魂に顔を向ける

振り返れば美人

ナイトキャップを被ったピンク髪の女

服装がふわふわしていれば性格と口もふわふわしている

紫の服を青にした…感じ?

その横にはいつぞやのボブカットサムライゴーストガールも居る

 

「えーと、久しぶり、です?」

 

「たった数日くらいでお久しぶりか?」

 

「他になんと言えば良いか分からなかったので…」

 

「馬鹿真面目なのは妖忌から変わらないらしいな」

 

「私は魂魄妖夢、妖忌の娘です」

 

「妖夢ねぇ…いい名前を着けるな、アイツ」

 

「おじいちゃんが、何処にいるか知っているのですか?」

 

斬鬼は少し考える素振りを見せた後答える

 

「知っていて教えると思うか?」

 

「え…」

 

「桜はいつしか散る、それは誰にでも言えるんだよ」

 

斬鬼は少し顔を下に向ける

 

「春が必ず来るように、死は誰にでも来る」

 

「…まさか」

 

「お前が探し出した時、"そうなっていたら"悲しくなるだろう?」

 

「そう、ですね」

 

妖夢は返答が思いつかず、そう答える

 

「あらあら、私の妖夢をイジメないでくださいな」

 

「これは失礼…だが、これだけは言っておこう」

 

「…何でしょうか」

 

斬鬼は一呼吸置いた後、言う

 

 

 

 

 

 

 

「アイツは…約束を守る男だ」

 

「じゃあ…1つ、頼みたい事があるのですが」

 

斬鬼は耳を傾けた

 

「私と刀の手合わせをして頂けないでしょうか?」

 

斬鬼の腰にある二振りの刀を指差しながら

 

 

 

 

 

 

「斬鬼と妖夢が戦うってよ!皆!」

 

魔理沙が大きく声を上げる

 

「神社を壊さないくらいにしなさいよー」

 

霊夢は他人事のように言う

 

境内の真ん中では2人の男女が向き合っていた

男の名前は紅白斬鬼、横には人魂がふわりと浮いている

女の名前は魂魄妖夢、半霊同じくふわりと浮いている

 

周りの人妖が酒のツマミとしてそれを観戦していた

 

「さて、もう一度言うぞ」

 

「はい」

 

斬鬼は柄に手を伸ばす

 

「俺はハンデとして抜刀術…一振だけの抜刀術だけ使う」

 

「私は本気で来い、と」

 

「これに勝たないと妖忌を越えられないからな」

 

妖夢は二振りの刀を構える

楼観剣と白楼剣という名刀だ

スっとこの場に殺気が入り込み、気付かぬ内に全てを覆う

 

聞こえるのはシャッと斬鬼がジッポーを点火し、葉巻に火を付けた音

そして、その数秒後に聞こえたのは息を吐く声だった

 

「…っ!」

 

妖夢を大きく懐に入り込む

そして斬鬼の体を二振りの刀で切り裂こうと…

 

「はっ!?」

 

その時気づいた、斬鬼の様子の変化に

周りの時間が遅く感じる

妖夢自身の動きも、遅い

そんな妖夢を置いて斬鬼は柄に両手を伸ばす

 

(早いっ!?)

 

気づいた時には妖夢は地に伏していた

 

「ふがっ!?」

 

脳がようやく反応したのか息を全て吐き出す

何が起こったのかハッキリ分からなかった

理解出来たのは…

 

「負け…た?」

 

「どうした?疲れているのか?」

 

斬鬼は葉巻を吸っていた

先程の殺気はいつの間にか全て消えていた

だが、場の雰囲気は凍りついたままだった

 

「腕は落ちていないのねー」

 

幽々子が茶化す様に笑いながら言う

霊夢と魔理沙は少し危機感を抱いた

 

「なぁ、霊夢」

 

「何よ」

 

「今の見えたか?」

 

「…全く」

 

「私もだぜ…」

 

勝てる気がしない

伝説に相応しい強さを持った男だ、いや妖怪だ

 

「…そうだ!」

 

魔理沙は何かを思いついたらしい

そして葉巻の煙を吐き出した斬鬼にこう言った

 

 

 

 

 

 

 

 

「弾幕ごっこしようぜ!」

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