斬鬼は人魂を自由にさせると此処が何処かを確認する為、近くにある高い木を登ろうとする
木には蔦が絡まり、成長している
ツタを軽く引っ張る
ちぎれない
この強度なら、恐らく登れるはずだ
絡まるツタに手を掛けて、よじ登る
木の表面には蟻が歩き回り、一種の巣だと思わせる
かなり木は長く、何分か登るとわかれ技に足を乗せる。
そして、そこから辺りを見渡す
この木はそこらの木より格段に高いもののようで、景色がよく見えた
見ればそこは現代では見られない幻想だった。
現代社会にも幻想的な景色はある
だが、此処は本当の幻想である
星々が光る空は青い暗闇にあり、雲ひとつも無い
斬鬼はその景色に里が見えたの確認する
用は無くなったので、木から飛び降りる。
グシャンという音がして斬鬼は着地する
何か、踏んだのだろうか?
まあいいか
斬鬼は特に気にせず前を見る
妖怪なら簡単に降りれる高度であり、骨折することもない
斬鬼は里がかなり遠い事を恨む
恐らく、今日は野宿することになるだろう
ザクザクと葉を踏みながら歩を進める。
すると斬鬼はある事に気づいた
先程から空が暗くなっている様な…
「ちっ、そういうことか」
斬鬼は上を見上げると、横に滑るよう飛んだ
すると先程まで斬鬼が居た地点に黒い塊が落ちる
ぐちゃぐちゃと、"何か"を食らう音がした
それがパチンと弾けると、中から金髪の幼女が現れる
「美味しかったー、何か土の味がしたけど、久しぶりの肉だー」
やけに間の伸びた声をしながら言う
口元には血が大量に付いていて、黒い服も同じくだった
ちらりと気の根元を見ると、そこに力尽きた男の死体が見えた
だが、最早手と腕程度が見える程ぐちゃぐちゃに食われている
斬鬼は妖気を込めて言う
少しの威圧も込めて
「美味かったのならさっさと去れ、妖怪」
それにその妖怪はまた間の抜けた返事で
「はーい」といいながら闇に消えた
にしても、変な奴だった
何処かで見たような既視感もあった
斬鬼は空を見上げた。
かなり綺麗な星空である
もう外で見ることは出来ないのだろうか?
…というか
「野宿を久しぶりにするしか無いな」
こんな暗闇の中
斬鬼は溜息をつくと歩きだす。
広場の様な所があるまで歩く。
すると途中でガサリという音がして、猪が現れる
「おお、美味しそうだ。」
野生の猪を見て美味そうだと言うのは少し頭がおかしい気がする
斬鬼は1歩踏み出すと、猪に拳を入れた。
かなりの距離があったのに
人間で言うならパンチなぞ届く筈の無い位置だ
いきなり拳を喰らった猪は殴られた事を認識出来なかった
意識と生命は直ぐに止まり、地面に倒れた。
斬鬼は腰から刀を引き抜くと、猪を捌く
――ジャキッ、ズバッ、ザクッ
金属が肉を裂く音が周りに響く。
一通り捌き終わると斬鬼は猪の皮を地面に
敷いて、その上に肉を置いた
「さて、木を探すか。」
斬鬼は木下等に落ちている枯れ木を拾い、重ねる。
斬鬼は仕上げと言わんばかりに刀で木を斬る
その木を重ねた枯れ木の近くに倒すと椅子の代わりにする
少し高さがあるが、無いよりいいだろう
斬鬼は妖術で枯れ木に火をつけると猪の肉に木の棒を刺して焚べる
肉の焼けるいい匂いがする
――ヒュオォ…
「それにしても寒い」
冷たい風が肌をなぶった
確か紫は今の幻想郷は春だと言っていた
しかし、どう考えてもこれは冬の寒さである。
そういえば、紫は幻想郷では時折こんな事があると
言っていたような気がする
「…会ったら聞かなきゃいけんな、これは」
そう呟くと、いい感じに焼けた肉を手に取り食べる
猪だからか少し硬いが、それでも美味しい。
焼肉を全て食べ終えると、斬鬼は地面に敷いている猪の皮を毛が見えるように裏返す
そして、そこに横になって目を瞑る
暖かくは無かったが、火が近くにあるおかげでマシだった
眠気が斬鬼を誘う