1匹狼の幻想郷帰還   作:回忌

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「なぁ、お前さんは何処で狂ったんだ?」隻眼天狗


片付けるまでが宴会

「頭が痛い…」

 

「そりゃあの時酒をがぶ飲みしていたからな」

 

「斬鬼…」

 

斬鬼は仰向けになった霊夢に手を伸ばす

霊夢はその手を握り、立ち上がる

 

「昨日のお前さんらは傑作だったぜ?」

 

「アンタそれ振りまいたら退治するわよ」

 

「おお、怖い怖い」

 

斬鬼は手を振ると机に向かった

 

「んん…」

 

「魔理沙、朝よ」

 

「あーよく寝た」

 

「片付けをしなさいよ」

 

「へっ!やなこった!じゃあな!」

 

そういうと魔理沙は箒に跨り、翔ぶ

そのまま彗星の如く自宅へ向かう…

 

「お、いい的があるじゃないか」

 

斬鬼はそれを見て何かを閃いた様だ

そして魔理沙に向けて刀を抜き、指す

 

「斬符・波光斬撃」

 

三回刀を振る

そこからエネルギー波が飛んで行き魔理沙を襲う

 

「な!なんだあれ…いがががが!」

 

軌道上に青い弾幕が生まれ、波よりも早い速度で向かう

それが大量の密度で生成されるので避けられなかった

魔理沙はボロボロになって家に落ちていった

 

「…」

 

「ふぅ、試験運転には丁度良かった」

 

「弾幕はやらなかったのじゃなかったのかしら?」

 

紫が質問した

 

「一応な、人間とかやりあう時とかな」

 

「面倒事は止めてよね」

 

霊夢は面倒臭そうにそういった

斬鬼は笑いながら言った

 

「はははっ、善処するよ」

 

「全く…それじゃ片付けくらい手伝いなさい」

 

「分かった、机は一点にまとめておこう」

 

そういうと斬鬼は机の上の皿を持った

 

「皿とかはお前さんの備品か?」

 

「そうよ、台所に置いといて欲しいわ」

 

「了解」

 

斬鬼は博麗神社に入って行った

 

「ねぇ、紫」

 

「何かしら、あ!もしかして私が可愛i」

 

パァンと鳴る快音

それは霊夢が紫をビンタした音以外他ならなかった

 

「痛い…」

 

「次余計な事を言ったら口を縫い合わすわ」

 

「怖…それで、何かしら」

 

「斬鬼の事だけど、アンタと斬鬼は何時会ったのよ」

 

「慣れ始めかしら?」

 

「どっちでもいいわ」

 

霊夢は縁側に腰を下ろす

紫も横に腰を下ろした

机を重ねていく斬鬼見ていきながら紫は口を開いた

 

 

 

 

斬鬼と初めて会った時の事を

 

 

 

 

 

そして…別れたあの日の事を

 

 

 

 

紫が斬鬼と初めて会ったのはかなり後の事だった

それは彼が山から降りた後の時だった

彼が山を降りても伝説は耐える事なくむしろ大きくなった

 

…全て鬼が情報源の様な物なので分からないが

 

ともかく紫は会いたかった

それは彼がいた頃の天狗達は人間と共存していたと言うからだ

それを実現したのは彼とその妻の舞

舞に会っては見たが彼女曰く「発案したのは夫です」と言った

 

だから、彼に会いたい

 

彼と会って、話を…したい

 

 

 

 

 

 

 

そして…見つけた

 

あれから何日も何ヶ月も探して、ようやく見つけた

崖に立って人里を見下ろす影

 

風にたなびく銀の髪

 

陽の光を浴び、銀に光る尻尾と獣耳

 

腰に提げた紅白の名刀が"一つ"ある

 

その後ろ姿は私が探していた人だった

 

私は彼に声を掛けた

 

「…もし」

 

「何用だ」

 

彼は振り返った

その顔には何の表情もなかった

 

「っ…いえ、少し用がありまして」

 

「手短に、俺の事は知っているだろう?八雲紫」

 

それに驚きながら私は言葉を繋げた

 

「…夢があります」

 

「手短に、と言っただろ」

 

「…人間と妖怪が共存する世界を作りたい」

 

ピクリと彼の口端が動いた

やっぱり、彼が発案したようだ

 

「だから、なんだ」

 

「貴方がそれを実現した、というのは有名ですから…」

 

「協力しろ、と?」

 

「…そういう事になりますね」

 

はぁ、と溜息を斬鬼はついた

 

「確かに天狗が庇護する形で共存していた」

 

「それなら」

 

「だがな、それは生贄を捧げるという条件付きさ」

 

「それはっ」

 

「老害のお陰でな、で、お前に問う」

 

「…何でしょうか」

 

斬鬼は無表情を崩し、少し辛そうな顔で言った

 

 

 

 

 

 

 

───お前に作れるか?"本当"の共存を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…やってみせましょう」

 

「いい返事だ」

 

彼はこちらに近づいてくる

そして、手を差し出してきた

 

「俺は隻眼天狗の紅白斬鬼、よろしく頼む」

 

「私はスキマ妖怪の八雲紫、こちらこそ」

 

その手を離さないようにがっちりと握った

 

 

 

 

 

 

 

「最近鬼が山から降りたって聞いたんでな、山は任せろ」

 

「あら、積極的なのですね」

 

「お前を見ていると昔の俺を思い出すんでな」

 

少し懐かしそうにそう言った

 

「気分を害しましたか?」

 

「いや?逆に燃えるね」

 

彼は久しぶりに笑顔を作る

 

それが永遠に続けば良いと、思った

 

それは続かなかったのだけど…

 

 

 

「…どうして、彼は外に行ったの?」

 

「それは…最後だけ伝える事にしましょう」

 

紫は少し言い淀んでそう言った

その歯切れの悪さに霊夢は訝しんだ

 

「何が合ったのよ、説明しなさい」

 

「…今は、まだ」

 

「紫?」

 

その寂しそうな顔を、霊夢は見たことがなかった

紫は直ぐにそれをいつものに直した

 

「…大丈夫、心配ないわ」

 

「続きを、お願い」

 

 

 

 

 

 

 

「俺は、また逃げてしまうのか」

 

斬鬼は自宅の墓に手を添える

また、逃げるのか

 

「斬鬼」

 

「紫」

 

斬鬼は振り返った

紫が立ち尽くしていた

傘でその表情は見えない

 

「貴方、泣いてるわよ」

 

「なぁ、紫」

 

斬鬼は黒刀を握りしめる

刀を抜き、刃を見つめる

 

「俺は…俺は、どうすれば…良かったんだっ…!」

 

その刃にポタリと水滴が落ちる

それには後悔と懺悔の色が混じっていた

 

「…お前と会うのは、もう」

 

「斬鬼、それ以上は言わないで」

 

「それでも…っ!」

 

キッと斬鬼を睨みつけ、首に傘を当てる

 

「それ以上言ったら、もう抑えられなくなるから…!」

 

頬が冷たい

斬鬼と同じように紫は泣いていた

 

「…さらばだ、紫」

 

「また、会いましょう…いえ、違うわ」

 

紫は強いケツイを漲らせた顔で、叫ぶ

 

 

 

 

 

 

─────絶対、振り向かせるから

 

 

 

 

 

彼はへっと笑った

 

「やってみせろ、俺も…」

 

 

 

 

 

 

「…紫」

 

「私はアレを止めれなかった」

 

紫の口は止まらない

 

「アレを倒した…殺すしか方法がなかったから」

 

「アレって何よ!何の事なのよ!」

 

霊夢の叫びに今起きた幽々子や文の視線が集中する

 

「いつしかそれは来る、貴方は絶対に勝てないわ」

 

そう言うと紫はスキマに消えた

 

「霊夢」

 

斬鬼が直ぐ後ろに居た

その声は自然に体が震えるほど無機質だった

 

「斬鬼…アンタは、アンタは教えてくれるの…?」

 

彼は表情を変えずに言った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前には分からない」

 

そう言うと彼は踵を返し、どこかに消えていった

 

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