夢、それは己の経験した出来事や現実ではありえない事が出来る物である
空を飛べる、魔法を使える
もしくは大金で豪遊する、宝くじが当たる…
目覚めた後の気持ちは筆舌に尽くし難い物だが、それは無意識に心が思っていることでもある
故に、過去の記憶が夢で再生されたりもするのだ
だからこそ、斬鬼はそれを見てすぐに夢だと思った。
ありえないのだ。
ありえるはずがない
自分達は食卓を囲んでいる
右には愛した己の伴侶。
笑顔で楽しそうで…
今は美味しそうに料理を食べている。
それだけなら経験した出来事だ。
しかし、斬鬼はこれはありえない事だと分かる。
なぜなら
己の左側に
愛した娘が居たから――
「っあ!」
斬鬼は目覚めた。
「…俺は」
――まだ、あの時に戻れると思っているのか
そう言おうとして、止めた。
言っても仕方ないのだ。
そう自分を納得させると斬鬼は人魂をトントンと叩いて起こしてやる。
人魂は起き上がって飛ぶと、斬鬼の周りをクルクルと回る。
斬鬼は昨日見えた人里へと歩を進めようとする
が、その前にやることがあるでしょと言わんばかりに人魂が袖をグイグイと引っ張る。
斬鬼が人魂に目を移すと人魂は焚き木に向かった。
…つまり後始末しろということか。
面倒だ、これでいい
斬鬼は猪の川を丸太に掛けて、人里に向かう
それに人魂は溜息をつくような動作をして
斬鬼について行く。
斬鬼はひたすら歩を進めて行った。
それに、春も来たようだ。
――
斬鬼は今人里の中に居る。
人に成る妖術を使おうと考えたがどうやら妖怪welcomeらしい。
やはり、全てを受け入れる幻想郷と言うべきか
人と妖が共存しあう、郷なのか
…害を成さなければのようだが
大量にワイワイやっている人間達の中にちらほら妖怪の姿も見える。
とはいえよく見ないと妖怪と分からない物だ
そんなに目立ちたくは無いらしい
…紫は共存すると言っていたが、まだまだのようだ。
いろいろと面白そうな商品がある
どれも興味をそそられるものばかりだ
が、今は所持金ゼロなので買うに買えない
斬鬼は溜息をつく
「…やはり帰るしかないのか」
紫の奴ワザと金を渡さなかったな、と思った
やはり野郎は嫌で胡散臭くてクソッタレだ
ギリギリと目を瞑りながら歩いていると…
ふと、誰かとぶつかる
「いてっ」
「わっ」
斬鬼はぶつかった人物に目をやった。
最初に見えたのは、長い刀と短い刀
その2つは、記憶にあるもので
「…妖忌」
「え?」
どちらかというと刀の方へ目が行ったのだが
どうやら呟きを聞かれたらしい。
…コイツがアイツの娘ならかなり面倒だ。
アイツ自体が融通が効かない頑固ヤローなのだ
斬鬼は「それじゃ」と言うと歩き――
「待ってください。叔父を知ってるのですか?」
…やったわこれ完璧にやらかしたわ。
迂闊すぎるぞ、紅白迂闊
斬鬼は阿呆な自分に目眩がしたがまだ勝機はある(?)
斬鬼は「知らない」と言うと今度こそ歩き――
「待ってください、叔父を知ってるのですか?」
お前はゲームのNPCかよ!と斬鬼は叫びそうになる
だがその前に何とか口に出すことを抑える
斬鬼はコイツどうしよう、と思った
そして要らない所も引き継いでいるとも思った。
蛙の子は蛙か、畜生そんなの継ぐなやコラ
斬鬼は自分の名前を言うこともせず、颯爽と走り去った。
…後ろから「叔父を知っているのですかー!?」と
叫ぶ声が聞こえたのは気のせいだろう。
次の目的地はとうの昔に決まっている
斬鬼は里から出ると、己の生まれ…
つまり、妖怪の山へと向かった
――
「本当にモヤモヤする…」
冥界の屋敷、白玉楼の庭師兼剣術指南の
魂魄妖夢は悩んでいた。
先日博麗の巫女にボコボコにされ、ただでさえ
気分が悪いのに主人から言われたのが
「おうどん食べたいわー」
…である。
ハッキリ言ってふざけんなーであるが言える訳もなく
というか言ったらクビ確定なのは当たり前なので…
仕方なく食料の補給も兼ねて行ったのだが
そこで気になる人を見つけた…というかぶつかったのだ。
人魂を連れている白狼天狗
最初はおかしな人だと思ったが…
彼が「妖忌?」と呟いた為に気になったのだ。
自分でもおかしな口調だなと思ったが、それ以上に
相手はおかしいと思ったようだ。
…ダッシュで逃げられてしまった
溜息をつきながら妖夢はお菓子を主人と主人の友人のいる場所へたどり着いた。
妖夢は机の上に菓子を置くと溜息をつく。
「あら、溜息をつくと幸福が逃げるわよ?」
と、主人の声がかかる。
おっと…どうやら無意識のうちにため息が出てしまった…
私は顔を上げ主人の姿を見る
ピンク髪のミディアムヘアーに水色と白を基調としたフリフリっぽいロリィタ風の着物にZUN帽といういでたち。
帽子の三角の形をした布が何となく幽霊を想起してしまう。
靴は青いリボンの着いたパンプス。
…服装はあれだがこれでも能力はヤバいものだ
死を操る能力、絶対的な死を与える程度の能力
その能力によって死んだものは幽々子様の傀儡と成り果てる
意識はあるものの、その意識は幽々子様によって自由に変わる
彼女の気分次第で彼女がコロコロ変わるかもしれない
その事に傀儡となった者は気付かず、幽々子様に尽くすのだ
この世界が終わるか、幽々子様が成仏するまで
「なんでもありません」
「気になる殿方でも?」
「な…!」
「一瞬で顔が赤くなったわね。ほら言いなさい」
「うー…」
そういうと今度は友人である紫が口を挟む。
その言葉に赤面する妖夢。
黙秘を続けようとしたが、幽々子と紫の視線がこちらをずっと見ている。
私はこういうのは得意じゃない…という顔をする
が、紫は早くいえと言わんばかりに見つめてくる
まるで告白するかのように
「実は…その、気になる人がいまして…」
それにニヤけた顔で「あらあら」という。
「性的じゃありませんよ!」と付け加えて続ける
「人魂を連れている白狼天狗なんですけど」
「…へぇ」
その瞬間紫と幽々子の顔が変わった。
そして小声で何か言っている。途中から聞こえる
「本当に呼んだの?」からして恐らく紫が誰かを呼び寄せたのだろう。
二人の友人なら、どれだけ古い人なのか
幽々子と紫はこちらに向くと理由を聞いてくる。
「妖忌の名前を呟いていて…」
「彼は買い物をしていたかしら?」
「いいえ?持ち物はありませんでした。」
妖夢がそう言うと、紫が筆舌に尽くし難い笑顔を
した後大笑いし始めた。
どうやら、何かが上手くいったらしいくて…
「えぇ…?幽々子様、どういう事でしょうかこれ」
すると、幽々子は可哀想な物を見る目で紫を見た後
扇子で口を隠してこう言う
「実家に帰りたくないのに、お金がなかったら貴方はどうするのかしら?」
妖夢は全てを察した。
――
「紫ぃぃ…ゆぅぅぅかぁぁぁりぃぃぃい…」
まるで怨念の様な声を出しながら山道を歩く歩く
本当なら人里で宿を見つけ(見つけた)1晩は楽に過ごせていたのだ。
が、金が無いおかげでこれだ。
どうせ妖怪の山に行かせようとする為に金を渡さなかったのだろう
というか何で金を持ってこなかった俺
斬鬼はブツブツ呟きながら歩く。
不意に視界が開ける。
見ると、そこから先が無くなっているのだ。
「崖か…飛ぶしかないか。」
斬鬼は浮遊すると、一気に目指す。
天狗の里目指して。
かつての故郷を目指して
斬鬼は木の後ろに着地して、自然な感じに人混みに紛れる。
ここも人里のように賑わっているが、少し違う
ここに住むものは空を大体飛べる
その為店が崖に埋め込まれているのもある。
そして、一番斬鬼が疑問に思ったのが、
「…人間が居ない。」
そう、人間が居ないのだ。
斬鬼は人間と妖怪の共存を祈る妖怪だ
だから、人間と交流出来るように老害を
ぶちのめ…説得して入れるようにしたのだ。
斬鬼は考えた。恐らく自分が居なくなった
瞬間に老害が…
とはいえ、単純な時代の流れもあるかもしれない
斬鬼はそう思い、店を見て回る。
酒が並ぶ酒屋に山菜がある店
食事処とある場所も存在しているようだ。
斬鬼は里の中心にたどり着いた。
「…いや違う」
斬鬼は呟いていた。
何故か、自分にも分からない。
だから、ここから帰る事にした、ふらりと家に帰ろうとした。
「貴方、何処の所属ですか?」
が、上手くいかん、人生こんなもん
斬鬼は振り返るとその女性の白狼天狗に驚きを隠して
「所属…ですか?その前にあなたは?」
若干芝居がかっているがまぁいい。
というか、所属、か
この見た目ならその辺の一般兵士とかでもいい気がする
名前を聞かれ、彼女はそれに答える答える
「私の名前は犬走椛です」
斬鬼は「椛さん…ですか」という
「それで?何処の所属ですか?」
偽装というのは意外と上手くいくものだ。
と、自分に言い聞かせる。
「最近配属されたばかりなので分からないです。」
「つまり新入りですか。」
言い方に少し苛立ちそうになる。
細菌戸籍が増えてたら多分上手くいくはずだ
斬鬼は「新入りですよ、はい」と返す。
上手くいく、上手くいく!
「うーん文さんに確認しますか」
\(^o^)/
ていうか文って…あの文だよなぁ
同期だけど絶対見抜くよなぁ…
いや、同期だからこそだよな
多分「今から呼ぶので待ってください!」なんて
言うんだろうなぁ…
もしくは「今日は不在ですし…」とかどうかn
「今待ち合わせしているので待ってください」
が、ことごとく斬鬼の妄想は裏切られる
というか一番最悪なパターンだ。
前の2つのパターンならまだしもこれは…
強行突破は後々面倒だし…
うーんそうだ!時間をかせg
「お待たせしましたー」
(シバくぞ)
脳内で文をシバキ倒すビジョンが見えたが幻想だろう
というか、流石だ、速さは衰えていないらしい
どうやら
「文さんこの人新入りらしいんですけど…」
「んー誰でしょ…」
あっ終わった。俺の顔見た途端目が変わった。
俺の事なんて忘れてるかもと思ったけど
そんな事無かったわ。
「…どちらかと言うと古参よ、椛」
「え?」
確かに、古参だろう
そりゃ、遠い昔から、月人が地上にいた時から居るのだから
もう駄目だ。堪えられない。
「ははは…」
「ふふふ…」
「あのー?2人とも目が…」
「心配かけさせやがってーッ!」
「死に腐れぇーッ!」
キレの強いパンチが飛んできたのを躱す。
そして腹に1発。
「ぐぶぅ」と潰れるような声を出す
そこで気づいたがいつの間にか術が解けて
己の本当の姿が現れる。
そこらの白狼よりも大きく、艶のある尻尾。
総白髪と同じ色の少し大きい獣耳。
白い和服には肩と腰に軽い防具がしてある
腰には白い鞘に赤い筋の入った持ち手の刀と
それと違う漆黒の黒い刀。
袴は椛と同じ黒に赤だが、斬鬼の場合、黒なのは
変わらないが、下から地獄の業火の様な模様が描かれている。
「やっぱりそちらの方がいいわ。違和感がないし」
「そうかよ」
斬鬼はコキコキと指を鳴らして文に近づく。
コイツ、痛い目に合わせてやr
「待ってください!誰ですか貴方!?」
お前さんなぁ…人のセリフの途中で…
だが、その言葉に反応したのか、道行く天狗が
一斉にこっちを見る。こっち見んな。
斬鬼は頭を掻きながら言う。
「知っているだろ?」
「何をですか!」
斬鬼は溜息をつくと呆れたように
「天魔から言われなかったか?伝説の白狼天狗、
紅白斬鬼は生きていると。」
…その場の温度が一気に0.5度くらい下がった。
「え…え?」
見ている天狗がザワザワと騒ぐ「伝説…?」
「まさか、そんな筈が…」
斬鬼はイライラしていたのか若干怒った声で
「そんなに言うなら天魔を呼んでやるよ!」
「天魔はパシリじゃ無いわよ」
「あいつはそんなもんだろ、変わらんさ」
文の突っ込みがくる
当たり前かのように返すと空を見る
斬鬼は息を吸い込んで言う
静かに、だが、厳かに
だが、それは決して小さくは無い
「元神風部隊隻眼天狗紅白斬鬼、ただいま帰投した」
幻想郷に響くくらいに
「…?」
静寂が一瞬辺りを包んだ
だが、その静寂の中でこそ聞こえる音
風を切り裂く、音速の、キィンと響く音
何かが来る音がする
「まさか…」
「天魔様…」
その方向を向くと黒い物がこちらに向かっている
椛が若干絶句しているのは何故だろうか。
首を傾げる斬鬼に文が耳元で言う
「あの子、天魔の側近よ」
…納得した。
使える人がこれだと何も言えん
「側近?」
「どちらかというと助手に近いわね」
位は恐らく文の方が上だろう。
白狼と鴉では天と地並に差があるのだろう
だが、斬鬼は違う。
彼は白狼の中でも特別だ。
斬鬼の前に天魔が立つ
見た目は鴉天狗に近い
だが、その翼は他のものとは違い、綺麗な光沢がある
服装も全て豪勢なもので、黒と基調とした服装である
だが珍しい事にその紙は短い
「住むって本当か斬鬼!」
「帰投って言っだろ」
斬鬼の手を掴んでブンブン振る。止めて
「そうか…でも住んでいいのだぞ!」
天魔は笑いながらこちらに言う。
…ちなみに女だ。口調でよく間違えられるが。
「とりあえず休ませてくれ」
「それなら私の家に来い!」
「私も行くわ」
「側近なので」
何だこのマシンガンのような会話は
斬鬼はそう思いながら飛ぶ天魔について行く。
長め