under world
自由落下する事5分、ようやく大きな穴についた
そこから落ちる事に変わりは無い
というか落ちる事以外にやることが無い
「不注意は厳禁、だな」
ごもっともな言葉を吐きながら斬鬼は思う
恐らくこの穴は地底に通じている
個人的に地底を探索してみたいというのもあるので来たかった
それが思わぬ形で実現したと言う事だろう
「まぁ、何が起ころうが俺の知ったこっちゃない」
不可侵がどうのこうのなんて知らん
非難されようが「落ちただけ」で済む
「もう光が届かないか」
その代わりに下から仄かな光が見えてきた
個人的には行きたいが、種族的に行きたくなかった場所
「蜘蛛の巣が多いな」
大きな穴の至る所に張り巡らされている
これなら獲物が確実に引っかかるだろう
それらを切り裂きながら下へ落ちる
「よっと」
着地する
ヒーロー着地は足を痛めるから止めておこうな
立ち上がり、辺りを見渡す
見えたのは細い洞穴と白骨化した人間だった
「へん、食われたか?それとも諦めたか?」
少し自嘲気味に言いながら頭蓋に手を伸ばす
それは白骨化したにしては新しすぎた
「なるほど、食われたか」
「こりゃこりゃ、人のもんにさわるんじゃないよ」
「誰だ」
斬鬼は柄に手を掛けて構える
「待った!敵じゃない!」
「…土蜘蛛か」
現れたのは茶色の女
服が茶色と黄色のボタンで出来ている
奇天烈なスカートだ…穴が空いている
「そうさね」
「そうかい、じゃあ、俺は先に行くから」
斬鬼は手を振るとそのまま歩き出す
彼女に言う事は特に無い、今のところは
それは土蜘蛛も同じようだった
「そうかい、わたしゃ黒谷ヤマメよ」
「覚えといてやるよ」
「この先友人が居るけど、気にしないでやっておくれ」
「あいよ」
どんな友人なのかは聞かないでおこう
実際にあった方が面白そうだ
そう思いながら道を進む
少し暗い、明かりをつけよう
「…灯れ」
手のひらに拳程の火の玉が出来る
それで暖をとるように人魂が寄る
「んん、この先は広そうだな」
風がひゅぅーと吹いている
これは大きな空間か…それとも外に繋がっているのか…
兎も角早く確認してみよう
「おお…」
出迎えたのは巨大な空間
立っている場所から下は川が流れている
そして向こう岸とこちらを渡れるように赤い橋が掛かっていた
十分見えるので火を消す
「ん、誰だお前さんは」
「そう言う貴方こそ誰よ」
「俺はざん…佐々木、ジョニー・佐々木だ」
「ジョニー?変な名前ね」
その女はずっと嘲笑している
緑の深い目が斬鬼に向けられる
「よく言われるさ」
「…そう」
「何をしているのだ」
「特に、橋姫だから」
「なるほどな」
橋姫ならここに居ることも納得だ
橋姫とは元は橋の守護神みたいなものだったようだ
この橋を渡る時に女や他の神の事を話したり、名前は忘れたが歌を歌ったりすると恐ろしい目にあうらしい
ただ、今では神ということは忘れられ嫉妬だけが残ったようだ
ここは嫌われ者達のたまり場だから納得出来る
「そう、じゃあさっさと帰るのね」
「あっそう」
斬鬼はするりとソイツの横を抜けて歩く
まさか前進するとは思っていなかったのか驚いて声を掛ける
「ちょっと!?話を聞いて…!?」
「あぁ、名前だけ聞いておこう」
彼女は止めることは無理と判断したのか名前を告げる
「…水橋パルシィよ」
「uh-huh、今度からパルって呼んでやるよ」
「ちょっと!何でアンタがそれを…」
言い切る前に彼はそこを後にした
残るのはヒューヒューと吹くかぜだ
「あぁ!妬ましい!こんな気持ちを抱く自分が妬ましい!」
何故だが、彼との会話が心地よかった事が、妬ましい
〇
「…ここか」
見えたのは大きな都
ポツポツと明かりが灯っており、煙が煙突から吹かれている
確か河童もここに居るのだったか?聞く話によれば
大概がミサイルとかIRBMとか作った奴だ、アホか?
「…」
斬鬼はパッと葉巻に火を付ける
これからどうやってここを通るか考えているのだ
「此処を通ったらどうしましょうか」
舞が人魂から半人に成る
「…ふぅ、さぁな?確かさとり妖怪の屋敷があるとか…」
「面白そうですね」
「飛んでゆこうか」
「そうしましょう」
舞は人魂に戻る
斬鬼は空を飛んだ
見下ろす町は暗く、そこらかしこから罵声が飛んでいた
多分鬼とかが喧嘩をしているか酔っているかのどっちかだろう
「…っが!?」
油断していた
破裂音が大量に響く
オレンジ色の線が続けざまに飛んでくる
「対空砲火かよっ!?」
斬鬼は爆発を避けながら千里眼を使い、確認する
河童達が鬼の形相でこちらに撃ってきている
その武器は所々違うが、固まっている
ある所は五式十五と九五式三連装機銃の旧日本軍
ある所はM3 3インチとブローニングのアメリカ
ある所は8.8cmとMg42の旧ドイツ
「お前らは地上と戦争でもする気か!?」
たった1人
たった1人の斬鬼を落とす為だけにこれだけの弾幕だ
何とか落ちないように飛行する
「…!ミサイル!?」
さらに飛んできたのは筒状で先端が尖った、火を吹く物体
先端には大量の爆薬が入っていることだろう
「しかもスティンガーか!」
千里眼で打ち手を見たところ持っている物はスティンガーその物だ
だがしかし、そのスティンガーは…
「旧式みたいだな、フレア」
両手から光る玉をポンポンと何個か発射する
ミサイルはそれを標的と誤認してそれに突っ込む
「よし!彼処を越えればっ!」
斬鬼はスピードに身を任せて飛んでゆく
それには対空砲火は追いつけなかったようだ
効果範囲外に行ったのか、対空砲火はもうされなかった
プリスキンも良かった