「…」
地霊殿の主である古明地さとり
彼女は椅子に腰掛けて本を読んでいた
読んでいるのは地上についての本
時折下に落ちてくる本を読んでいるのだ
…少し昔の物なのが残念だが
派手な建物だな、こいしがこれなら姉は…
「…?」
いきなり声が聞こえる
と言っても心の声だから直接聞こえる訳では無い
今こいし、と言ったので多分案内されたのだろう
さとりはエントランスへ移動する
「ただいまー!」
「おかえり、こいし」
…こいつがこいしの姉か
声がした方に目を向ける
外で言う白狼の天狗装束に少し工夫がされている
そして、横に立つ女
あら、こんにちは…こちらは内の旦那です
「…こんにちは、仲が良いようで」
「よろしく、ジョニー・佐々木だ」
「…」
そういう彼の心は笑っている
さとり妖怪だからどうせバレるというのも分かっているようだ
「…鬼には直ぐにバレますよ」
「会わなきゃいいのさ」
斬鬼は軽く首を振った
…多分会うことになるだろうけど
「ここは観光名所ではありませんよ?」
「失礼、ただ見たいという気持ちだけで来たんでね」
「それはまた…まぁいいですよ、一晩なら泊めてあげます」
「そりゃありがたい、舞もそれでいいか」
舞はこくりと頷く
「大丈夫ですよ、逆にすみませんね」
「こいしを連れて来た礼ですから」
さとりは表情を変えること無く振り返る
そこには丁度黒猫が座っていた
「お燐」
にゃーとその猫が返事をする
猫はさとりの足元に寄ってくる
「猫又ねぇ、ここはペットが多いのね」
「そうですよ、他にも結構な数のペットは居ます」
「…そいつが案内するのか?」
にゃーと返事をする猫
「おー、頑張り給えよ」
「それでは、私は部屋に戻りますので」
そう言ってさとりはどこかに行く
恐らく自分の部屋に入っていっているのだろう
「さぁ、猫ちゃん…もといお燐ちゃん、案内よろしくね」
にゃんと猫は言い、走る
そして見失わない辺りで立ち止まる
「ついて来いってこった、行こう」
「はぁーい」
舞と斬鬼は階段の先に居る猫を追いかける
あの猫はこちらが追いついた時にまた走り出す
そして、何分か歩いた後、扉の前で止まる
にゃーんと声を上げた
「ここね」
「失礼…っと」
ガチャりとドアを開けて中に入る
中は比較的広く、棚などが置いてある
「…要らん配慮を」
「まぁまぁ、たまたまと言うことも」
見ての通り…シングルベッドだ
つまり寝る時には舞と一緒に入るということで…
「…人魂に」
「嫌です」
知ってた
舞の場合絶対にこういう事を言う
「…まぁいいか」
斬鬼はベッド周りを確認する
そして、この場所にあってはならない物を丸机の上に見つけた
黒光りする銃身
四角い何かから見えるのは黄金色の筒
L字のそれは外で言う銃というものだった
黄金色の筒は弾丸、それが入っているのはマガジン
斬鬼はそれを拾い上げてスライドを引く…マガジンは入っていた
排莢部分から見える黄金色、それは初弾が装填された事を意味する
そのスライドには「mk23-SOCOM」の文字が彫られていた
「SOCOMか」
「珍しいですね、アメリカの特殊部隊が使うハンドガンがあるとは」
「要らんな」
斬鬼はポイとそれを投げ捨てる
それはポータルに入り、何処か時空の狭間へと消えて行った
「良かったですの?」
「悪い影響は無い、悪い影響はな」
良い影響はあるだろう
…あちらの人に対しては、な
「にしてもキレイな部屋だ、もう少し埃があると思ったんだが」
「毎日キレイにしているのでしょう?」
「恐らく、な…それとも最近来客が居たか?」
斬鬼は意味ありげにこちらを見ながら言った
舞は笑う
「あははは、面白そうな人ですね、銃を忘れるなんて」
「余程切羽詰まっていたんだろうな」
じゃないと護身用の銃を置いていくものか
斬鬼はそう考えてそれを終わらせる
…コンコン
「?はぁーい」
舞が叩かれた扉に近寄り、ドアを開ける
そこには赤髪の女の子が居た
その目も真紅に染まっている
「おねーさん達、夕食だよ」
「ああ…さっきの…舞、食いすぎるなよ」
「流石に控えますよ」
「そうか、じゃあお燐、よろしく」
「はいはい、こっちだよ」
この女の子はお燐に間違いない
先程の猫と同じような尻尾がある
その他に目の色が同じというものある
「人間に成れるんだな」
「怨霊を何匹も食ったからね、火車なんだよ、私は」
「死体を持ち去る、ねぇ」
供養する人間からしたら憤怒ものである
まぁ現代社会ではそんな現象はありえ…ありえる?
知らんがな
「ここさ、どうぞ」
「失礼しまーす」
「じゃまする」
中は紅魔館の目に優しいバージョンだ
長机の端に等間隔に椅子が置かれている
そして誕生日席にはさとりが座っていた
「私の定位置はここですよ?そんなに意外ですか?」
「いや、そうでも無い」
「それよりも早くたべましょう?」
この妖怪腹ぺこ虫かなんなのだろうか
「お兄さん人気だね」
いつの間にか、こいしが席に座っていた
これも彼女の能力か?
「…」
「あの席ですか?ペットなのですけど、少し仕事が遅れているらしいですね」
食事はあるのに誰もいない
お燐はその横の席に座っているようだ
それはさておき、手を合わす
「「「「「頂きます」」」」」
その日の夕飯は、洋食だった
SOCOMはある人が使っていた物です