1匹狼の幻想郷帰還   作:回忌

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人間と天狗と月の人
出会い


斬鬼と永琳が出会ったのはかなり昔だった

それこそ月の民が地球にいた頃の話だ

 

「…」

 

妖怪の山にあるとある場所

そこの岩場のてっぺんから斬鬼は地上を見下ろしていた

 

いや、見下していたの方が正しい

 

妖怪共が人間(?)の基地に攻め込んでいた

そこの奴らは光の光線…今で言うビームで妖怪を焼き払っていた

今日も人間達が勝ったようだが、次はどうなるだろうか?

 

「今日も人間達の圧勝ね」

 

妻の声が聞こえた

斬鬼は顔を下に向けたまま声を出す

 

「恐らく突破されるな、いつかは」

 

「そのいつかは、分からないのね」

 

「未来が見える訳じゃない」

 

「ふーん」

 

舞は斬鬼の後ろに立って腕を絡ませる

彼女の豊かな胸が柔らかく形を変える

息が耳元に熱くかかった

 

「本当に?」

 

「予測くらいしか無理さ」

 

斬鬼はそう言って背を伸ばす

それを邪魔しないように舞は手を緩めた

 

「…おい」

 

「何かしら」

 

「その、離れてくれないか」

 

「ん?何か言いました?」

 

緩まれた手はまた絡まっていく

 

「あの」

 

「…ん」

 

強制的に振り向かせて、斬鬼の唇を塞ぐ

何秒かそれを維持した後離れる

 

「…仕事中」

 

「関係ないです」

 

「2人とも仕事しろっ」

 

声の方向に顔を向けると文が仁王立ちしていた

斬鬼と舞は体を離す

 

「こんの…仕事中にイチャイチャしやがって」

 

「嫁が可愛すぎるのが悪い」

 

「拒否しない旦那が悪い」

 

責任を押し付け合う2人

だが、そこに嫌悪感などなかった

文は深いため息をつき、手を腰に当てる

 

「仕事が増えてる、手伝いなさい」

 

「あいよ…」

 

斬鬼は歩き出した

大体何の仕事が増えたか分かっている

 

…ビームが山に直撃したのは、見ていたし

 

 

 

 

斬鬼は里を歩いていた

そこには人間と天狗が居た

 

「へぇ、今日は野菜が沢山収穫出来たのか?」

 

「ええ、これで天狗様に献上出来ます」

 

「いつも通りの量で十分だ」

 

「それでー、うちの旦那が」

 

「そうなの!天狗も人間も変わらないわね」

 

楽しそうに会話する両者

この関係が続けばいいのに

 

「斬鬼様」

 

「被害は?」

 

女中が突然現れる

彼女の能力故、分からなかったのだ

聞いたのは先程のビームの被害だ

 

「山の斜面が削られたくらいです」

 

「ふーん…」

 

斬鬼は考えた

このまま報復として攻撃するのか、謝らせるか

 

前者は完全にネガティブだ

 

後者は…謝る気がしない

 

攻めたのはお前らだろで終わる気がする

強引に謝らせるしか無さそうに感じる

 

「…総員警戒態勢」

 

「了解しました」

 

女中が消えた瞬間、大きな音が響き渡る

実権は現天魔と同じくらいだ、上の命令が矛盾し合う事は少ない…俺達は

大きな音の正体は巻貝で出来た笛の音だ

因みに戦闘配置は大鐘の音だ

 

「さて、ヤッコさんはどう出てくるかね」

 

「恐らく、思案中じゃないか?」

 

大天狗の白狼が現れ、言う

斬鬼は青年に賛同するように言う

 

「千里眼で見てるが…慌ててるな、ヤッコさん」

 

慌てて…鉄の筒の様な物を構えている

情報はある程度把握している、あれは銃だ

ビームを連射するビームガン

妖怪を消し炭にした大砲の配置が終わった

 

こちらも同様だ

 

得物を急いで担ぎ、櫓などで弓を構える

鴉天狗が上空に配置を完了、白狼も茂みに潜む

河童達は水圧カッターなるものを構えている

 

緊張がこの場を支配する

 

「…思案中だな」

 

おエライ方が話し合っているらしい

こちらは大天狗がどーのこーの言っているか隠れているかだ

それに比べ人間達は真剣に話し合っているようだった

 

…人間?

 

それはさておき

斬鬼は相手の回答を待つ

 

「…誰か来るぞ」

 

青年は太刀を2本構える

2つとも太く、短い

接近戦を得意とするのがこの白狼大天狗だ

斬鬼の様に術が得意な訳ではなく、剣術でそれを凌駕する

 

斬鬼には適わないけど

 

「…誰だ」

 

目の前に現れたのは赤と青の奇抜な服装の女

その後ろに護衛らしき人間が銃を持っている

 

「わざわざ俺たちの前に現れて、何用だ」

 

「いえ、今回の事の謝罪よ」

 

「…成程、そう来たか」

 

どうやら先程の後者で来たようだ

それにしてはかなりの護衛だな

 

「んで、どう落とし前を付けるよ」

 

斬鬼は測るような目つきで彼女を見る

それは舐めるような目付きだった

決して卑猥な目つきではなかった

彼女の呼吸、手癖、目の動き

 

嘘をついていれば大体分かる

 

彼女が口を開いた

 

「どうすればいいかしら?」

 

「…」

 

質問を質問で返してきやがった

斬鬼は心の中で悪態をつきながら関心する

人間であろうとそういう軽口を叩けるのだから

だから斬鬼も彼女達を試すことにした

 

「じゃあ人手を貰おう、建築が得意な奴を寄越せ」

 

「あら?自分から弱点を晒すのかしら」

 

「全力でぶつかり合って、生き残れるか?」

 

答えは沈黙

そりゃそうだ

妖怪の山を相手とするなら、必ず"神風部隊"が立ちはだかる

様々な種族が集まり、完全な実力主義を唱える部隊

人間でも、強ければ入隊出来る戦士にとってのOuter heaven(天国の外)

ここに入れば毎日が何かと忙しくなる

 

平和の時に仕事が無い兵士からすれば、有難い

 

ここの隊員は強い

鬼でさえ手こずる程の力量をほぼ全員が持っている

幹部はそれの上を行く、神殺しなんて出来るのだ

 

「…分かったわ」

 

「飲み込みが早くて助かる、俺は紅白斬鬼だ」

 

「私は八意永琳、あそこの頭脳と言われているわ」

 

これが永琳との出会いだった

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