「それでお前は地上に追放されたと?」
聞いてみると輝夜は蓬莱の薬を飲んだ事で追放されたそうだ
命を永遠にする薬を勝手に飲んだとかなんとか
「追手は無いのか」
「追跡装置も無いわ、これでも信頼されてたの」
「はあ、そら良い頭しているからな」
永琳の様に頭が良い、と言う奴は見た事はあまり無い
斬鬼の妻といい勝負はしていそうだ
「これからどうするつもりだ?」
「そうね…一緒に旅でもしないかしら」
「良いな…飽きたら別れてやるよ」
「何故に上から目線なのかしら」
「さぁ?さて、行こうか」
ここで賛同した意味は無いと思う
その時丁度暇だったから賛同しただけだ
こいつらが良い居場所を見つければ、離れる
そうするだけだ
〇
「これが奈良の大仏か、意外に大きいものだ」
「もっと小さいと思ってたわ」
「人間がこんなに大きな物を作れるのね」
「月だったらこれが動くのだけれど」
「技術が上がっているな」
「あの時とはもう違うわ」
「動く大仏なんてダサいわ、趣が無いじゃない」
「人はそれを浪漫と言うんだ、知らなかったか?」
「ロマンなんて男だけが持つものでしょう?」
「そうでも無いかもしれんぞ?」
〇
「よぉ神奈子、久しぶりだな」
「おお!斬鬼。…そっちは?」
「旅仲間ってところだ、だろ?」
「八意永琳と申します、こちらは」
「蓬莱山輝夜よ、よろしくね」
「おー斬鬼!久しぶりだねぇ」
「諏訪子はいつも通りだな、尻尾触んなコラ」
「んー、舞の方が柔らかいかなぁ…」
「勝手に触って人のモンにケチつけんな」
「んでもこの程よい硬さは好きだぞー!」
「あ"あ"あ"!千切れる!引っ張るな!」
「楽しそうね」
「見てるだけで楽しくなってくるわ」
「見てないで助けろぉー!」
「いやー、もったいないわ」
「そうね」
「裏切り者めぇーっ!」
〇
「おおーお、まだ妖怪の山には鬼が蔓延ってるか」
斬鬼は山を空中から見下ろす
千里眼で見えるは妻が鬼と話しているところ
「あれが天狗達?落ちぶれてないかしら」
「俺が居なくなってから下火気味なんだ、はぁ」
「それでもまだ堕ちていないのは貴方が居るからよね」
永琳が笑う
「一瞬の象徴かしら…伝説で成り立つのね、あなたは」
「そうでも無い、伝説とは名ばかりだよ」
「そう?かなり魅力的な人に見えるけど」
輝夜か茶化すように言う
「会えば幻滅する、そういう物さ」
「私は幻滅しましたよ、貴方」
永琳は斬鬼の顔が真っ青になるのを確実に捉えていた
ゆっくりと後ろを見る
「お久しぶりですね、1回死にますか?」
ニッコリと、扇子を構える
その笑顔は目が全く笑っていなかった
「あー、あー、あー、あー…」
「はいかいいえで答えなさい」
斬鬼の目がお散歩を始める
「貴方達、夫婦かしら?」
「その、色々あってな」
「これは一瞬の夫婦喧嘩かしら」
「よし、逃げるか」
斬鬼はキリと顔を正す
「逃がしませんよー?1回地べたを舐めさせてやります」
ドス黒いオーラがむわむわと出てくる
何かもう勝てる気がしない
「お、オタッシャデー!」
「逃がすか」
「アイエエエ!?ツカマレテル!?ツカマレテルナンデエエ!?」
目を離そうとした瞬間腕を掴まれる
そして思い切り
「せいやーっ」
妖怪の山に投げられた
〇
天狗の里は平和だった
鬼が入ってきても、支配者が変わったたけだ
それどころか構造がシンプルになって良い
今日も今日とて皆が平和に――
「あ"あ"あ"あ"あ"あ'あ"あ"あ"あ"」
「何事!?」
なる訳が無い、こういう時に限って
空から何かが地面に突き刺さった
土煙がだんだんと晴れる
突き刺さっていたのは…
「…白狼天狗?」
「あ、皆さん見る必要はないですよ」
「あ、舞様!」
空から舞が降り立つ
それと同時に突き刺さっていた白狼が地面から抜けた
「はっ…やべ、逃げるか」
「待って下さい旦那様〜?逃げる気ですか〜?」
「それ以外に何かあるとでも?」
「涅槃に入られては如何ですか?」
親しげにトークを交わす2人
それでその白狼が誰か一瞬で分かった
「なんだ夫婦喧嘩か」
「帰還を祝え!帰還した訳じゃないが!」
「ほれ関節技たぞー」
その間に舞が関節技で締める
「いでででぇででで締まってる!色々なところが痛い!」
「謝罪は?」
「するかそんなもん!」
「ほぅ…?」
「あががががががかが!出てはイケナイ音している!
バキバキ言ってるーっ!」
さて、これがこの2人の夫婦喧嘩だ
これは簡易的な方だ
昔は舞がブチ切れて妖怪の山で核を使った
…スープは食事以外では禁句である
「はぁ…はぁ…」
「GIVE UP!!!」
「No!!!」
斬鬼は全力で戦線離脱した
「はぁ…逃げられましたか」
舞はぽつりと呟く
そして視線をしたに向け、あるものを見つけた
それは六つのみたらし団子だった
「…くすっ」
やっぱり、不器用な旦那だなぁと舞は改めて思った
「おかーさん!」
そう思っていると娘がやって来た
トテトテとこちらに頑張って走ってくる様は可愛い
我が子を舞抱き上げる
「どうしたのー?」
「宿題が終わったの!」
「そう、おめでとう
そうだ、オヤツにしましょう」
「わーい!おやつ大好き!」
「しかもお父さんのお土産よ、美味しく頂きましょうね」
そう言うと2人は手を繋いで歩き始めま
子供の見た目は可愛らしい
その髪型何かは舞にソックリだ
しかしその顔…目や口、眉毛は斬鬼の如く厳しい
子供なのでそこまでは感じない
だが、大人になれば感じるだろう
その気を…
〇
「…ここは」
「いい竹林ね」
あれから何年か旅をした
そしてその旅の終点がここ、竹林
「ここなら身を隠すのに十分だわ」
「竹の生え変わりが異常に早んだったか」
斬鬼は手を振った
「また会えるのを楽しみにしてるぜ」
「こちらこそ、じゃあね」
「また会いましょう?」
斬鬼はまた1人になった
ここからまたいつも通りの度だ
そう思うと自然と溜息が出てきた