「そんなところかね」
「後半夫婦喧嘩しか無かったんですけど?」
「あれも旅の1部…そうに違いない」
そう言う斬鬼の目は死んでいた
妻には頭が上がらないようだった
「あぁ、いつかのアレですか、浮気相手を連れてくるとかいう」
舞が笑顔で言う
「ありゃ旅仲間って言ったよなぁ…」
「傍から見れば変わりません、そうでしょう?」
有無を言わさない笑み
「アッハイ」
頷くしかない外野
焦る斬鬼
ゆっくりと近づく舞
「待て、話し合おう」
「問答無用、せいっ」
ガッチリと掴むと舞は斬鬼にスープレックスをかました
重力とその他もろもろによって斬鬼は地面に突き刺さった
「ふぅ、清々しました」
「…ヒェッ」
晴れ晴れとした笑顔
観客の怯える声
突き刺さった斬鬼
なんともシュールなものである
霊夢が不満そうに舞に言った
「ちょっとー人の神社を荒らさないでよ」
「あらごめんなさい」
「最悪だ」
舞は一礼して謝った
斬鬼は直ぐに体を地面から抜いた
その顔は少し楽しそうに見えた
「はぁ、俺は食うよ」
そう言うと幽々子達と変わりないスピードで食材を口に運んだ
カレーは飲み物、と彼は言うことは無いだろう
「ヤケになったかしら?」
「暴飲暴食…3人も居るとか」
食費はうなぎ登りである
負担するのは霊夢か紫、以上
「ガツガツガツガツガツガツ」
「よく味わいなさい?」
「無理」
即答した後斬鬼は食事を再開する
「…はぁ、味がしない」
「あんな食い方すれば味はないわよ」
霊夢が呆れたように言った
暴飲暴食時には味は感じない
何故なら腹をストレスを解消する為に食っているからだ
その後の責任は自己で、ということらしい
「仲良かったんですね、永琳さん達と」
「そうかね」
「普通よ、友人から何も変わってないわ」
永琳はお酒を飲みながら言う
輝夜にとってはどうなのだろうか
「んー、良い人?」
「良い人ならいいか」
「いいのでしょうか?」
斬鬼はこう見えて雑…見て雑だ
彼は口の周りの汚れを拭くと葉巻を咥える
「食後の喫煙ですか?」
「人外の体には何の影響も無いさ」
人では無いので癌になど悩まされない
これがかなり嬉しいことだろうか
「はぁ…忙しいものだな」
「最近は異変のワゴンセールよ、本当に大変」
霊夢はお酒をラッパ飲みしながら愚痴る
彼女とてこの仕事をしたいわけでは無いだろう
ただ、仕事だからと割り切っているのだ
一応斬鬼は質問する
「辞めたくないのか」
「辞めたら生きていけない、それだけよ」
辞めれば八雲の庇護下を離れる
その強さがあれば何とか出来るが…
それでも庇護下の方が色々都合がいいだろう
「uh-huh…はぁ」
煙を吐く
それはゆらゆらと揺れながら空に消えていった
「あなたも辞めたくないのかしら?」
「どうだろうか」
戻ってきたばかりだ、辞める気は無い
辞める時は次代に引き継いだところだろう
…俺に敵う奴が居れば、だが
「俺に跡継ぎは…生きてるかね」
「私に聞かれても知らないわよ」
霊夢は細い目で斬鬼を見た
斬鬼はため息を吐く
「まぁそうだよな…」
他人に自分の倅を知らないかと言われても知らんと返される
当たり前だが、どこか変に思える
「あー、皆寝ちまったか」
どうやら疲れで眠りに眠ったようだ
斬鬼と霊夢は神社の縁側に移動した
お酒の瓶を1つ、でもこれは霊夢の為じゃない
「アンタの物語が良い睡眠に誘ったんじゃないの?」
「知らないね、お前も眠そうだが」
とろんと目が潤んでいる
その顔はとても可愛い…
「寝たらどうだ、俺は少し起きておこう」
「そうさせてもらうわ…ふぁ…」
そのまま霊夢は斬鬼の膝に頭を置いて目を瞑る
数秒もしない内に寝息が聞こえきた
「おやすみ」
俺は彼女を縁側に寝かせ、軽く布団を掛ける
「それじゃあお酒でも飲みましょうか?」
「そうだな…」
舞と手を繋ぎ、反対側の縁側に座る
そこからは月がよく見えた
境内からの視線が通らない、神社を上から見て右側の縁側だ
「淹れてやるよ」
「私がしますよ?」
そういうと舞は杯にお酒をいれた
二つの杯の内1つを手に取る
舞も瓶を置いて杯を手にした
「「乾杯」」
カチンと杯がぶつかりあった
杯を傾け、中の酒を飲む
どうやらかなり良い奴の様でかなり美味しい
その旨みの後に小さな辛さがくるのもなお良い
「良い酒だな」
「紫からです、有難く貰いました」
「は、。あいつの酒か」
俺は杯を弄ぶ
お酒を入れ直し、また飲む
「んーdelicious」
舞が嬉しそうに呟く
その顔は紅潮していて、目がトロンとしていた
先の霊夢とは違い、こちらは妖艶な雰囲気が強い
大人のそれ、だろうか
まあ昔から求婚を何回もされていた奴だから仕方ないか
「んーん!――んー」
「んん!?んー…」
いきなり唇を塞がれる
抵抗しそうになるが、止めた
どうやら酔っているようだったのでな
「ぷは…んー…」
「はぁ…」
「全く煙草臭くありませんねぇ…本当に吸ってます?」
舞が目を細めて言う
「吸ってるぜ?臭わないってのは嬉しいものだ」
「臭いよりか断然マシですからね…ちゅー」
「唇をふさ――んん…」
2人の時間
それを邪魔する者は何処にもいなかった
…ただし見ていないと言っていない
「あわ…あわわわわ…!」
「妖夢、震えすぎだせ」
「お熱いわねー」
「やっぱり夫婦なのね」
勿論彼女達が寝ているわけがない
夫婦を2人っきりにしたらどうなるか試したかったのだ
結果、見えないバリアみたいなのが貼られている
視界のバリア、だろうか
あそこを邪魔すれば塵一つ残らないだろう
「うう…破廉恥です」
目の前で濃くキスをしていれば自然と出る言葉である
まぁ夫婦ならこれくらい…するの?
「あれ絶対子供いるわよね」
「どうでしょう?私に聞かれても…」
椛は首を傾げる
聞かれてもシラネーヨで終わらせる
天狗という種族であってもあの夫婦はよく分からないものだ
古参であっても理解が出来ないところもある
「…本当に良い人を妻にしたのね、斬鬼」
スキマ妖怪の呟きは誰の耳にも入る事は無かった
Q あれ60人程の神風部隊、6人以外壊滅してなかったっけ
なのに何故"蛸"は生きている(既に死んでいる)のだろう
A 作品の都合
この時私はすっかり6人以外壊滅しているのを忘れていました
まぁ壊滅だから1人2人生きててもいいよね(暴論)
――ただし生きているとは言っていない