「綺麗な向日葵だな」
俺は呟く
目の前に広がる大量の黄色の花
それはサンフラワー…向日葵だ
最近は人間達の中で欲しがる輩も多いと聞く
永琳達と別れてからここにたどり着いた
風が心地よいくらいに吹いた
「ここで自生したか」
「外国の花がここで咲くかしら?」
「…お前は?」
声のした方に向く
向日葵の畑の真ん中に女が立っていた
緑髪で赤い瞳は鋭く、傘を持っている
そのチェック柄の服をこれまで見たことは無い
「外来妖怪か、珍しいものだ」
「私は花の妖怪、風見幽香…貴方の事は知っているわ」
「へぇ、俺も有名人だな」
俺は鼻で笑う
知っているからなんだと言うふうに
「紫が言っていた通り、強い妖力ね」
「アイツの知り合いか、何か俺に用でもあるか?」
「えぇ…あるわ」
瞬間、幽香の姿が消える
即座に刀を首元に移動させる
…刀が傘の攻撃を防いでいた
「やっぱり、噂通りの男ね」
「戦闘狂が」
「あなたもでしょう?」
一本の刀を構え直す
それを間髪入れずに幽香の腹に突き刺した
「な…!」
視認出来なかったのか、反撃してこない
それを活かして刃を頭の方向に捻りあげる
心臓付近でそれを止めた
「さぁ、どうする?」
「…降参よ」
傘を落とし、手をヒラヒラと振る
刀を抜いて血を払う
「やっぱり噂通りの強さね」
「これだけか?」
斬鬼は問いかける
ただ向日葵を見つめていた俺を攻撃した意味
それの答えは
「これだけよ?」
「はぁ」
キッパリと言い放つ
「お前はその為だけに俺の前に現れたのか?」
「何か不都合でも?」
「…ふん」
暇を持て余したもの達が良くする事だ
それと言って不思議なことではない
強そうな奴と戦うのは大妖怪にとって普通と言える
「こっちは弟子待たせてるんでな」
「誰かしら?」
「それは…ほら」
「師匠ぉー!」
振り返ると長髪白髪の女の子がこちらに走ってきている
モンペ、磁器の如く白い肌、赤い目
「…誰?」
「こいつは幽香、今出会ったばっかりだ」
「あら、これは驚きね」
「どうかしたか?」
幽香はクスリと笑う
「こんな可愛い子を弟子にしているとは思わなかったの
しかも貴方みたいな男がね」
「は、よく言うぜ――」
〇
勿論これは数千年も前の話
今はこうやって3人でお茶会をするくらいに穏やかになっている
「久しぶりね、斬鬼」
「元気そうだな、お前の花達」
「いつも通りよ…で、こっちが」
幽香がチラと舞を見る
「俺の妻…知らなかったのか?」
「見た事なかったもの、ねぇ?」
「初めまして、これからよろしくお願いしますね?」
首を傾けてニコリと笑う舞
それを目を細めて見やる幽香
それが本当の笑顔なんて思っていないのだろう
「まぁいいわ、今はどうでもいいし」
「いいお茶ですねぇ、香りがとても良い」
「育てたハーブを使ってるの、気に入ってくれたなら嬉しいわ」
「抹茶やらしかないよねぇ、こういうのは新鮮でいいわ」
「…誰かお呼びらしいぞ、幽香」
ドンドンと外で騒音が聞こえる
その弾幕の音と色は某神社でよく見たり聞く
「そろそろ帰ろうかしら、じゃあねぇ風見さん」
「また今度、会いましょう」
そういうと彼女は扉をあけて出ていった
「さて、俺達は…彼岸に行くか」
同じように、幽香の家から出ていった
〇
死する物が集う場所、彼岸
その川を死神に先導されて渡り、対岸にたどり着く
そこには閻魔が居る
死する者の罪を裁く閻魔が居る
「やはり、変わらないな」
「彼岸は変わりませんよ」
そこはくらい荒野だった
冥界と同じ感じた、枯れ木が所々にある
「…ぐう」
「あら可愛い寝顔」
「…そうか、お前は死神だったな」
船の上で眠りこける女
そいつは最近の人里で会話をした小町だ
「…お前も苦労してるな」
背後の気配にそう語る
「ええ、部下が貴方の部下の様に有能であればいいのですが」
「大体が死んだか良い職についてるかさ、だろ?」
「私は死にましたけどね、あの"妖怪'のおかげで」
「貴方は必要な犠牲だった、でしょう?」
大体の連中は死んだ
都であった"蛸"も呆気なく死んだ
死因はウイルスだった
神風部隊の一員であった彼は狙われていたのだ
何故か分からない
そのウイルスが月の物と言うことしか分からない
「あなたは進展無しですね」
映姫は溜息をついた
その目は呆れが大半だった
「全く、あれ程言ったのに…」
「…俺が近々何をするか、知っているだろ」
「ええ、全て分かっています」
彼女は棒を胸元に構える
「私にはあまり関係ありません、全ては私に裁かれる」
「俺も近い内に…はは」
「私と同じになるかしら?」
「どうだか」
ならない、といえないのが現状だ
気が熟せばそれは行われる
斬鬼にとっての最後の
…
「さて、小町?」
「…―――!?映姫さま!?いつの間に!?」
「さて、お仕置ですね」
「ぎゃ、ぎゃあああああああ!?」
死神の悲鳴が響いた―――