疲労回復に良いぞ
帰ると既に夜だった
妖怪の山にある天狗の里の光がよく見える
そこから少し離れた場所に、淡い光が見えた
「あ、あれミスティアちゃんのじゃないかしら?」
「ちょいと食事していくか」
その光はミスティアが屋台を開くときに出す提灯の光だ
1部の者はその光を見るとお腹が鳴るという
確かにあそこのは美味しいからそれくらい普通だろう
火に近づく蛾みたいだ
その屋台が見えてきたところで着地する
やはりあの時食事したミスティアの屋台だ
「よぉ」
「いらっしゃい」
「あ、斬鬼さん」
「斬鬼、アンタも食いにきた感じ?」
既に椛と文が居た
どうやら夕飯の様子、一緒に食べるか
「あー、八目鰻と鬼殺しを…」
「斬"鬼"なんて名前の人が鬼殺しとか飲んでいいの?」
「別に鬼じゃないから良い」
斬鬼は手を振った
「椛はお前が誘った感じか?」
「お疲れだったみたいなんですよねー」
「あ、あはは…お恥ずかしい…」
椛は赤面する
その顔に少し疲労があった
「はい八目鰻と鬼殺しね」
「ま、美味いもの食えば疲れはとれるさ」
出された八目鰻に箸を伸ばす
「あ、私は枝豆と八海山で」
「じゃあ私はおでんを!」
「私は舞さんと同じ枝豆をお願いします」
「はーい少し待っててくださいねー」
そういうと彼女は塩いっぱいの桶に枝豆を入れて揉み始めた
どうやら最初からするらしい、本格派だなぁ…
「いや、今回は混乱的な事象だったな」
「花が咲き乱れるなんて、人間からしたら驚きですしねぇ」
人間が生きている内に見る可能性があるくらいだ
初めて見た人間は多いだろう
というか人里はどんちゃん騒ぎだった
「さて、まぁ…」
斬鬼は鬼殺しを飲み始める
鬼をシビラセル効果がある酒だ
少なくとも妖怪にも効果はある
「あぁ、やっぱりこの味だな」
この舌が痺れるような感覚、懐かしい
「貴方、独特よね」
ミスティアが枝豆を出しながら言う
鬼殺しは妖怪はあまり好んでいない
それこそ鬼は忌み嫌うのだ
「人間の作った酒がどんなもんか知りたくてな」
「すっかり虜にされているわ」
「まぁ、人間の作るものって美味しかったりするわよねぇ…」
人間の手料理は美味しいものがある
それこそ真心込めたものなのだ
そのありがたみが心に響く
「最近、隙間妖怪が変なんですよ」
文がポツリと零す
「なにがだ?」
「霊夢さんに神降ろしの技を習得させようとしてます」
「…意味わからないな」
アイツはなにがしたいのだろうか
神降ろしなんて本当に何をしたいのだろう
「霊夢さんも不審に思って修行しているようですよ」
「あの寝坊助がか、凄いな」
「…ろくな事は考えていないわねー」
舞が目を細める
その意図にはとっくに気づいている
「また変な事が起きそうですね」
「大体紫か絡んでいるのはいつもの事、でしょう?」
「そうね、舞の言う通りだわ」
「大体面倒事に違いない」
ボロくそに紫に悪口を言う
まぁそれが言えるくらいのことをしているあいつもだが
何ともまぁ救いの無いやつである
「あぁ、吸血鬼達もでした、そういえば」
「不審な動きかしら?」
「そうですね」
「…面倒事が多いなぁ」
椛の言う通りである
異変が終われば今度はおかしな事が起きている
何ともまぁ最近は騒がしい
「なんでもロケットなるものを作っているようですよ」
「彼女達は月にでもいくのかしら?」
舞は呆れたようにいう
月に行くだなんて…んな阿呆な…
「まぁいい、俺はそろそろ帰らせてもらおう」
「お疲れ様です」
「お疲れ様ー」
そのままある気配の元に歩く
そこには1人の妖怪が立っていた
「よぉ、スキマ」
「やっと来たのね、斬鬼」
「ずっと待ってたのかしら?」
「そうね」
傘をゆらゆらと揺らしながら紫はこちらを向く
「何の用だ」
「簡単な事よ」
紫は扇子で口を隠した
「月に行ってもらいたいの、霊夢達が到着した時に」
「そらまた…どういうことだ」
斬鬼の耳に紫が口を寄せる
こしょこしょと小さな声であることを伝えた
「…分かった」
斬鬼はこくりと頷く
「幻想郷からロケットが飛び立った時に月に行きなさい」
「俺は依姫の相手を…アイツらが全員やられたらだが」
「月の民に彼女達は勝てないわ」
「ですよねぇ、"あの時"も結構ギリギリ…」
「「嘘つけ」」
こいつが月面で大暴れしたことを忘れてはならない
文字通り敵を紙のように切り裂いたのは忘れない
漫画のような光景だった、あれは
「準備しておきなさい」
「お前もその首取られないようにしとけ」
紫はスキマに消えた
斬鬼はため息を吐く
だが、その顔は笑っていた
部面からわかる通り次は東方儚月抄です
第二次月面戦争のハジマリダー