1匹狼の幻想郷帰還   作:回忌

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第53話

「どうしてロケットを作った」

 

永琳が強い口調で話しかける

大図書館の魔女、パチュリーは本を読みながら返す

 

「どうして?さぁ?分からないわね」

 

「そんなことで済むことじゃないわ、早くしなさい」

 

永琳が弓を構える

その後ろには輝夜が居た

 

「私は月から追放されたけど…そんなに恨んでいる訳では無いわ」

 

彼女は月を恨んでいる訳では無い

己の育った故郷を恨む者など、いる物か

 

「こうやって侵略されるのは嫌なの」

 

「…分かったわ、教えてあげる」

 

パチュリーは話し始めた

 

「八雲紫が月に戦争を吹っかけるのは知っているわね?」

 

「私が手紙を出したし、当たり前よ」

 

「それで言うけど、ロケットの設計図が簡単に手に入ると思う?」

 

「…無いわ、ありえない」

 

外の世界でもそういうのは機密事項だ

どんなに昔のロケットでもその構造は秘匿される

一般的な物は公開されるが、それは覚えられている

 

「簡単な事、八雲紫にうまく誘導されてたの」

 

「…アイツがやりそうな事ね」

 

輝夜が歯噛みした

 

「私は痛いのは嫌だからここに居るけど…あなた達は?」

 

「行きたくないから、よ」

 

「簡単な事ね」

 

興味なさげにまた本を見る

 

「…あ、そうそう」

 

帰ろうとする2人の背中にあることを投げる

 

「あの妖怪、"天狗の夫婦"が月に行くって言ってたわ」

 

「…まさか」

 

「…そのまさかでしょうね、姫様」

 

天狗の夫婦、紫の知り合い

もはやそれはあの2人しか居ない

 

「…分かったわ、手紙をもう1つ送らないとね」

 

 

「これが宇宙かぁ…」

 

魔理沙は感嘆の声を漏らす

そこには黒1色の宇宙に輝く星々

これを見て感嘆のため息をつかないものはいない

 

「どう?密航者」

 

「美しいぜ!スペルカードの新しい奴が出来そうだ」

 

「全く…霊夢?航海は?」

 

「全く問題ないわ」

 

中部の切り離しが終わったところだ

身の前に月が見える

それは青い色をしていた

 

「月って青かったか?」

 

「知らないわよ」

 

「さ!八雲をギャフンと言わせてやる!」

 

レミリアはやる気満々だ

まぁ地べたを舐めるようなことをさせられたからまぁ…

 

「…!?」

 

「な、何だこの振動!?」

 

「墜落してるわ!衝撃に備えて!」

 

機体がグルグルと回る

無論のこと機内もミキサー状態だ

瞬間、壁に穴が空いて咲夜とレミリアが外に吹き飛ばされる

 

「咲夜!レミリア!」

 

「腹が…腹からなんか出―――」

 

魔理沙がそういいかけた瞬間、一段と強い衝撃が2人を襲った

 

「ぎゃ!?」

 

 

振動が止まり、ようやく平穏が訪れる

 

「いてて…なにが起こったんだぜ…」

 

「…これは」

 

窓の外を見た霊夢が驚きの声を零す

思わず魔理沙も窓を覗く

 

「こりゃ…」

 

そこは湖…いや、それを超える水源だった

幻想郷に居る彼女達は知らないが、これは海である

その砂浜にロケットは不時着していた

ハッチから出ていく

 

「よぉ、災難だったな」

 

「…斬鬼?」

 

すぐそこに斬鬼が居た

彼は手をフラフラと振った

 

「スキマから派遣されてな、へへ」

 

「…アンタのワープホール、使えばよかったわ」

 

恨むような視線を送る霊夢と魔理沙

その視線をものともせずに葉巻を咥える

 

「言わなかった方が悪い、で」

 

斬鬼は後ろを見る

 

「何を見ているんだ、依姫」

 

「…斬鬼?」

 

そこに居たのは紫髪ポニーテールの女だった

その眼光は斬鬼と同じように鋭い

 

「久しぶりね、何千ぶりかしら」

 

「昔はまた今度、立場上これは見過ごせないだろ」

 

「…それもそうね」

 

依姫は霊夢と魔理沙に視線を向けた

そして剣を地面に突き立てた

 

「おっと」

 

「んな!?」

 

「これは…!」

 

斬鬼は即座に避けた

剣が地面から大量生え、2人を閉じ込めてしまった

 

「…祇園様の剣」

 

「そのとおり」

 

無数に生えるはただの剣だ

彼女の能力もあるが、その剣の効力もある

 

「簡単に神の攻撃を避けないでください」

 

「無理」

 

斬鬼は葉巻を吸いながらそういう

…そういえば女中が育てたあの3人出会って無かった

帰ったら会いに行こうか

聞いた話によれば3人別々の所に行ったらしい

 

「…レミリア!」

 

霊夢が叫ぶ

その先には咲夜とレミリア、依姫に走る玉兎だ

 

「すみません依姫様!腰が抜けて逃げて…」

 

その発言に頭に手を当てため息をつく

斬鬼も同じような気持ちだった

天狗であっても戦いはするだろう

 

…ここの奴らは訓練を怠っているのだろうな

 

普通、訓練された兵士というのは立ち向かう

捕虜にされるという恐怖はあるが、それでもだ

命令だし

 

「…―――」

 

と、依姫がレミリアに向かって術を唱え始めた

 

「!それは…」

 

と斬鬼が零すと咲夜がいつの間にか羽交い締めしていた

いきなり羽交い締めされたことに依姫は驚く

そして剣から手が離れたのを見て時を止めその剣を抜く

 

「っ…」

 

「ヤバいぜ…」

 

「この月に何しに来た」

 

依姫は柄に手を添える

 

「…何しに来たっけ」

 

「あ、それな」

 

依姫がずっこけた

あんな派手な物に乗ってきて、捕らえようとしたのにこれだ

2人ともここに何しに来たか分かっていないらしい

 

また祇園様の剣で封じる

 

これで己の疑念は晴れると依姫は喜んだ

 

彼女達を諦め、咲夜とレミリアに視線を向ける

 

「そうねぇ…」

 

レミリアは妖艶に笑う

 

 

 

 

 

 

 

 

「月を侵略しに来たの」

 

 

 

 

「…そうですか…貴方は?」

 

依姫は最後の1人、斬鬼を見た

彼は葉巻の煙を吹かす

 

「そうだな、旧友の用でね」

 

「…あれですか」

 

この少し前に永琳からまた手紙か届いたのを依姫は記憶している

そこには懐かしい友人が行くと書かれていた

 

「…ねぇ、アンタ」

 

霊夢は依姫に言う

 

「ここは美しく、弾幕ごっこでするわよ」

 

「…斬鬼、弾幕ごっことは?」

 

「お前は殺傷力の無い攻撃をすればいい」

 

斬鬼はそれだけ言った

咲夜が前に出た

 

「…行きます」

 

「来なさい」

 

 

 

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