1匹狼の幻想郷帰還   作:回忌

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敗北

「…そろそろね」

 

斬鬼と依姫の戦闘具合を見て呟く

ちなみにどちらとも容赦など無い

霊夢達の時だって殺傷力の無い攻撃(ないとは言ってない)を大量に放っていた

斬鬼もあれ当たらなければエエカくらいに思っていたのだ

こういうのも何だが、頭イカレている

 

…友人として無礼なのは分かっているが

 

「今のうちに侵入しましょう」

 

「分かりました」

 

この機会を逃す訳が無い

己の能力は探知されない事を紫は分かっている

 

ただ、例外は常にあるものだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…それこそ、術が仕掛けられていたこととか

 

「…これは!?」

 

スキマを抜けた先にあるのは月の都では無く幻想郷

それは見慣れたいつもの幻想郷であった

だが、紫は幻想郷に行き先を設定した訳では無い

 

「紫様!月が!」

 

月か僅かに欠けていた

今日は確実に満月

そしてまだ1日も過ぎていない

これは、どういう事だ…

 

いやまて、私は知っている

 

こんな事を出来る人物を知っている

 

「…あの医師」

 

永琳なら、出来ないことも無い

何故なら満月を永遠に出したから…偽物の

あれは偽物の月だろうか

だが、月に行けなくなったのは確かだ

 

「その通り、これは先生の仕掛けたトラップよ」

 

ロケットからある人物が降り立つ

それは豊姫だった

その姿もあの時と変わっていないと斬鬼が居たら言うだろう

だが、その横には青髪の玉兎も居た

 

「…」

 

紫は手をだらりと下げた

口は半開き、呆然としているのは確実だった

豊姫は静かに聞いた

 

「さて、私と1戦交えるかしら?

 斬鬼が良かったけど、依姫が行っちゃったから」

 

 

「…参りましたわ」

 

首元に突きつけられた扇子を見ながら言う

その扇子は凄まじい浄化の力が入っている

それを紫は承知の筈だろう

 

だが、紫は大笑いしていた

 

まるでベーリング海症候群にかかったみたいだ

本当に爆笑している

 

「あはは、私達の負け!降参よ!」

 

そして土下座までする始末だ

彼女達は光る糸で拘束された

それは妖怪ならば決して逃げれない縄だ

 

…斬鬼に対して機能するか議論されているのは内緒として

 

 

豊姫の腰にあるデバイスが揺れる

それを耳に寄せた

 

「…終わった?こっちも終わったわ」

 

結局地上の民は勝てなかったのだ

と、紫は落胆した

斬鬼であっても勝てないものは存在する――

 

「え…斬鬼に刀折られて降参したの…」

 

なかったわ

月の民であろうと勝っている

では何故終わったと言っているのか…

 

「…まぁいいわ、これで疑いは晴れた」

 

そう言うと彼女はどこかに消えた

それと同時に光る縄が解かれた

 

「…申し訳ありません」

 

「大丈夫よ、あっちは順調だわ」

 

「え?」

 

紫は心底楽しそうに言った

 

 

「終わったのね」

 

届いた手紙を見ながら永琳は言った

依姫達の冤罪が解けて何よりだ

師匠として嬉しい限りである

 

「えいさー」

 

「ほいさー」

 

外から餅を打つ音が聞こえる

これで全て解決したのだ

 

「…はぁ」

 

そう理解していても、何故か腑に落ちない

 

何かが足りないのだ

 

…なんだ?

 

何が足りない…

 

永琳はその答えを手紙を見ながら思案していた

 

 

「だーかーらー、何よ」

 

「この25日間何してたんですか!?」

 

文は叫んでいた

この25日間、霊夢だけが帰ってこなかった

斬鬼でさえ10日で帰ってきたのだ

なお本人によれば「旧友と酒飲んでた」らしい

文にとっては一瞬の出会いだ

だが、彼にとってはそうじゃないらしい

 

「ちょっと野暮用があったのよ」

 

「それはなんなんですかって聞いてるんですよ!?」

 

「はぁ…疑いを晴らしに行ってたの」

 

霊夢は事の顛末を簡単に話した

どうやら月の都自体かなりピリピリしていたらしい

何やら裏切り者が居るとか居ないとかで大騒ぎだったらしい

組織ではない霊夢からしたらどうでもいいことだ

だが、組織である文からすれば、大変なことである

 

一瞬で弱点を晒す事になるからだ

 

「はー…月の都とはどんなところで?」

 

「摩訶不思議よ、本当にそうとしか言いようが無いわ」

 

月と地上の技術は全く違う

 

河童はMETALGEAR・REXを作るが月人はEVAを作る

 

これくらいの違いだ

はっきりいって何が違うというのか

 

「近づけば開く扉とかまさにね」

 

「おお!それは凄いですねぇ!」

 

聞いたことの無いものだ

だが、河童達が実用化していたような…

 

それと斬鬼が近々装備を近代化するらしい

 

そろそろ装備をハイテク化すると昨日宣言した

無論反対は少なくなかったが…それでもだ

斬鬼を支持するものは少なくないのだ

というより彼を敵に回そうなら斬鬼に味方するものは沢山居る

 

それが不利益を被ろうとだ

 

「…あぁ、あれもあるわね」

 

「なんですか?」

 

「とても見覚えのある2人を見たのよ」

 

「霊夢」

 

そこに咲夜が現れる

 

「何?」

 

「お嬢様がお詫びに海に連れて行ってくれるそうよ」

 

「本当に?じゃあ行くわ」

 

「それでは私も!…?」

 

と、鴉が飛び立って行った

今のは一体何なのだろうか?

まぁいいや、と文は思考を止めた

 




最近返信してませんがちゃんと目を通しているので安心を

…そして本当にくだらない斬鬼と舞の喧嘩のお話



「…」

「…」

2人は向き合っていた
だが、それはいつもの夫婦の和やかな雰囲気では無い

それは戦いの雰囲気だった

斬鬼は少し焦った顔を

舞は能面の様に無表情で皺の寄った顔を

何故こうなったか、それは両者が挟む岩の上にある
そこに置かれているのは1つのツボ
その壺には酒が入っているのだ

ただの酒では無い、極上の酒だ

それこそ勇儀や萃香の様な鬼が喉から手が出るほど飲みたいくらいの、だ
それが目の前に、一壺

…そしてラッパ飲みする気で2人はいる

つまりこれは酒の取り合いだ
なんとも変な事に本気な夫婦である

「――!」

「――!」

両者の目が見開かれる
そして手が電撃的に出された

斬鬼は手を広げ、舞は人差し指と中指だけを広げていた

そしてこれは…ジャンケンだ

「…くそっ」

「お前に私は倒せない」

手を下ろさず、無表情にそう言う舞
斬鬼はまた突き出した

「――!」

斬鬼の握りこんだ拳

舞の細い磁器の様な美しく開かれた手のひら

また、斬鬼は負けた

人差し指と中指を伸ばす

きゅっと握られた拳

また負けた

手のひらを広げる

人差し指と中指を伸ばす

負けた

「その程度?」

首を傾げて舞は言う
斬鬼は四つん這いに倒れ込んだ

「くそぅ…」

斬鬼は拳を地面に叩きつける
舞は嬉しそうに拳を握る
しかし、彼女は想定していなかった

まだ、彼が諦めていない事に

そして、彼がある攻撃をした事に――

目を見開き、四つん這いから立ち上がる
そしてその反動で拳を殴るように前に出す

そして――人差し指と中指、"親指"を伸ばした

「…へへへ」

斬鬼はニヤリと笑った



「く…あっ…ぐぅ…」

…ここは何処だ
私は白い空間をふらつくように歩く
下駄がカタンと歩く度に鳴った
気配を感じ、顔を上げるとそこには斬鬼が"3人"立っていた

三人は拳をこちらに向けていた

それは3人ずつ違うものだった

1人はパーを

1人はチョキを

1人はグーを

三人はそれを舞に突きつけていた


そして、いつの間にか舞の周りを旋回し始めた

「…くぅ…あ」

チョキを出す
だが、三人の内1人がグーを出す

ならばとグーを出す
それは三人の内1人の斬鬼がパーを出した

三人が合体し、突きつける

その拳は人差し指と中指、親指が伸びていた

――こんなもの、勝てるわけがない

「うぐあ!あぁ…」

私は四つん這いに倒れ込んだ
こんな事…ありえない

ありえない

ありえない――!

「うわあああああああああああぁぁぁ!」



「――小賢しい真似を」

「卑怯者――っ!」

いつの間にか茂みに居た白狼大天狗の青年が叫ぶ
斬鬼の顔面に何かが突きつけられた
それは河童が開発した核弾頭発射装置だった

「舞いぃぃーっ!」

後ろから天月が舞を押さえつけようとする
斬鬼はその隙に木の裏に隠れる

「同志に核を使うん――」

最後まで言わせることも無く、舞は天月を地面に突き立てる
そして核弾頭の先端を木の裏に居る斬鬼に向ける

「出て来なさい!」

「やかましい!」

その言葉に吹っ切れた舞が叫ぶ

「終わりよ――っ!」

カチリとトリガーが引かれた

「うおおおおおおおおおおおお!」

この日、世界で2番目の核爆発が起きた



「お前ら、何やったか分かっとんのか?」

「「ハイ…」」

文が拳を握りながら青筋を立てている
まぁこうなるのは予測できていた
はぁ、と文がため息をついた

――

これ誰かイラスト化して欲しいぜ…
それ以前に斬鬼と舞の画像出てないわ
…書くか

それに加え画像の受け取り方法知らない人(作者)
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