1匹狼の幻想郷帰還   作:回忌

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グロ


許さない

「…つ」

 

「喋る気になったか?」

 

私は暗い空間に閉じ込められていた

いや、光を感じないのだ

両目を潰され、変な術をかけられ回復出来ない

逃走が出来ないように右手右足をちぎられている

翼も左が折れてしまっている、これも術で治らない

 

「…」

 

「ふん、喋れないフリか」

 

そいつはふんぞり返った様子…多分どうせそう…で言った

だが、私は喋る訳にはいかない

神風部隊でこれ以上の苦痛は受けている

 

「まぁいい、あとは時間が解決する」

 

「…どういうことよ」

 

思わず言葉が漏れる

そいつが薄く笑ったのが聞こえた

 

「人里を仲間が襲撃する、それだけだ」

 

「…っ!そんな事したら――」

 

「ようやく感情を出したか…まあいい、そこで見てろ」

 

痛み

 

奴が私を殴ったのだろうジンジンと痛む

畜生、と心の中で呟く

 

「おい、そろそろ行くぞ」

 

「お、お前か…こいつは雑魚共に任せておこう」

 

「…!その声――」

 

瞬間、声が出なくなった

 

「言わせないぜ、お前さん」

 

声を出そうとしても出ない

首に冷い感覚が感じられる

…斬られた

 

「じゃ、後はよろしくな」

 

「―――!っ!!!!」

 

裏切り者、と叫ぼうとするが声が出ない

出るのはヒューヒューと風の音

私は壁にもたれかかった

ポツリと心中で呟く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…助けて

 

 

一方その頃、斬鬼は自宅に着いた

だが、そこにはある者が倒れていた

 

「おい、お前さんどうした」

 

「…斬鬼様…申し訳ありま…せん」

 

彼女は少し顔を上げるとパタリと倒れた

斬鬼は首に指を当てる

 

「脈はある、襲撃されたか…?」

 

「その通り」

 

厳かな声が聞こえた

それは自宅の屋根だった

 

「…お前は」

 

天月が槍を構える

舞と椛も警戒し始める

 

「俺は手前らに散々コケにされてきた大天狗だ

 今日ここでお前を討つ!」

 

「やってみろよ」

 

「そういうと思っていたぞぉー?手前ならな」

 

2人が躍り出る

それも会議で見た反対派の大天狗だった

舞と椛が武器を構えた

大天狗がつまらなさそうに椛

 

「ふん、売女が…」

 

「あなた達に尻尾を振るわけにはいきません」

 

「は、雑魚な能力しか持たない癖よく言う」

 

椛は感情を抑えながら大剣を構える

 

「さて、パーティの始まりだ!」

 

「…貴様、俺の家に何をした」

 

そう斬鬼が能面の様な顔で言う

少し息を飲んだ後、大天狗は嗤う

 

 

 

 

 

 

 

「簡単な事…こういうことだぁー!」

 

瞬間、爆発が起きた

屋根がめくり上がり、瓦が吹き飛ぶ

崖からガラスが吹き飛んだ

もうもうと湯気が立ち上る

火災が発生した、家を燃やし尽くす

 

「…」

 

「ひは!その顔が見たかった!手前のその顔が―――」

 

そいつは狂ったように嗤う

本当に楽しそうにだ

斬鬼が絶望する顔を見て―――

 

だが、彼らはある誤算をした

 

 

「お前」

 

「っあ!?」

 

斬鬼が問いかける

何も感じられない顔で

 

「彼女の墓を、破壊したな」

 

「ん?あの墓かぇ?」

 

「あぁ、あれか!あのお前がいつも祈るあの!」

 

「面白くないからな、爆破してや―――ひ!?」

 

一瞬、大天狗は刺されたのかと感じた

それ程の殺気が襲ってくる

 

「…よくも」

 

 

 

その誤算はあの墓を破壊したことだった

 

 

 

斬鬼は手のひらをそいつに向ける

大天狗は体の異変を感じた

 

「あ?」

 

気づけば己の体は倒れていた

顔を向けてみると、足が無い

 

「波動という物は体を作る元だ」

 

斬鬼はゆったりと近寄る

そいつは芋虫のように後ずさる

 

「く、来るな!」

 

「その元が無くなれば、それ自体無くなるんだよ」

 

「ま、まさか…」

 

こいつの能力、それは…

そう考察する頃には大天狗は首根っこを捕まれ、持ち上げられる

斬鬼は躊躇うことなく黒刀を心臓刺した

ドス黒い霊力が大天狗の重要器官を破壊していく

彼の耳元で斬鬼は囁いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「冥土の土産に言ってやる

 俺の能力は"波動を操る程度の能力"だ」

 

ワープホールの原理も

 

人の波動を見れるのも

 

全てこの能力のお陰だ

 

大天狗が塵に変わった

残り2人の内一人はいつの間にか起きた女中に喉を貫かれていた

 

斬鬼は最後の1人に近づく

 

「ひ、ひぃ!」

 

「…」

 

この時、第三者から見れば、恐怖を催すだろう

血まみれの男が、瀕死の男にトドメを刺そうとしている

 

「…生かしておけ、軍法会議の時に審議する」

 

斬鬼はそう吐き捨てると身を翻して

自宅に向かった

 

「…捕らえるぞ」

 

「分かりました」

 

椛は機械的に作業した

 

「…あなた」

 

ポツリと舞は呟いた

 

 

斬鬼は焼け跡の中で立ちすくしていた

既に火は止まっている

見たところ爆破されたのは当主の部屋、応接間だ

再建は鬼にでも任せればいい

斬鬼は温泉が爆破さていない事に安堵しながら"そこ"に向かった

 

そこには、無惨に吹き飛んだ墓石があった

 

斬鬼は膝を落とす

 

そして小さな嗚咽の声を漏らした

 

「…凛…凛っ…!」

 

そこに"骨は無い"

かつて殺した人間はあの桜の下で眠っている

あの花畑の元で

 

「…うぐあ…ああ…」

 

ぽたぽたと涙が落ちた

斬鬼は暫し泣くと涙を拭いて立ち上がる

そこに先程の静かな泣き顔は無かった

身を翻すと、彼は仲間のところに向かった

 

 

「…斬鬼、大丈夫か?」

 

いつの間にか来た青年が尋ねる

彼は大丈夫だ、と答えると、命令した

 

「文を助けに行く」

 

「どこに居るんだ?」

 

「大天狗の所だろう、監禁するならそこしかない」

 

天月の質問にそう返す

斬鬼はそれ以上何も言わずに飛んだ

なんとも言えぬ空気が満たされる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…彼の家、新築しないと」

 

椛はポツリと呟いた

 

 

 




生け捕りにする?

己の大切な物がぶっ壊されて出来るわけないだろ
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