「痛い…」
「手加減した方だ。感謝しろ」
頭に大きなたんこぶを作られた紫
こいつの能力や性格上こういうのは仕方ないと思うが時にはこうしなければならない
それでも覗き見やらを止めない所をみると本当に面倒だ
斬鬼はどうしてこんな奴と会ったんだろうか…
用意してあるご飯を食べながら話しかけた
今日は典型的な和食だった
「で、何用だ」
「いやねぇ…本当に来てくれるとは思わなかったから」
「そろそろ戻ってもいいかと思ったんでな」
「まぁ帰ってきてくれて嬉しいわ」
斬鬼はなにかを思い出したのか手を止めた
「そういえば5月というのに雪がまだ降っていたな」
そう聞くと紫は「ああ…」と声を漏らした
斬鬼は何があったのか聞いた
「春でも奪われたのか?」
「ええそうよ…彼女に」
「…幽々子か?」
春を奪う。という行為については目星がついていた
アイツならいつか気になって咲かせようとすると紫に警告したから
少し紫の顔に影が入った
「…予想していた事が起こったの」
「…咲いたのか」
「そうよ、あの忌々しい桜が」
斬鬼にとっても紫にとっても忌々しい記憶だった
アレがなければ幽々子は今頃転生を繰り返していたのでは無いかと思うくらいに。
その桜の名は
「西行妖…よく封印できたな」
「ええ、霊夢達の活躍があってこそね」
「完全では無いんだろう」
それを聞いた紫は目を見開いた
観念したように声を絞り出す
「…一年」
「短いな…今代の巫女は力不足か?」
「いえ、それは身体を使う時ですわ…弾幕ごっこでは最強」
「アイツに比べれば…だ」
「彼女と比較すれば代々の巫女は弱いわ…それを殺した貴方はどうかしら」
「…ふぅ、ご馳走様」
ことりと置いた皿を女中が持っていった
インナーの裾を引っ張って離す
そして背を伸ばした
「明日宴会があります」
「異変解決祝いにか?封印出来てないのにな」
「それは貴方に任せますわ」
斬鬼は困ったようなジェスチャーをした
「どうだか…俺の封印で今日までだ」
「これだけ続いたなら良い方でしょう」
「…取り除くしか無いか」
「封印では無理だと?」
「あれは桜という生き物だ…学んでいるだろう」
「同じことを繰り返しても期間が短くなるだけ…ね」
「そうだ、だが枯らしてしまえば…幽々子も死ぬ」
「完全なる成仏…冥界の管理はその従者かしら」
斬鬼は少し納得した様子で言う
「アイツがに亡霊化?有り得んな」
「彼はもう行方不明よ…何処に居るか知っているけど」
「俺は手合わせを願われた…丁寧に俺を探し出してな」
「執念ね」
「ふう…宴会は俺も出るのか?」
「無論」
「目立つのは嫌いだ」
「当主の時点で無理よ」
「それもそうか…」
斬鬼と紫は笑った
そしてスキマを開いた後紫は
「それじゃ、明日の準備をしておいてね」
「変わりないさ」
斬鬼は帰る紫を送ったあと自分の部屋へと向かった
当主の部屋に入ると誰が居た気配がした
見てみると窓が揺れていた
机の上に置かれていた古い書類が新しい物に変わっている
そしてその山の上に手紙が置かれていた
斬鬼は手に取ると中身を見た
『働け』
たった2文字。
それなのに誰が書いたか分かる筆跡だった
最速の天狗が届ける辺り人手が足りていないのだろうか
ともかく、帰ってきたなら仕事しろという訳か。
斬鬼は風で回っていた椅子に座ると羽ペンを取る
久しぶりのデスクワークだ、思い出していこうか
〇
「これをこうしてこうだな」
紅白家当主としての仕事をしていた
予算やらなんやら本当なら天魔がやるべきだろう
彼が着ているのはいつもの服に黒と金の刺繍がある服
これの身分の為だけに作った特注品だ
そんな斬鬼に声がかけられた
「終わったか?」
声を掛けてきたのは天月 風。
今天魔になる為の手続き等をしている
見た目は自分と変わらないくらいの若さだ
服は山伏の衣装に黒い刺繍がしてある
斬鬼と違って金の刺繍は無い。
天魔になる事は大変名誉な事だが本人は嫌だったらしい
本人曰く天魔になると色々変わるから嫌らしい
それでもなったのは推薦が多すぎたからか
ちなみに大隊を指揮するくらいに位が高い
これから一番高くなるけど。
「ああ、風。お前はどうだ」
「私の方は大体片付いた」
「やはり風を天魔に薦めて良かったな」
いきなり聞こえてきた声に振り返る
「文?そっちは?」
天狗がよく着る山伏の衣装に身を包んだ鴉天狗が居た
彼女の名前は射命丸 文
神風部隊の諜報班を指揮している鴉天狗だ
彼女自身鴉天狗の中ではダントツに優れている
特にスピードは神風部隊の中でもトップクラス。斬鬼も超えている
次代天魔に推薦されていたが辞退した
風はなんで辞退するのだバカと言われていたが気にしていない
「こっちは完了よ…奴らクーデターを目論んでいるらしいわ」
「先に潰しておこうか」
「待て、斬鬼。私にいい考えがある」
「どんな考えだ?次代天魔」
「それはだな…」
〇
「放っておく…ね」
書類の山がどんどんと小さくなっているのを確認していく
最初はささっと書いて後々確認するのだ
訂正があればなんとか出来るだろう
書類こ内容としては河童が費用を出して欲しいだのきゅうりほちいとか
食料の供給ルート確認に私生活の監視、態度評価表…
俺がやらなくていいじゃねぇかコノヤローという物が多い気がする
古い書類の一枚を紙ヒコーキにして窓から飛ばした
中は愚痴をぐちゃぐちゃに書いた悪口である
名前は書いていないのでヨシ。
「それで本当にクーデターが起こって無いところをみると本当に…」
斬鬼はそう言いかけて止めた
そういえば河童達は今何をしているのだろう
書類はもう終わったしやることは届けるだけだ
届けたら少し向かって見ようか…斬鬼はいつもの服を着ると
書類を抱えて外に出た。
風の考えについてはコンボイくらいに信用出来ます
但し五分の一で失敗する