1匹狼の幻想郷帰還   作:回忌

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諏訪大戦(壱)

斬鬼は黄昏ていた

これとなく、岩の上で足をプラプラとしていた

今の山はかなり安定しており、そんなに問題も無い

人間との関係もかなり友好だ

 

「よぉ、斬鬼」

 

「あぁ、お前さんか…どうした?」

 

そんな斬鬼に話しかけてきたのは白狼大天狗の青年

堂々と職務をサボる斬鬼にため息をついた

 

「いやなに、最近世の中物騒じゃないか」

 

「そうかね?」

 

「知らないのか?」

 

青年が言わんとしていることは分かる

なんの事かと言うと…

 

「諏訪と大和なんてここに来ないさ」

 

「そうだといいがね…」

 

それは大和と諏訪の戦争である

神々の戦いと言った方がいいか…

ともかく、異国の大和が攻めてきたのだ、この国に

 

「俺たちには関係無いな、どちらにもつかない」

 

「傍観者ってか?いつもの」

 

「来る者拒まず去るもの追わず、そういうことさ」

 

青年はいつものスタンスだな、と思った

何か問題ごとがあれば解決する

何も無ければいつも通りに過ごす

斬鬼のいつものどおりだった

 

「…だが、まぁ」

 

斬鬼は言葉を繋いだ

 

「ちょっかい出してくるとは思わなかったが」

 

「…は?」

 

青年は思わず斬鬼を見る

斬鬼は地上を見ていた

数秒すると、風が巻き起こった

顔を向けると文が羽を動かして浮遊している

 

「斬鬼、敵襲だ」

 

「勢力は?」

 

文はため息をつきながら言う

物凄く呆れた顔で

 

「妖怪は皆殺しって言ってるから大和の方だ」

 

「了解、迎撃するか」

 

「体制は大体整ってる、防衛戦で大丈夫か?」

 

斬鬼はこくりと頷く

 

「あぁ、ここにちょっかい出してくるということは小物だ

 恐らく手柄が欲しかったんじゃないか」

 

文と青年がため息をついた

 

「どこにもそういう奴は居るか…」

 

文は攻めてくる阿呆共を見ながらそう言った

斬鬼はわざとらしく手を広げて肩をすくめる

 

「ま、異国も変わらないってこった」

 

「少しは変わって欲しかったな…」

 

「無理だろ…変わらないなら、俺みたいな奴が居るかもな」

 

斬鬼は水平線を見た

この妖怪の山はかなり高く、ここから海が見える

大和が上陸したのは百済とかそこから…今で言う中国地方辺りから…

まぁともかく、上陸するところは見えなかった

 

「さっさと片付けよう」

 

「この風で吹き飛ばしてやる」

 

「さて、やりますか」

 

各々が戦場に飛ぶ

部下に任せてもいいが、上司が何もしないというのも癪だ

仕事はしっかりしようと斬鬼は思った

 

 

「皆殺しだぁー!」

 

「絶対に入らすなよ!」

 

麓では神の力を持つ者と天狗の戦いが繰り広げられていた

といっても使者とか神主とかの奴らだ

所々に小さな神力の神も居る

多分、手柄を上げたかったのだろうな

 

…狙った場所が悪すぎるが

 

敵の数はそんなに多くなかった

どうやら少数派だったらしい

 

「防衛線を崩すな!」

 

「喰らえ!」

 

神の攻撃は激しい物だ

だが、こちらの反抗も凄まじいものだ

 

「斬鬼様達が来るまで耐えろ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――もう来ている」

 

1人の名も無き神の首が落ちる

そいつは光の粒子とともに消える

信仰があれば、幾らでも生き返るだろう

 

斬鬼はそれを承知で斬った

 

「形勢逆転だな」

 

青年が構える

 

「早く終わらせよう」

 

文が紅葉型の扇子を構えた

神々とその部下が震える

 

「行くぞ」

 

3人は戦場に身を投じた

 

 

「呆気ないな」

 

あれから指揮系統をボコボコにした

すると蜘蛛の子を散らすよう逃げていった

どうやら雑魚な神について行っただけのようだ

 

「面倒だな」

 

文がつまらなさそうに言う

その気持ちは分かるぞ、と斬鬼は呟く

 

「思ったより雑魚だったな…」

 

青年も思ったことを言った

はっきり言って神風部隊の普通隊員より弱い

本当に手柄が欲しくて、狙ったのだろうか

 

いや、考える脳が小さすぎたのだろう

 

「…総員、配置に戻れ」

 

そう斬鬼が言うと天狗達が状態を調べ始めた

壁の損傷具合、被害、悪影響…色々だ

見た限り被害は小さい様だ

 

「この程度なら直ぐに修理されるな」

 

1日位だろう、修理期間は

河童達の技術は凄まじい物だ

てこの原理を利用して思い物を動かしたり…

どちらかというと人間の役に立っている

 

「ま、妖怪の役にも立つがな」

 

斬鬼はそう呟いた

 

「…はぁ」

 

ため息をつく

にしても本当に面倒なものだ

神々の戦争に首を突っ込む気は無い

だが、あっちから突っ込んで来たのだ

ここで抵抗したから絶対目をつけられるな…

 

「さっさと戻ろう」

 

青年が急かす

斬鬼は頷くと、里に向けて歩き始めた

 

 

天狗の里だ

民家は人間と変わりない和風の家だ

相異点は壁から出来ているか崖に作られているかだ

鴉天狗達の要望が圧倒的崖や壁らしい

隻眼天狗である己にはよく分からないが…

鴉天狗というものは空を飛びたいらしい

文もそう言っていた、本当によく分からない

 

「摩訶不思議だなあ…」

 

その組織の1人である自分が言える訳では無いのだが

歩いて居ると、妻を見つけた

よく見ると娘が舞の腰に抱きついている

天月と仲良く話し合っている

 

「何を話していたのさ」

 

「世間話、馬鹿な神が攻めてきたってな」

 

「本当に面白いんですよー、ねぇ?旦那もそう思うでしょう?」

 

「そうだな」

 

はははと響く笑い声

そんな笑い声を邪魔するように

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴様らが私の兵士を潰した妖怪か?」

 

そんな声が後ろから聞こえてきた

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