1匹狼の幻想郷帰還   作:回忌

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少し長め




「いやー、天人もやってくれますよねぇ」

 

舞がお茶を飲みながら言う

その顔は比較的穏やかな物だった

 

「母さん、落ち着いてますね」

 

「冷静にならないと物事を見失いますよ、ええ」

 

ずずずと茶を啜るのは舞と椛

今いるのは紅白家である

机を挟んで、正座しながら

 

因みに、今さっき斬鬼が神社に言ったところだ

 

「ですよね、冷静を失うとろくな事になりませんから」

 

そのまま、窓から天を見た

いつもと変わらぬ青い空

 

「あら、天気が相殺し合ってるのかしら」

 

「そうみたいですね、魔理沙の所は霧雨が降っていたそうで」

 

そう、天気がおかしいのだ

各々、実力者のいる所の天気が変わっている

魔理沙なら霧雨、鈴仙なら風…という風にだ

 

椛は手を伸ばす

その指先から、煙の様な物が上がっていた

 

「なんでしたっけ、これ」

 

「緋色の雲、それの端…なんと言えばいいのやら」

 

舞がお淑やかに笑う

実際の所、なんと言えば分からないだけである

父が飛び出していったのは少し心配だが、待つしかない

 

あの人が怒ったら、手をつけられないから

 

「最近は異変尽くしですねー」

 

ずぞぞっとお茶を飲む

舞がお茶を注ぐ

 

「えぇ、霊夢ちゃんが飽きない良い事でしょう」

 

「お母さん、意地悪ですね…」

 

「だって、そうでしょう?」

 

舞がからからと笑いながら言った

あはは、と笑いながら椛は言う

 

「そうですね

 私達妖怪からすれば飽きないでしょう

 ま、彼女達からすれば傍迷惑かもしれませんが」

 

「人間は脆すぎるからねぇ」

 

ずずずとまたお茶を飲む

そこで、舞が煎餅を出した

 

「どう、食べる?」

 

「それでは御言葉に甘えて」

 

バリバリと食べる

塩と醤油がいい感じだ

 

結構、美味しい

 

「お茶だけじゃ楽しく無いでしょう?」

 

「むしろお茶だけでよく彼処まで会話出来ましたよね」

 

「それ程暇だったのよ、私達ね?」

 

舞が煎餅を食べる

パリパリと、ゆっくりと食べていく

それに、椛は少し違和感を覚えた

 

「いつもみたいに食べないの?」

 

「早食いも風情が無いでしょ?遅く食べるのも良いのよ」

 

ゴクリと砕いた煎餅を飲む

いや、煎餅ってそんな食べ方じゃあ…

 

「…」

 

「?どうかしましたか?」

 

と、そこで舞が何処かを見る

部屋の何処か、だ…何か居るのだろうか

 

そう思っていると、ワープホールが開いた

 

あれは、確かお父さんの…

 

「…お呼びのようで」

 

舞がそう呟く

そして、重そうに腰を上げた

 

「少し、出ます」

 

抑揚の無い声で、そう言った

 

そして、ワープホールに入って行った

 

「…煎餅独り占めしちゃお」

 

椛は、あっけからんとそう言った。

 

 

扇子が振られる

金色の髪が何本から宙に舞った

 

「危ないわね…」

 

紫はそれを傘と弾幕で制圧する

だが、舞はそれを掻い潜って扇子を首に突き刺そうとする

 

彼女の戦闘能力は紫の上を行く

 

単純な年の功というのもある

だが、圧倒的に違うのは修行の質と数だ

 

基本、大妖怪というのは修行しない

 

飽きに飽きた物達は基本暇だ

それこそ、幽香が花の面倒を見るようになったように

人をおちょくったりして、力を上げる

 

だが、強くなる為に一番手っ取り早いのは修行だ

 

斬鬼と舞はそれを理解し、やってのけた

強いと言われた妖怪を叩きのめし、ひたすら得物を振る

 

それが人間でも、外来妖怪でもだ

 

「…これで」

 

「永劫弾幕結界」

それは無数の弾幕が結界の様に対象を囲い、叩き潰す

基本、この技から逃れる術は無く、避けしか無い

 

だが、彼女にとってこれは遊戯に等しい

 

何故なら、それはスペルカード

 

スペルカード・ルールが無い今は、意味を成さない

 

「…」

 

無言で弾幕を結界ごと斬り落とす

流石に、紫も冷や汗をかいた

 

「んな出鱈目な…!」

 

スキマで囲い、弾幕を放つ

が、まるで踊るように弾幕を避ける

 

「この…!」

 

そんな舞にひたすら弾幕を放ち続けた

 

 

「…」

 

「この…!大人しくしなさいよ!」

 

「無理な相談だ」

 

斬撃を見る

見た時には首が落ちると思った方が良い

彼の斬撃は音と光を置いてけぼりにするのだ

見た、と思えばそれは斬った後

 

つまり、全て予測しなければならない

 

斬られる前に避ける

 

斬った後に攻撃を入れる

 

その微妙な間合いを叩き込む

 

それを何度も繰り返す

 

「面倒な」

 

斬鬼がそう呟いた瞬間、刀が光った

 

「ッ!?」

 

大幣が飛んだ

いや、弾き飛ばされたのだ

 

最後に見えたは、斬鬼の構え

 

居合

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…?」

 

カァンと、金属のぶつかり合う音がした

 

それは、霊夢が斬られた音じゃない

 

「…間に合いましたよ、お父さん」

 

「邪魔をするな、椛」

 

大剣を両手で持ち、斬鬼の攻撃を防ぐ椛が居た

霊夢は後ろに引く

 

「お前…遅かったじゃないか」

 

魔理沙が呟く

 

「行く気はありませんでしたけどね…」

 

椛が体験を振り上げた

それを斬鬼は軽く避ける

 

「頭を冷やして差し上げましょう」

 

「あぁ、お前の、な」

 

刀を引き抜く

斬鬼は二刀流になる

 

手数で推していく

 

それが魂胆に思えた

 

「はぁ」

 

大剣を振り下ろす

避けられる

それを薙ぎ払うようにして、斬鬼の攻撃と相殺させる

 

斬鬼の刀とぶつかって、火花が散った

 

「稽古だ、稽古」

 

「頭を冷やせ」

 

冷淡に椛が言い放ち、ついでに殴る

斬鬼の腹に沈み込んで少し後ろに引く

 

斬鬼は刀で突いた

 

頭を狙ったそれを頭を傾けて避け、大剣を叩きつける

避けられる

 

「…ふん」

 

大剣での回転斬り

だが、それは少し違った

 

水を纏い、辺りに撒き散らしたのだ

 

斬鬼がビジョビショになる

 

「天水分神か、だがなんの意味があるかな」

 

斬鬼は言う

これだけだと彼女が意味の無いような事をしたように聞こえる

だが、水の斬れ味を舐めてはならない

 

もし、水が斬れ味を持たぬなら水圧カッターなぞ存在しない

 

先程の水を纏った回転斬りは、全てを切り裂く斬撃なのだ

 

「意味の無いことでも、あるかもしれませんよ」

 

弾幕斉射しながら飛ぶ

斬鬼は大概避けるか斬るかで対応する

それも、把握済みである

 

上からの叩きつけ

 

斬鬼も流石に耐えれないと気付いたか、避ける

そこで更に大剣を薙ぎ払う攻撃を加える

 

避けきれず、斬鬼が斬られる

 

「グゥ…!」

 

「頭、冷めましたか?」

 

「逆に燃えたぜ」

 

斬鬼は腹に出来た斬傷から血を出したながら斬る

大剣と刀では、重さが違う

 

少し、斬られた

 

「娘相手に酷いですね」

 

「父を斬った奴が言う言葉か」

 

「それもそうですか」

 

頬の斬傷を拭う

そろそろ、頃合かもしれない

向こうを見ると、舞が霊夢と紫、魔理沙を相手して涼しい顔をしていた

 

「覇ッ」

 

地面に刀を突き立て、抉るようにして振り上げる

そこから衝撃波が飛んでくる

 

良し、それをもう一度誘う事にしよう

 

「ふっ」

 

弾幕を放ちながら少しづつ近づく

 

「ならば」

 

斬鬼も負けじと弾幕を放った

 

赤、黄の弾幕と蒼の弾幕がぶつかる

 

「ハッ」

 

斬鬼は刀を地面に突き立てた

 

「はぁっ!」

 

そこを椛は攻める

思い切り突き立てた刀が簡単に抜けるはずが無い

コンマ1秒とて、それは隙に値する

 

「せい」

 

そこで、椛は大剣を地面に向けて叩きつけた

 

「何を────────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

斬鬼が、氷に包まれた

 

氷の中で、斬鬼がぱちぱちと目を閉じたり開いたりする

 

「井氷鹿、氷の神、ご存知無いですか?」

 

『…俺の負けか、畜生』

 

「えぇ、頭を冷やしてもらえて結構ですよ」

 

『物理的に冷やす奴が居るか』

 

「ここに」

 

『阿呆』

 

井氷鹿とは氷の神である

日本神話に居る氷の神…詳細は先生に聞こう

やったことは簡単、彼を凍らせたのだ

 

神の力で、全範囲は凍らせられる

だが、僅かな冷気で斬鬼に避けられる可能性があった

 

だから、最初に水で濡らしたのだ

 

全身が濡れた為、凍る事を避けられなかったのだ

 

「…終わった?」

 

「俺の負けだよ、畜生」

 

霊夢が椛に近寄る

ガラガラと氷が崩れた

 

舞が、瞳の輝きを取り戻して近寄る

 

「あらあら、人を使ったバツを受けてましたねぇ?」

 

「…すまんな、感情的になりすぎた」

 

「で、どうするよ」

 

魔理沙が天子を見た

手首足首に氷の枷があった

 

「処分するも良し、生かす、封ずる

 好きなものを選べ、俺は帰る」

 

「私も帰ります」

 

「お腹空いたわぁ、貴方?何か作ってね」

 

一家は皆帰って行った

霊夢と魔理沙はため息をついた

 

「幻想郷は全てを受け入れる、ね」

 

「仕方ないな、私達も帰るとするか」

 

視界の端に、天子がスキマに落ちたのが見えた

おぞましい末路を送るか、いや、それは無いだろう

博麗の巫女が迎えた、全てを受け入れる

 

ま、多少なりバツは受けるだろうなぁ…




シリアスになっているかも分からない作者
なってなかったらそれは全て嫦娥が悪い

そして骸骨車輪、俺は貴様を許さない
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