その体を蹴りあげる
僅かに避けられ、横を彼が通り抜ける
「…」
僅かに頬から血が垂れる
切られたか、すれ違いざまに
反応が遅れた事に叱咤しながら大剣を振り下ろす
横に避けられる
戦闘能力はかなり秀でているらしく、隙が無い
戦闘を重ねた者の腕に、その目付き
古くから山に居る天狗があの様な瞳をしていた
父、母、文、天月
冷たくて全てを冷徹に見るあの瞳
そして、常に油断の無い立ち回り
へらへらとしている文は昔はあんな人ではなかった
諜報班隊長として、威厳のある人
下を下に見、しかし決して侮らない女
だがまぁ、神風部隊が潰れてから人が変わってしまった
ただ、あの人とこの人を比べるのも吝かであろう
ナイフで突く
盾で弾く
2人の得物は片方は大剣で片方はナイフだ
刃渡りや質量も大剣の方が大きい
しかし、使いやすさでは大剣をナイフは凌駕する
素早い突き
大剣、それでいて妖怪である椛では少し再現に骨を折る
といっても疲れるだけだ、出来ない訳じゃ無い
お返しとして、それで攻撃する
まさか同じ速度で振られると思っていなかったのか、切り傷が生まれる
「…!」
目が少し歪んだ
どうやらちゃんと痛覚はあるらしい
それがわかって、安心したのは分からない
「…、……」
カラカラと音が鳴る
多分、彼は罵倒しているのだろう
声帯が無くなった訳では無いが、舌が無い時点で喋れない
だが、その顔で分かった
パンパンと拳を叩き、格闘戦に行こうする
パンチ
質量のともなったそれは肋骨をへし折ろうとする
腕で受けるが、衝撃がかなり重い
盾で上から叩き潰そうとする
それを避けられ、足を掴まれた
「しまっ――」
そのまま壁に放り投げられる
がゴン、と音がした体が壁に埋まった
壁からは黒い液体が埋まった所から垂れ出ている
「ぅ」
なんとかそこから抜けようとするが、ケツがハマって出られない
もがいていると彼がナイフを構えた
そして、投げようとした瞬間
「ッ!」
胸に痛み
ナイフじゃない
違う刃が腹を貫いていた
しかも、この形状、さっきの鎖と同じだ
そう感じる前に、壁に引き摺り込まれたのだった
〇
何処かから放り出された
空中、空中、空中
視界の情報はそれを確認する
赤く、現世とは違う空間だと改めて分かる
浮島が幾つか
ここはどこなのだろうか
死んだとすれば、彼岸なのだろうか
だが、ここは川など何処にも無い
地獄、というには少し違う
じゃあ、ここは
「貴女は知らなくていい、貴公は知るべき」
不意に声がした
振り返ると、見たことの無い緑髪の女が居た
空中に浮かび、きっちりと背を伸ばして棒で口を隠した女
その特徴からある答えへと繋ぐ
「…閻魔様?」
「そう、四季映姫・ヤマザナドゥ
ヤマザドゥじゃなくてヤマザナドゥです
作者含め色んな人から言われるんですよねぇ」
はぁとため息をつきながら映姫は言う
椛は何がなんだか分からなかった
だが、とりあえず大剣の握る力を強める
「意味の無いことだ、とりあえずなんて意味の無いことです
貴女の知りたい事はここが何処か、それだけだ」
彼女は目を細めてそういった
やはり閻魔、この方の前でこんなことは意味が無い
「何処ですか、ここは」
「辺獄ですよ」
辺獄
それは天国と地獄の間にあるとされている場所
ただ、この幻想郷に天国は無い
天界は天国では無く天人の世界だ
ならば辺獄は何か?
悔い改める、場所
「厳密には永遠に責め苦を与えられるところです」
「…そう、ですか」
椛は小さく呟いた
これから、永遠に戦うことになる
眠りなどの急速など一切無い、地獄の戦いが
「ですが、貴女にはまだ役目がある」
映姫はまたため息をついた
どうやら、彼女自身嫌だったらしい
目がそう語っていた
「貴女は確実に黒ですが…彼の願いならば仕方ありません
あの時の借りをこんな場面で使ってくるとは…」
バッと棒をこちらに突きつけた
瞬間、襲い来る岩の嵐
盾で防ぐ
「無駄です、それは貴女の罪
防ぐことなど不可能なのですよ」
「あぐっ、ああああああああああ!」
盾が弾かれる、体が晒される
大剣を持っていた右手がモロに嵐に飲まれる
次の瞬間には全てを飲み込まれていた
「それを克服するのです、さすれば貴女は戻れるでしょう
貴女が何を克服するか分かりませんがね」
体を赤い光が包み、光る
サッとそれは消えて彼女はどこかに行ってしまった
映姫はため息をつく
そして、くいと体を動かした
「…さて、私は彼の方に行きますか、はぁ面倒くさい」
…underswapを見てそれの東方版が頭に浮かんでしまった
どうしよう、東方逃亡録書きたいのにswap書きたい
アンケートだ!それが良い!