1匹狼の幻想郷帰還   作:回忌

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封印の剣

鬼の拳を避ける

だが、その衝撃波を避けきれずに少しよろける

 

「クソッタレ、やはり鬼ってのは出鱈目だ」

 

男はそういうと、銃を放つ

鬼は軽く左手で弾く

 

「50口径を防ぎやがる、銃は悪手か」

 

彼はそう完結するとナイフを構える

椛は大剣を構え、少し警告した

 

「鬼に近接戦闘はほぼ自殺行為と言っておきますよ」

 

「ほぼ、だろ。ならその少しの希望でやってやる」

 

そういって彼は近接戦に移行する

ナイフで数回突く

一応、効くには効くらしい

少し鬼が怯んだ

 

そこに追撃として大剣を叩き込む

 

これはナイフよりも効果があったらしい

先程よりも大きくよろめく

 

「今!」

 

「言われなくても」

 

彼は銃を鬼の口にねじ込み、引き金を引く

 

その弾丸は柔らかい口内をぶち抜いた

 

「――!!!」

 

「おいおい、まだ死なないってか」

 

「鬼ですからね、四肢分断させるくらいしないと」

 

リロードをしながら言う彼にそういう

彼はため息をついて戦闘体制に戻る

 

鬼が、歪む

 

正確には鬼の顔と右肩だ

 

「っ」

 

醜い音が耳を貫く

グチャリ、ぐちゃり、グチャりと

酷く、ヌメって水のような音が響いた

 

それが、聞こえなくなる頃には、鬼は酷い姿になっていた

 

顔はぶち抜かれた口を中心に爆発したかのように岩がひろがっている

側頭部から昆虫の足のような物がカタカタと動いていた

目は人のそれでなく、百を超える程ある

右肩からは3つの腕が新たに生え、各々が蠢いていた

 

 

「…うわ」

 

「やめてね」

 

生理的嫌悪が凄まじい

集合体恐怖症、それを持つ者絶殺マンだ

いやなんというか、それでなくても引く

 

ここはいつからフロムの世界になったというのか

多分こいつは廃都か病み村に居る奴だ、間違いない

 

もしくは人間性を暴走させたか

 

「早めに終わらせよう」

 

「そうですね」

 

大剣を構える

相手は腕を振る

両腕の長さは違っており、左手が長い

 

今回振ったのは左手だ

薙ぎ払うように腕を振る

2人とも吹き飛ばそうとしているらしい

 

「早めに終わらせたいんで…ねッ!」

 

「――――!!!」

 

左腕を大剣で叩き切る

岩に覆われたそれは簡単に切断された

 

反撃か、右腕の1本で殴ろうとする

 

「気持ち悪い!」

 

男が腕の1本を切り上げる

人間のそれと思えない威力でそれを蹴りちぎった

 

「最後のトドメじゃオラァ!」

 

懐に入り込み、正拳突き

それは寸分狂うこと無く鬼の心臓を掴んだ

 

 

「―――!!―!!」

 

「黙って…死ねッ!」

 

椛が大剣で首を飛ばす

頭は簡単に、浮島から落ちていった

 

男は鬼から心臓を引きちぎり、握りつぶす

 

男が血にまみれる

 

鬼の体が地に伏す

 

「…いっちょ上がり」

 

「…貴方の名前は」

 

パンパンと手の埃を払い、タバコを吸い始めた彼に聞いた

彼はふぅと一服したのちこう言った

 

 

 

 

 

「気桐霊覇、コードネーム・デイモス

 アンタとは奇妙な縁があるようだな」

 

「犬走椛、コードネーム…狼、ですかね

 本当に奇妙な縁があるようで」

 

私がそういった瞬間、何かが私を掴む

 

「ッ!?」

 

「おお、先に脱出とは運の良い奴め」

 

それが聞こえた瞬間、何かに引き摺り込まれていった

見えたのは彼の飄々とした目だけだった

 

 

 

 

 

 

 

暗い

 

暗い

 

暗い

 

黒く、光のない空間

 

その中心にある物があった

 

刀だ

 

父が持っていた曰く付きの黒刀

 

あれは確か…

 

その刀の柄に触れた瞬間、術の記憶がなだれ込んでくる

封印術とは何か、何が所以か、何が始まりか

 

濁流に飲まれながら、記憶を刻む

 

意識は常に踏ん張り、失わない

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、私は封印術を得たのだった

 

 

 

 

「――――!」

 

立ち上がる

一瞬の出来事だったような気がした

大剣を持つ手を見て、盾を見て、安心した

そこには岩に侵食された腕と盾などどこにも無い

 

「…くぅ!」

 

ただ、霊夢が苦戦しているというのが分かった

それだけで、理由は十分だ

 

戦う理由を見つけるのは簡単である

 

「――」

 

大剣を構え、突撃

霊夢を突き刺そうとする無数の枝を切り落とす

 

「待たせたな」

 

「遅過ぎるわ!もうちょっと早く来なさい!」

 

「ちょっと面倒事が重なったんですよ!」

 

グルンと大剣を回し、西行妖に向き合う

桜は相変わらず死を振りまき、全てを殺そうとしている

えいえい、おめーは死しか振り撒くことしか出来ねーのか

 

盾で枝を弾きながら懐に潜り込む

そのまま枝元ごと切り裂く

 

悲鳴

 

桜が、悲鳴を上げる

沢山の死を飲み込んだこの桜は感情を宿したのか

 

だが、そんなのは2人を止める原因にもなりやしない

 

「霊符・夢想封印」

 

七つの虹色に光る玉が展開される

それは霊夢を守るように回り、敵の攻撃を受け付けない

 

その間に、椛は構える

 

「――」

 

太古の封印術

 

かつて、彼の親友である人間が振るったソレを大剣に宿す

神降ろしでは無い、別の術

 

博麗の七支刀

 

今の言葉では分からない呪文を唱える

大剣は紅い七つの枝を生やす

 

「――!」

 

それを思い切り、桜に突き立てた

 

 

桜の最後の咆哮が、冥界を穿った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

西行妖は桜を舞わす

死は取り除かれ、ただ、封印がされるだけとなった

 

だが、封印が解ければ冥界(幻想郷)に厄災が降り注ぐだろう

 

「疲れた、私は帰るわ」

 

「そうですか、でも休めないと思いますよ」

 

「そ、知らないわ」

 

霊夢はそう言って飛んで行った

椛は深い溜息をついた

 

「どうしたの?」

 

「幽々子さん、貴女も気付いているでしょう」

 

「あら、これの事かしら」

 

幽々子がスっと手を伸ばす

その指先から、青い薄い煙が上がっていた

 

椛の手も、いや、体全体からそれは上がっていた

 

椛の伸ばした手に反魂蝶が舞い降りる

 

魂の尊さ、輝きに寄るそれを見ながら椛は呟く

 

「私が、やらなければならないのか」

 

「蛙の子は蛙、それは変わらない、とでもいいたいのかしら」

 

「そういうことでは?

 それにしても疲れました、帰らしてもらいますよ」

 

そういって、サッと椛は帰って行った

残るのは、幽々子と、彼女の言葉だけ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…憐れだわ、炎に向かう蛾のようね」




今では分からないコトバが分かったあなたは古い人です
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