1匹狼の幻想郷帰還   作:回忌

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博麗神社の上

ふと、空を見上げた

 

蒼かった、ただひたすらに蒼かった

 

雨雲が降る雲すら無く、ただ蒼の空が広がっていた

 

晴天、快晴

 

今の空を言うならばまさにそれだろう

これ程雲のない空は初めてだった

やはり、波動が空に向かっていくのだろうか

それぞれが、雲を消していくのか

 

もはや戻れる道は無い

 

友は全て裏切った

今や友と呼べる者は全て敵だ

 

部下も居ない、四面楚歌

 

だが、ここで手を上げる訳にもいかない

――どちみちにしろこうなるのは変わらないのだから

 

 

『何処に斬鬼は居るのよ』

 

『博麗神社の後ろ、そこの封印を解きなさい

 そうすれば居場所は分かるわよ』

 

「…これ、かしら」

 

会話を思い出しながら、博麗神社の裏を探す

その後ろには小さな祠があるだけで、他は何も無い

もとより、この神社は山頂にあるのだ

 

もしかして、冥界の様に幽玄結界でもあるのだろうか

 

「どうするんですか?コレ」

 

「早苗さん、私に聞かれても分かりません」

 

「取り敢えず触れてみるか…」

 

魔理沙は世の中の三大禁忌、取り敢えず触れるを開始する

ちなみにこの魔法使い、触れるなと言えば触れる

そしてやるなと言われたらやる魔法使いである

 

祠はガラガラと簡単に崩れ落ちる

ただ、触れただけなのに

 

「…あら」

 

「これやらかしてません?」

 

「ま、まあ問題は――」

 

祠は元の姿を無くした

それに応呼するように、目の前が…"山が大きくなる"

 

「何これ!?」

 

「や、山が…!」

 

否、"元に戻った"

博麗神社は山の中腹に位置していたのだ

山は幻影で半分隠されていた

霊夢の住んでいた神社が山頂にあるように見えていただけだった

山はグワンと少し歪んで元の姿に戻る

 

妖怪の山より、少し低い程度の大山

 

祠があった場所には上に続く道が続いていた

この博麗神社に行くまでによく見る階段が

 

「…行きますか」

 

「そうね、行くしかないわ」

 

「緊張してきたぜ…」

 

「…大丈夫、諏訪子様、神奈子様…」

 

4人は、空を駆けた

 

その、山頂にある古い神社を目指して

 

 

古き神

 

己は誰かからそう言われた

妖怪の中でも一番古きに生まれ、今を生きる妖怪

そして、ある所から軍神と崇められる妖怪

戦士としての腕は優秀で、頭も回る

 

天照が自ら神の名を与えようとした者

 

そんな英雄のようなものでは無いと己は思っている

 

己はただの"白狼天狗"なのだ

 

全ては努力

人生の殆どを努力に振った、それだけだった

生まれた時は、弱かった

成長して、強くなって行った

 

勝てない物には努力を

 

そうして強くなって行った

 

何時からだろう

 

こうして"隻眼天狗"を名乗ったのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嗚呼、"靈夢"

 

こんな俺を、許してくれ

 

 

 

 

 

山を飛んでいく

その山は妖怪の山に似ていた

所々岩肌が見え、山頂は木が少ない

山頂の木があるのはこの階段の端と山頂の神社の周り

だが、この山には神はどこにも居ない

それどころか天狗などの妖怪も一切住まない山だった

 

花が咲いている

どこもかしかも、花が

 

さらさらと揺れ動く花々

飛んでいっても、何も来ない

妖怪も人間も居ない

 

先程から見えるのは鳥や猪、ふわふわと舞う蝶

 

それ以外の気配は何も、無かった

 

何も――

 

「早苗ッ!」

 

「――っえ?」

 

 

ヒュオンと軽快な音がして、ドスと後から聞こえてくる

霊夢が警告したのも遅く、早苗は腹に大矢を生やしながら落ちていった

 

「な、なんだ…!」

 

「妖夢!アンタは彼女を永遠亭に連れていきなさい!」

 

「わ、分かりました」

 

そう言っていると、ヒュオンと軽快な音がまたした

そして、身長をゆうに超える大矢が飛んでくる

それを避けてその発射している者の所へ飛んでいく

 

その大矢はとある場所から放たれていた

 

近づくにつれ、放たれる頻度は少なくなり、それが見えると完全に無くなった

 

山の山頂から少し下にある遺跡の様な広場

そこはまるで祭祀場のようだった

真ん中に円状の石畳があり、その三角に溶けたかのような柱

 

そしてまた溶けたような柱があるという感じだ

 

外で言うならば、爆風で溶けたようなストーンヘンジ

 

その真ん中には岩があった

腰を降ろせる位のサイズの岩が

 

そして、そこにはある人物が腰掛けていた

 

片足を伸ばし、反対は曲げている

右手は曲げた足に乗せ、また手には反魂蝶が羽を動かしていた

その左手には人をゆうに超えるサイズの大弓

 

服装は巫女服を少し変えた白服

腋は肌着で見えにくく、だが臍は丸出し

そこ袴の紅葉模様が何故だか綺麗に見えた

 

「舞、アンタ」

 

「こんにちは、これがゴーの竜狩り、でしたか」

 

彼女は反魂蝶から目線を霊夢に向けた

 

「ゴーって誰よ」

 

「古い人ですよ、天照が生まれる前、火の時代

 まぁ、今じゃそれはあまり分かったものでは無いですが」

 

そして、彼女はこの遺跡を見渡した

 

「この遺跡も元は最初の火の炉、大王の墓

 と、いうよりこれを知っている者は少ないでしょうし

 というかコレ(この作品)に全く関係無いですから…」

 

そういって、彼女は岩から降りる

大弓(ゴーの大弓)をその岩に添える

 

「貴女達が目指しているのはこの山頂でしょう」

 

「そうよ、斬鬼を――殺すの」

 

「あまり殺しはしたくないがな…」

 

「ふむ、抹殺と来ましたか自作自演なものを」

 

彼女はそう嗤うと扇子をゆっくりと引き抜く

目の前に居る女性は居るように思えなかった

 

「まぁ、ここで貴女達を止めるのも私の役目です」

 

バッと扇子を開き、構える

その気配は死を濃厚に纏い、殺気を振りまいていた

 

霊夢は大幣を右に構え、左に退魔針を持つ

 

魔理沙は八卦炉に力を加えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ、舞姫の踊りで踊り死ぬがいい」

 

2人を睨みながら彼女はそう言ったのだった

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