1匹狼の幻想郷帰還   作:回忌

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舞姫の踊り

――紅白舞

 

霊夢達は彼女についてあまり知らない

宴会の時、いきなり出てきたのが印象に残っている

彼女の性格はかなりゆったりとしている、だろうか

だが、時に裏のあるような言葉を突きつけてくる事もある

 

霊夢達は幽々子と紫を組み合わせた様な妖怪だと思っていた

 

自分達を惑わす、困惑させる言葉遊び

あの紫のような胡散臭いニヤとした笑顔

 

扇子で口元を隠すのもよく似ている

 

だが、その実力は上記の2人とは違う

有り余った時間を鍛錬にぶち込んだソレは達人のソレに値する

伝説の妻と納得出来る強さを誇っており、強大

 

その戦法は全て、舞の様だった

 

彼女は古くは舞姫と呼ばれていたそうだ

その舞は行ける者全てを魅力する

 

舞うようなそれは目で追うのは困難に等しい

 

なぜなら、それに"魅力"されるから

 

二振りの扇子を用いた"斬撃"はいっそ武舞の様で――

それに魅入っている内に切り刻まれる

扇子は見れば逸品と分かる代物

それに彼女が妖力で武器としている

 

その二振りの名前はある夫婦の名前らしい

 

「――はぁっ」

 

そして今、彼女は舞っていた

くるりくるりと回り、廻り、回り

 

魔理沙と霊夢の針と魔弾の嵐をふわりふわりと躱す

ただ舞っているように見えて、全て計算済み

 

霊夢はだだ撃ちは悪手として札を構えた

 

「霊符・夢想封印」

 

スペルカードを展開

とはいえそれは封印効果、もとい殺傷力のあるものである

躱されるのなら追尾弾を放つまで

 

「甘い」

 

だがそれは簡単に扇子によって弾かれる

むしろ弾かれたソレは放った霊夢に向かった

 

「出鱈目ね」

 

それを大幣で蒸散させる

霊夢は針を塊で投げる

 

「破ッ」

 

舞は力強く地面を踏み締めた

すると地面が隆起し、針を阻む

 

「何でもありだな…なら!」

 

八卦炉を構える

彼女が放つのは魔理沙の十八番

 

恋符・マスタースパーク

 

「いつもよりパワー増し増しだぜ!」

 

その言葉の通り、魔力がいつもの数倍高い

――とはいえいつも通りの直線ビームだ

 

その単純さも変わりないのだ

 

「はい邪魔」

 

「はっ!?」

 

それを扇子で屈折させる

ビーム、というのは光とも言われている

今回のそれは魔力の伴った物理的な物だ

 

とはいえ斜めの物にぶつかれば曲がるのは世の摂理

 

マスタースパークもまた、それに含まれていた

 

「こういうのを常識にするのですよ」

 

「アンタが一番非常識だよ!」

 

魔理沙の言う通りである

こんな技術を持つ者が常識である筈が無い

何奴も此奴も変人みたいな奴らだ

 

「はいはい、死ぬ程聞いてきましたよそんなの」

 

そう言いながら扇子を勢いよく振る

彼女や、その夫からすれば死ぬ程聞く単語である

それをよく理解しているからこそ、軽く流す

 

振られた扇子は風を纏い、切れ味を上げる

先程から避け続けている弾幕はそれらに全て斬られる

武舞、というより艶やかな舞

本人はもはや遊びのような感覚で舞っているのだろう

風がぐるりぐるりと扇子に纏われる

能力を使用し、風力を高めているのだ

 

そして、ひとしきり、舞終えると

 

「そこ」

 

「ぎっ」

 

上から下に扇子を振り下ろす

纏われた風はカマイタチとなり、飛ぶ

音速のそれは魔理沙の胸にバツ印の斬傷を生ませた

 

「げほっ…」

 

皮膚だけでなく内蔵も逝ったのだろう、口からどろりと血が出る

膝をつきかけた魔理沙は、膝をつかない

 

「まだ倒れるかよ…!」

 

八卦炉を構える

常人では倒れるソレを耐える

今この瞬間も痺れ、刺される様な痛みが全身を流れている

そんな痛みをも忘れて八卦炉の魔力を上げる

 

そんな彼女に舞はため息をついた

 

「さっさと諦めればいいものを、馬鹿者め」

 

ふわりと一回転する

風が強い

びゅうびゅうと先程から強くなって行っている

台風の時より更に強い、木がガタガタと揺れている

 

その扇子は神風に軋む事も無い

 

片方は激しい炎の意匠が施された黒白の扇

 

片方は美しい紅葉模様の意匠が施された紅白の扇

 

「アンタ、風を操ってんの?」

 

「そうとも言えましょう」

 

彼女の能力は知っている

効果を高める程度の能力、と阿求のソレにあった

ただそれだけか、と鼻で笑いたいところである

 

本当に、ただそれだけならどれだけ有難いか

 

効果を高める、というのは文字通りの事ではある

宴会の時ただの酒が絶品に変わったように、だ

それは戦闘面でも遺憾無く発揮される

 

刀を持ち、効果を高めれば全てを切り裂く神刀と化し

 

弓を持ち、効果を高めれば全てを射抜く神弓と化す

 

彼女がただ舞っても、油断できることではない

 

ほら、この瞬間も――

 

彼女が扇子を振るい風を起こす

その風はどんどん高めていき、大風へと化す

 

それは際限なく巨大化していき

 

「潰せ」

 

風の大槌として魔理沙を叩き潰した

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